ガム男 1
- カテゴリ:自作小説
- 2009/06/04 20:22:02
男はガムを口から吐き出した。
口から飛んだガムは床に落ちタイルにくっついた。
「誰か踏むとおもろいな」
タイルのガムを見ながら男は独り事を言うと地下鉄の改札へと向かい改札機に切符を入れた。切符は機械に吸い込まれ黒い扉がバタンと音をたて開いた。
男は切符にガムをつけたらおもろいやろなと想像しながら自分のアパートへと足どりを向けた。
男の帰り道の途中には電車の踏み切りがあった。
男がちょうどそこへ来たとき電車が近づいたので踏み切りの警報音が鳴り始めた。
「ちぇえつ。ついていないな」
男は踏み切りで電車に足止めされると何か損をしたような気になった。
「早く通り過ぎろ」
男は自分の人生を邪魔されたかのようにいらだちを感じて文句をはいた。
やがて電車が通り過ぎ遮断機が開くと男はペッとツバを吐き踏み切りを渡った。
男の名前は二浦五美斗(ニウラゴミト)。
アルバイトでホストクラブに勤めていた。
昼間はパチンコ屋で時間をつぶし夜は京都のはずれのホストクラブでバイトをしていた。
店ではそれほど人気もなく指名される事もすくなくいつも人気のある先輩のヘルプをしていた。
今日も五美斗(ゴミト)は朝からパチンコに行くため地下鉄の駅に向かっていた。
口ではガムを噛みながら両手をズボンのポケットに入れ頭を垂れながら歩いていた。
途中の踏み切りにさしかかると電車が来ていることを教える警報音がタイミングよく鳴り出した。
遮断機が降りるまでに渡り切るには少し遠い。走る気も起きない。遮断機が降りて何歩か歩いた時踏み切りの前に着いた。
「ついてないな。また待つのかよ」
いつものように早く電車が行きすぎろと心の中でイライラして待っていた。
いつもならもう電車が行過ぎるぐらいの時間が経過した。
だが電車は通らず遮断棒が降りたままで警報音が鳴り続けるだけだった。
「どうしたんだ。早く来いよ。いらつくな」
五美斗(ゴミト)は頭の中で血がさわぐのを感じながらつぶやいた。キレかかっていた。
二つある赤い警報灯の交互の点滅が血のさわぎを大きくしていた。
線路は踏み切りの少し向こうで大きくカーブしているため、駅に向かう電車はマンションの影で近づくまで見えなかった。
駅を発車する電車は直線で駅からだんだんと近づいて来るのが目で見えた。
それに赤い矢印の点滅で電車の来る方向がわかり赤い矢印の方向は駅えと向いていた。
「ちきしょうカーブで見えない。ほんとにくるんか。ほんとに早く来いよ」
今にも遮断棒をくぐり踏み切りを渡りそうになっている五美斗であった。
五美斗はガムを噛んでいた。ガムを噛む口の動きもいつもより早くなっていた。
口のなかでクチャクチャとする音に歯をガチガチさせる音も加わっていた。
五美斗は口の動きを止め、ガムを舌の真ん中に移すと息を吸い込み口をとがらせガムを息といっしょにプッーと吐き出した。
ガムはツバといつしょに口から飛び出し踏み切り横の石に当たりその石にくっついた。
その瞬間に突然とっ風がゴーという音とともに踏み切りを吹き抜けていった。
風で砂ぼこりが舞い上がり五美斗をおそった。目にほこりが入らぬように腕を目に当てた五美斗は「なんだよう突然。ついてない」と心でつぶやいた。
五美斗が腕を降ろすと電車の近づく音が聞こえた。
電車は隣の踏み切りで自転車に乗ったとし婆さんが踏み切りを無理をして渡ったために安全を確認するため少し止まっていたのだ。
電車が通り踏み切りが開くと五美斗は新しいガムを口に入れた。
そうしてそれを噛みながら地下鉄の改札へと向かった。
踏み切りには五美斗が吐いたガムの付いた石が残されていた。
石の大きさは人間の顔ぐらいでよく見れば無縁仏の墓石にも見える。
遮断機の四角いコンクリートの基礎の横にぽつんと置かれていた。
つづく

























頭の中はクチャクチャです。
見たら掃除したくなると思います。
おやすみなさい。
読んでると光景が浮かんでくるので、凄い楽しくて。
怖いの大好き。
想像すると眠れね~~~~笑
って・・・今日は寝るけど。
ゴキブンさんの小説読んでると疲れが取れるほどに惹きこまれてしまいます!!
まだ夜は長いです。
あ、変なプレッシャーとかじゃないですよ?
続きが楽しみです ^^