*白い彼女。(自作小説)
- カテゴリ:自作小説
- 2011/12/15 18:13:50
「流星雨って、知ってる?」
僕の隣に立つ白い彼女はそう言った。
「ああ、あれでしょ。流れ星が雨みたいに降るやつ。」
僕は答える。
白い彼女。読んで字のごとし、彼女は真っ白だった。
触れると溶けてしまいそうなほど透き通った氷のような白い肌。
高く、整った鼻。白い吐息を吐く桃色の唇。
そして暗闇の中でも分かる真っ白な髪の毛。
睫も、眉毛も、真珠のように輝く白色。
薄い茶色の瞳が僕を見つめている。
「実はさ、私、見たことあるんだ。流星雨。」
彼女が口を開く。
「へえ。そりゃすごいね。」
「本当に雨みたいに、ばーって降って来るんだよ。」
白い彼女は手を大きく広げて流星雨の様を表している。
帰国子女らしい、彼女は。
だから海外のどこか別の国で見たのであろう。
そして今、流星雨ではないが、流星群を二人で見ているのであった。
十二月、毎年外れ無しのふたご座流星群の季節。
とある山の上に、車でやってきて二人で空を見上げていた。
「寒いね。」
雪か氷のような彼女は言った。
「まあ、冬だから。」
「それはそうだけどさ。」
淡々とした会話が続き、やがて無言になる。
肌を切るような寒さが辛い。
しかし頭上に広がる満天の星空はそれをも忘れさせるほどの素晴らしさだった。
「あ。」
二人同時に口を開く。
流れ星が流れた。
ひとつ、またひとつ。
輝いては、消えていった。
「意外と感動ものかも。」
僕は彼女に言った。
「そうでしょ、そうでしょ。」
彼女は自信満々に返す。
顔が笑顔に緩んでいるのが見て取れた。
「ほんと寒いよ。ちょっと近づいてもいい?」
「……別にいいけど。」
僕の隣に彼女がずいずいと寄ってくる。
柔らかな髪が顔に触れそうになってシャンプーの残り香がふんわりとした。
急に、見上げていた空の景色が大きく変わった。
流星雨のように、無数の流れ星が流れ出したのだ。
「近づいたら、急に沢山流れてきちゃったね。」
彼女はふふ、と笑う。
「本当、びっくりだよ。」
ふと、彼女が流星を呼び寄せたのではないかと思ってしまう。
寒い十二月の夜は流星雨に包まれて刻々と更けていった。
そこで目が覚めた。
夢だ。
「もうこれが十年前のことなんて考えられないなあ……。」
僕は自分の部屋の天井を見上げながら一人呟く。
天井には一面、星の写真が張られていた。
起き上がり、隣の部屋に向かう。
もうあの白い彼女。僕の恋人、とは恋人ではなくなっていた。
(今日はちょっと早く起きたな……。)
あの人は今何をしているだろうと考えながら、扉を開ける。
そこには真っ白な、髪を揺らして振り返る女性の姿。
「おはよう。今日は早いね。」
彼女は今、僕の妻になっていた。
「うん。ちょっと散歩にでも行ってくるよ。」
「珍しい。」
彼女は、僕の妻はそう言って笑う。
ジャケットを着て玄関に向かう。
「いってらっしゃい。」
「なんか仕事に行く前みたいだなあ……。」
妻はまた静かに笑った。
扉を開けると、一面の銀世界だった。
今年は雪が降るのが早い。
「そういえば、もう十二月だったな。」
久しぶりに彼女と一緒に流星群を見るのも悪くないと思った。
今は十二月。ふたご座流星群の季節。
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てなわけで、昨日流星群を観察しながら勝手に妄想した
自作のお話でした。リア充話^q^w
でも書いているのは結構楽しかったです。
皆さんも流星群観測、どうですか?
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おもしろかったです
また、
自作小説書いてください