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刑法の勉強の仕方 その2

さて、刑法の勉強では参考書選びが重要だということを書きました。
参考書の選び方には大きく分類して4種類の選択肢があるかと思います。
まずは、参考書の性質の分け方で、教科書と予備校本の2種類。
そして、学説の分け方で2種類。

今日は、この2種類の学説について説明します。



先日書いた通り、刑法は重箱の隅の隅までつつき過ぎて、
現在、学者ごとに全然違う考え方が生まれ、多数の学説が存在しています。
その中でも最も基本的な学説の対立が
「結果無価値論」と「行為無価値論」の対立です。
たとえば予備校本ではCブックなどは結果無価値と行為無価値の両方を出版しています。
一方で、シケタイと言われる伊藤塾の試験対策講座は行為無価値のみです。

結果無価値/行為無価値の「無価値」とは、簡単に言うと「悪い」ということ。
つまり、結果無価値は生じた結果が悪いと考え、行為無価値はした行為が悪いと考えます。
たとえば、スリをしようと他人の内ポケットに手を入れたところ、財布がなかったという場合。
非常に極端に言うと、行為無価値は盗もうと手を入れたことが悪いということになるが、
結果無価値ではそもそも財布がないなら盗みようがないから悪くないと考えます。



両説の違いが如実に出てくるのは、犯罪が成立するか検証する順番や要素に現れます。
ちなみに、私は結果無価値で考えています。

犯罪が成立するかどうかは、大きく分けて3つの段階で考えます。
「構成要件」「違法性」「責任」です。
現在、ほぼ全ての説は、この順番に検討しています。

「構成要件」とは、条文に該当しているかどうかの検討です。
たとえば殺人罪では、「Aの行為によりBが死亡した」といえるか否かです。

「違法性」とは、構成要件に該当するとして、それが刑法上の違法か否かの検討です。
現在の考えでは構成要件に該当する場合、基本的には違法であると言われます。
ただし、刑法ではこの違法性を阻却する場合というのが規定されています。
たとえば「正当防衛」などが有名です。正当防衛の場合、その行為は違法でないとされます。

「責任」とは、責任があるかの検討です。
詳しくは後述しますが、故意/過失の検討をここでするか否かは議論があるものの、
刑法では責任を阻却する場合というのも規定されています。
いわゆる「責任能力」で、心神喪失の場合、責任が問えず犯罪は成立しません。

さて、結果無価値と行為無価値の大きな違いは、故意と過失をどこで検討するかです。
結果無価値では、故意や過失などの主観的な事情は「責任」で検討します。
なぜなら構成要件や違法性では、もっぱら客観的事情を検討すべきと考えるからです。
一方で行為無価値では、故意や過失を「構成要件」で検討します。
構成要件的故意と言われたりします。
詳しくは知りませんが「責任的故意」というのも存在するようです。




先日述べたとおり、刑法では各論点が細かく絡み合っています。
そのため、故意や過失をどの段階で検討するかという根本的な違いは、
その他の論点の考え方に非常に大きな影響を及ぼします。
どちらの考え方が自分に合うか、しっかりと見極める必要があります。

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2009/06/05 23:21
アニキの友達が、司法試験の一次試験を合格したみたいです(●´д`●)

旧司法試験経由だったら、さわらさんも受けてる頃かなと思ってちょっくらコメントしにきました☆

それとも新司法試験経由のほうかな?
アバター
2009/05/21 21:37
刑法が一番面白いけど、一番めんどいですね(●>∧<●)

大学の教授とかが好みそうな。



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