偉大なるテロリスト
- カテゴリ:勉強
- 2012/01/11 22:11:14
「週刊 マンガ世界の偉人」刊行の折込チラシを読んだ。
エジソン、マザーテレサ、ダヴィンチと始まって、全50冊だ。
偉人伝とか伝記も、僕の子供の頃とは大きく様変わりしている。
その一つが、本からマンガへ だ。
伝記は、科目でいえば、決して国語ではないから、子供が多くの人の生き方や偉業を知るための手段としてマンガでもいいし、そのうち動画にでもなるのだろう。
ちなみに、アンネ・フランクが、萌え系?のような絵になっていたのはビックリだ。ユダヤ系団体から抗議が来たらどうするんだよw
そして、登場人物の多様化だ。
全50冊の中には、まるで 計ったように 10人の女性、10人の日本人、10人の非欧米人、10人の20世紀人がいたりする。
職業も、カーレーサー(セナ)、コメディアン(チャプリン)、歌手(マイケル・ジャクソン)、映画監督(円谷英二)なんてのもいる。
中には、ココ・シャネルのように、女実業家なんてもんもいる。
それにしても、カップラーメン(安藤百福)や自動車(本田宗一郎)は子供に馴染みのある商品だが、シャネルなぁ・・・少年が車に憧れるとき、少女は既に化粧なんだねw
しかしだ、50人目つまり大トリの名前に、僕は我が目を疑いましたよ。
チェ・ゲバラ・・・カストロの盟友にして、世紀をまたいで広く尊敬される革命家
しかしだ、ゲリラと当時は言われたが、ブッシュガキの世なら、確実に「悪のならず者テロリスト」と呼ばれたこと疑いなしだし、しかも、その人生は射殺で終わっている。
このネタのために、主な伝記集のラインナップもチェックしたが、処刑された人は、ゲバラの他には一名だけである。(注:西郷隆盛や織田信長はあくまで戦死)
残り一名は・・・マリー・アントワネット・・・エリザベス一世やクレオパトラ七世は偉人カテゴリーだろうが、アントワネットは違うだろ・・・どっちかというと悪人なんだし・・・
「パンがないなら、お菓子を召し上がればよろしいのに、おほほほ」とか、セックスレス夫に愛想を尽かしてコスプレ・プレー三昧とか、そういう人から何を学ぶんだよ・・・
(伝記ネタは大好きなので、たぶん 続編やります)
次回以降で書こうと思っていたテーマを、思いっきり言ってくれましたね!
偉人伝ってのは、その対象を美化すること、とりわけ子供向けの作品では、お手本として色々な脚色がなされていきますし、そもそもの人選からして大人の都合です。
まぁ、全部全部を事実だけ伝えるというのは、歴史家なり伝記の仕事なんで、僕は子供向け偉人伝はそういうものとして存在していいと思うのです。
それにしても、チャプリンってそんなに背が高かったんですか、これは知らなかった。
お返しに、クレオパトラって、クレオパトラカットと言われる髪型じゃないんですよ。あれは映画だったり、古代エジプトの壁画だったりなんだけど。彼女は、プトレマイオス朝というマケドニアつまりバルカン半島人の出身なので、顔立ちも髪型も全然エジプトっぽくなかったそうです。
髪型は、大仏パーマみたいだったようです(そういう彫像を見たときは、かなり驚いたです)
きっかけは何でもいいと思うのですよ。
僕も、時代劇だったり、マンガだったり、アニメだったり、本の世界への導入があってこそ、現在に至る歴史や社会への関心・知識が続いています。
偉人伝のラインナップについては、調べてみると、意外なことに気付いたのです。
詳細は、次回のブログに書きますが、要するに、Olivierさんも僕も軽く驚いた人選が、オールジャパンでスタンダード化しているのです。
マリーさんも堂々たるレギュラーなんですよ・・・ビックリだw
やはり、ベル薔薇世代が学者先生にも出版サイドにも多数いるんじゃなかろうかw
偉人伝が嫌いな人ってのは、それなりにいると思いますよ。
そもそも、読書とか歴史とか、あるいは勉強自体が苦手な人がいます。
それと、偉人伝の持つ道徳臭さや大人の押し付けみたいな部分にアレルギーを持つオマセさんにも受けは悪いでしょう。
僕自身もひねた育ち方ですが、大人になって読み返すと、逆に面白いですよ。
大河ドラマとなったこともあり、近所の本屋さんでは、清盛・頼朝・義経の3人のマンガ系伝記が並んでいました。歴史的には、ネグってもいいよな義経が、お話の世界では一番人気なんですよね。平家(悪役)を倒すも、心ならずも兄に敵視・追悼され、非業の死を遂げる。更には母、恋人、仲間達との物語と、伝記どころかドラマにしても絶品な、元祖ヒーローですからね。
