変な男の子が鍵を持ってきた。

大分昔に俺がわざと落とした鍵だった。
なんで落としたのかおぼえてない。

多分ただの気まぐれだったんだと思う。
長い時間の中で俺だけが一人で、俺のことを考えてくれる人はみんな見返りが欲しいだけだった。









今日もあの子が来る。
俺の鍵に興味をもってくれたみたいだった。
それはとても喜ばしいことだったけど俺の暇つぶしで巻き込まれた男の子がちょっと可哀想な気がした。










駅の受付でパラパラと手帳をめくる。
さっきの男の子はまたあのロッカーを開けているだろう。
きっと昨日とは違う光景が広がっているはずだ。

どんなリアクションをしてくれるだろう？
驚くかな？

思わず口が緩む。
何もないところでニヤニヤしてたらまた同僚にどやされるかもしれない。

ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ

手帳から顔を上げたとき目の前を大きなトンボが通りすぎていった。


...。

ガタンッ

思わず立ち上がる。
その勢いで椅子が倒れ派手な音を立てた。

倒れた椅子の音に驚いたらしい同僚がこちらを見て目を丸くしている。
だが、そんなことを気にしている場合じゃない。

俺の気まぐれのせいで地球の生態系が崩れる...。
トンボを追いかけようと走り出す。

「お前どこいくんだー」

同僚に呼び止められる。
うるさい、お前にかまってる暇はないんですっ。

「ちょっと、トンボ取りにいってくるー」

適当に誤魔化すとトンボを追いかけ走り出した。











「うおりゃああああああああああああああああ!!!」

駅の隣の空き地で俺とトンボは格闘していた。

振りかざす網をアイツは素早くよける。

コイツ...出来るっ。


トンボが上空に逃げようとする。

甘いっ!

俺は側にあった木を足場にして空中に飛び上がる。

「おらああああああああああ!」


ぱすっ、っと小気味のいい音がしてトンボが網に収まる。

なかなか元気な奴で捕獲してもまだ網の中でぶんぶん羽を動かしている。

正直いって気持ち悪い。
ごめんね、トンボ。
お前、気持ち悪い。

トンボも捕獲したし、今日の仕事は終わりっ。
残っている事務仕事も同僚に押し付けてやろう。

帰ろうと思い振り向くと、おっさんがいた。

おっさんは俺の手にもった網の中に入ったトンボに驚いているみたいだ。

あ、やばいこれ。

おっさんは興奮した様子でしゃべり始めた。

「そ、それはメガネウラじゃないかね!!昆虫のなかでは史上最大でトンボの仲間で。羽をひろげると７０ｃｍもあr

（長いので省略）

飛び方は現代のトンボのように常に羽を羽ばたかせて、
ホバーリング（空中を停止しながら飛んでいること）といった高度な飛翔は
できず、滑空しながら時折、羽ばたかせて飛んでいたy

（クソ長いので省略）

っと言うことでとてもすでに絶滅してしまった貴重なトンボなんだ。是非私に譲ってくれないかね!!」


そうゆうないなや、俺の手からトンボを奪って走り去った。

逃げ足の速いおっさんだ。
ていうか俺の努力って...。

あのおっさんに天罰下ればいいのに。






案内所では...

「そういえばアイツどこいったんだ？」

「さー？どっか遊びにいったんじゃないですか？」

「そういえばトンボ取りに行ってくるとか行って飛び出していきましたよ。」

「あの馬鹿、仕事ナメてんのかよ。」















ふえーい
前回書くとか行ってた奴です。
時間軸的には6の間ということで6.5にしました。
あえて題名をつけるのなら

駅員さんのトンボ捕獲大作戦☆

てな感じでしょうか...。
あいかわらずネーミングセンスがない...。
最初ちょっとシリアスかと思ったらそうでもないという。