【G級の壁】

このたび、なんとか集会所上級の「起源にして、頂点」をクリアしたのだが、大変厳しかった。
村上位のアカムより体力が多めとあって、かなりの長期戦にもつれこんでしまった。

装備は、ヒドゥンボウ（弓）、スキルは「攻撃力大」のみ。
防具はリオソウルなど、バラバラで、とにかく防御力とスキル発動に特化した。
これでアカムと対戦するなど、無謀に等しかったりする。
本当なら、集中とか、属性弓を持って行くとか、対策があるんだけれど。

これまでの戦いから、現時点では、拡散強化と増弾のスキルをつけたブラックボウⅡの拡散４が、もっとも有効のようだった。
しかし、頭が疲れていたのか、なぜかヒドゥンにこだわった俺。
たとえやる気は十分でも、思考が疲労していると、時おりこんな過ちも犯すものだ。

属性強化や射撃強化のスキルは、地味に重要だってことを、この戦いで嫌というほど思い知った。

底上げした攻撃力が高いので、アカムはよく怯むのだが、なかなか部位破壊できない。
ホーミング突進が怖いので、オトモを外して来たのだが、それも地味にいけなかったようだ。
オトリ兼回復役がいないので、かわしきれなかった突進で被弾し、どんどん薬を消費していく。

アカムはあまり得意じゃないのだが、この地形とマグマが、さらに難度に拍車をかけている。
俺がすぐそばにいるのに、突進してくるアカム。離れていると出にくいという噂だが、距離は関係ないらしい。
広めの場所で戦えればいいのだが、その広めの場所でさえ、足回りは最悪な狭さだったりする。
うっかり奴の足元にいようものなら、足を踏み変えるごとにぶつかって、体力を地味に削られる。

そしてまた、足元から突然吹き出てくるマグマにも泣かされた。
いきなり足元が赤くなったと思ったら、火柱が立って、ものすごいダメージを受ける。
被弾するタイミングがつかめなくて、何度もそれで大ダメージをもらった。
３ｒｄ　は、その点わかりやすくなって良かったよなぁ。

ちなみにこのマグマ、よほど修練を積んだ人でも、油断すると落ちてしまうほどのしろものだったりする。
狩り友のＧＲさんいわく、「どんな上級者でも、まったくノーダメージで戦っているわけではない」とのこと。それを聞いた時、ちょっと安心した。
そしてたまたま、２Ｇのアカムを弓で短時間討伐している人の動画を見たのだが、俺より強い装備にもかかわらず、うっかりマグマに当たって一落ちしている姿を見つけ、さらに安心した。
ああ俺とおんなじだ、と、思わず大笑いしてしまった。
その人のプレイを見ても、俺のやり方が取り立てて悪いわけじゃないと気がついた。
大丈夫、俺は悪くない。いけないのは、このくそせまい地形と、びっくりマグマなのだ。

などと自己弁護しつつ、戦って戦って…。３０分過ぎても、まだアカムは倒れない。
村上位では、この時点で倒れてくれたのに。
やっぱヒドゥンじゃだめなのかなあ。
いや、村上位もヒドゥンで倒したから、これでいけるはず。
即座に考えを打ち消すも、突進を喰らって、まさかの２落ち。
ああ、戦闘中に秘薬を早く使いすぎた。
さっき落ちた時に２つめの秘薬を飲んでしまったから、もう「いにしえ」しか残ってない。
悪いことに、最後のクーラーも使いきっている。クーラーの効果があるうちに２落ちしたため、２本分ムダにしたからだ。

残り時間１０分前。時計が赤くなっている。焦る気持ちが少々。
でも、後には退かなかった。落ちる前に、アカムが足をひきずっていたからだ。
もう少し。もう少しで勝つる！

意気込んで立ち向かうも、暑さでじわじわと体力が減っていく。
とか言ってる合い間に、またも突進。避けられない。どうしても当たってしまう。
ついに体力が半分に減った。暑さが赤ゲージを減らしていく。
アイテム欄をのぞいては見るが、元気ドリンコしか残っていない。これが現実。

絶望。
ここでリタイアしてしまおうか。いや、でも、あとちょっとだけ。
祈るような気持ちで矢を放つ。すると、その一撃がアカムのとどめをさしたのだ。
思わず握りこぶしをかためてしまう。
アカムには、もう何度も勝利しているけれど、ここまで追い詰められた戦いは初めてだった。
残っていた体力は、およそ１０ほど。
わずか数ミリの青いゲージは、まさに風前の灯だった。
なかなかない瞬間ではある。写真に撮ればよかったなあ。

危うく死ぬるところだったが、とにかく勝てた。これで念願のＧ級に上がれる。

わくわくしながら、いよいよ黄色い服のお姉さんに話しかけたら、そっけない答えが返って来た。
「真にＧ級を受ける資格があるかどうか、試させて頂きます」

なんて厳しい世の中だろう。思わずため息がでる。
上を見れば果てがない。ドラゴンボールのごとき上昇する強さの世界だ。

そして挑んだヒプノック２頭は、思っていた以上に難しかった。
どうにも持っている弓がぱっとしないので、ここらでハンマーでやってみようかと思っている。