マリーさんについては、立ち読みしてみようと思います。
彼女の場合には、日野富子とか北条政子のように解釈やスタンスによっては偉人的な読み方も出来ると思うのですが、マリーさんはどう描くと偉人になるのかむしろ興味が湧くほどです。
まぁ、マリーさんがいなければ、バレンヌ事件が起きたか微妙ですし、オーストリアも介入の根拠が掴めなかったかもしれない。そうすると、王家処刑⇒周辺国介入⇒戦争による危機⇒ジャコバン独裁・・・という流れがつくれなくなるので、ある意味では革命の原動力なんですけどね、マリーさん。
処刑者リストに、イエス・キリストとジャンヌ・ダルクを追加。
ただ、この二人の場合には、その処刑が過ちだったと広く(少なくともキリスト教社会)では認識されているなぁ。
ちょっと有吉チックに、偉人さんに、仇名(ツッコミ?)をつけてみました。
クレオパトラ七世「元祖・枕営業」
ライト兄弟「弟の名前がレフト?兄の名前がトップ?」
ジョブズ「アンタの死で、誰かが偉人伝のジョブを追われたぞ」
人間は、本人が信じたいように勝手に記憶を書き換えることがあるそうなので
偉人達もいずれ、信じるのに都合の良い、美しい形に どんどん様変わりしていくのかしら?
チャップリンも小さい人かと思っていたら、180センチ超えで
どうやらうんと年下女性がお好みだったとか
事実を知ると、ギョってなる部分があるので、お子様向け入門書には
ソフト脚色バージョンが望ましいのかなあ・・・ポリポリ☆
いずれにせよ、真実に到達するためには、ただマンガを与えられるだけでなく
自分もがんばって探索の旅にでないけんですよね^^v
ダ・ビンチ、エジソン、織田信長etcと正統派(?)もいれば、
アガサ・クリスティ、セナ・・マリー・アントワネットですって?!
採用者選定会議での熱い討論が眼に浮かぶようです。
アントワネットを採用するくらいなら、母上のマリア・テレジアの方がず~っとふさわしい気もします。
子孫のシシィことエリザベートでも・・・大差無いのでは?
もっとも若者のみならず、国民の活字離れが益々すすんでいますからね。
漫画の力を借りて少しでも興味の幅を広げられるのなら、
それはそれで意味のあることなのでしょうね。
かく言う私も幼い頃、大の漫画好きでした。
「ベルサイユのばら」(池田理代子)でフランス革命に興味を持ちフランス史に没頭。
「7つのエルドラド」(山本鈴美香)でエリザベスⅠ時代に魅了されましたっけ。
お蔭で学生時代、歴史だけはハイスコアの成績を維持できたのも、漫画さまのおかげかも知れません。
最近では携帯電話・TVゲーム等身近に娯楽がありすぎて、
「自己の声」に耳を傾ける余裕が無いようにも感じられます。
漫画にしろ小説にしろ、手に取ったものには何かしら心動かすものがあるハズです。
読み終えて心に問いかける、「お前はどんな人生を歩みたいのか?」。
時間に追われ、単に「こなす」だけでは、魂を揺さぶる感動も心の成長もありません。
そう考えると・・・改めてこのラインナップ(一部)は「う~ん」と唸ってしまいます。
なぜって、ナゼダロウ?
「源頼朝」のと「源義経」のと読み比べたら別人なんじゃないってくらい同一人物の描写が違っている。
そして子ども向けの本によくあるように後ろの「保護者のみなさまへ」なんてのを読むと何からどう引用してどの辺りを脚色してあるとか書いてある。
「創作かよ~」と思う部分もあったりしたけど、とりあえず「夏休みの読書感想文をすませるのに楽な素材」として重宝されたりもしました。
歴史に学習漫画が昔からあるんだから漫画の伝記があっても不思議ではないのかも。
今は教科書にすらイラストや漫画が登場するらしいですからね。
(漫画がある程度予断を与える素材であることを考えると適切かは議論あるべきところでしょうが)
萌え系は流行りらしいですよ。
本屋で自衛隊が萌え系になっていてびっくりしたことありますもん。
マリー・アントワネットって文章のでもあったような気も・・・
刑死って少なくとも同時代の判断を下せる階級の人には評価されなかったという意味があるから、偉人伝に載せようとするならその反証がないと無理があるんじゃないかな~