【ガンナーの特権】

G級に昇格して、今はハンターランク８。
だいぶ難易度に慣れてきたけれど、ちょっとしんどくなってきている。

亜種の変則的な動きもさることながら、ザコが非常にうざいのだ。
それは、軽く俺の精神を疲弊させるだけの憂鬱をもたらしてくれる。
ゲームを始めようと思っても、「ああ、やるかぁ…」と、まるで義務と化し、本来楽しむはずの目的を得られていない。

そんな時は、３ｒｄ　に逃げる。ユクモ村や狩り場に出ると、ほっとする。
思えばここから俺のモンハン人生は始まったのだ。ここが俺のホームといえよう。

成長が滞っていた女子ハンターで、「ゲーム序盤で出るジンオウガを初期装備で倒す」
ことに没頭する。
武器はフロギィリボルバー（弓）で、大タルG２個を合わせ、１０分くらいで倒せた。
おお、やればできるもんだ。大丈夫、俺は強い。

２Gのランク８G級試験で、ナルガ相手に２落ちして以来自信を失くしていたが、これで再びやる気が出てきた。
改めてG級クリアに挑戦することにする。

とはいえ、上位装備のみでは厳しいので、素材集めに時間を割くことになった。
弓を主体に戦っているので、そこを重点的に強化していく。
防具はラヴァXをそろえることにした。
これは、弓使い必須のスキル「集中」が無理なく発動できるすぐれた装備なのだ。
しかも、作るための素材がわりと簡単に集められるところも良い。

というわけで、素材となる溶岩ウナギ、ヴォルガノスをやっつけにゆく。

これはガノトトスと同じ系統の敵なので、同じ要領でいけばいいや～と軽く見ていた俺が甘かった。
溶岩が、溶岩が～。
事前に攻略法を見ていなかったので、ブレスがギリギリまでハンターを狙って放出されることを知らず、ブレスのタイミングで攻撃をしかけ、何度も即死。

一戦でやる気をなくし、改めて敵の強さを思い知るとともに、ガンナー装備のぜい弱さを嘆いた。
一発喰らってもちこたえたとしても、次の攻撃でやられてしまう。
これじゃまるで、魔界村の鎧だ。
幸い、モンハンには回復薬があるけれど、それだって無限ではない。

なんか良い方法はないだろうか。
攻略サイトを漁っていたら、なんと、ハメ技が存在するではないか。

これはぜひやってみなくては。
ただでさえ素材集めは大変なのだ。面倒な敵に正攻法でなんて行ってられないぜ。

その方法とは、ヴォルの出るエリア９と１０の入り口に立ち、ボウガンで狙い撃つだけというもの。その位置だと、ブレス以外は攻撃がまったく当たらないのだ。

そこで、倉庫に眠っていた「ヘビィピアースクラブ」を取り出し、攻撃大を発動させて挑んだ。

ドキドキしながら指定の位置に行き、ヴォルをおびきだす。
溶岩から首だけ出して、きょろきょろする仕草が、ウナギなのに何ともかわいい。
立ち位置で待っていたら、どぼんと地面から奴が飛びだした。今だ！

ヘビィを構え、水冷弾で狙い撃つ。奴がこちらへ這いずってくるが、本当だ、まったく当たらない。
これは楽だな～とニヤニヤしていたら、奴が立ち上がり、首をひねる動作をした。
ブレス攻撃だ、と頭ではわかっていたが、攻撃を欲張って撃ち過ぎたため、回避が遅れる。
うっ、あちち。
３分の２まで持って行かれる、俺の体力。あわててエリアチェンジして、回復薬Gを飲みまくる。
うーむ、これは油断が命取りだ。

その後も、何度もブレスを回避するタイミングを間違い、１落ちもしたが、なんとか無事に勝つことができた。

続けて、ヴォル２頭クエも、同じ装備でクリアする。
なんだ、慣れると簡単じゃないか。
調子に乗り、今度はイベクエの「マグマの海に擁かれて」をやってみる。
しかし、出てきたヴォルが異様なでかさだったので、びっくりした。
もしやこれは、金冠か？

だが俺の立ち位置には当たらないはず。たとえ金冠といえども…うっ。
なんということだろう、ズルズル身をくねらせる奴の頭が大きすぎて、安全地帯にまで食い込んでくるじゃないか。

ハメ技、やぶれたり。

しかし回復薬を飲み切りながらも、なんとかすき間戦法で勝つことができた。
１０から９への出入口は頭が判定に入るが、９から１０への出入り口は、画面左の岩が邪魔してくれたので助かったのだ。

思った通り、奴は金冠サイズだった。どうもこのクエは金冠が出やすいようだ。
イベクエでは素材集めに向かないと判断した俺は、２頭同時狩猟で素材を稼いだ。
通常の１頭クエでは、ザコが思わぬ伏兵になるので効率が悪かったからだ。
おかげで、短時間で装備を作ることができた。

ハメ技とはいうけれど、地の利を生かして戦うやり方は、実にガンナーらしいなと思った。
ゲーム制作中に、この技は見つかっていたはずである。
しかしそのままにしておいたのは、ガンナーらしい戦術として認めたからなのかもしれない。
射手とは本来、正面きって戦うものじゃない。
高台もすき間も、ガンナーの特権。
そう考えれば、この戦法もカッコよく見えてくる気がするね。