Nicotto Town



明日...いや、来世から頑張る。1


目の前のなにもない空間を悠々と魚が泳いでいる。

別に俺が海に潜りスカイダイビングを楽しんでいるわけではない。

ただ空中、つまり酸素と二酸化炭素、窒素、アルゴンなどが絶妙な感覚で配分された空気の中を泳いでいた。

それだけではなく、その不思議な魚の背後には大きなライオンが大きなあくびをしながらけだるげに座り込んでいるのも見える。

ここは、どこだ。

真っ白で無音のこの空間にはさまざまな人間、動物、魚類、鳥類、俺の見たことの無い生物までが一列に並んでいた。

俺もその列の中に並んでいたがきょろきょろとあたりを見回し現状を理解できていないのは俺を含め何人かの人間だけみたいだった。

そうこう考えているうちに列が前へ進み俺もあわてて前へすすむ。

しばらくぼんやりと考えていたら

「ちょっとそこの君?」

と急に声をかけられ心臓が飛び跳ねた。
それを悟られまいとすぐに後ろを振り向くとそこにはにこにこと笑う外国人がいた。

「なんですか。」

日本語うめえな。と思いつつ俺は少し警戒しながら返事をした。

「ここは噂のあの世ってやつかい?」

外人はにこやかに答えた。


ああ、なるほど、納得。
俺はつい先ほど自宅で首を吊って死んだことを思い出した。




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