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濃すぎる毒入り日記


大河ドラマ「平清盛」がより楽しめるネタ

大河ドラマは、史実を基にして、架空の人物や 史実では認められていない説を織り交ぜて時代また人物群を描いていく歴史小説のテレビ版だと思う。
なので、「王家」か「朝廷」かとか、当時何歳なのにおかしいとか、いった類の茶々に興味はない。つくづく、歴史のちっぽけな知識があることと、小説やドラマ等を楽しむセンスとが別物であることを痛感する。

その点で、「平清盛」は、登場人物の歴史上の顛末を知っていると、そこに行く前の過去の描写の意味、つまり「伏線」ってやつが、楽しめる作りになっていて、久々に大河らしい大河に思える。

例えば、第1話で、実子でない清盛が、実子を木上りに誘って怪我をさせると、母親・宗子(ワクイエミ)は、清盛を感情的にビンタして「○○(実子の名)に何をしたのじょ」と口走る。激しく傷付く清盛と、言ってしまったと後悔にかられる宗子。しかし、その後は、宗子は、次第に家督争いが垣間見える長男・次男を等しく愛そうとする。
ここで、ビンタが伏線になっていないという見方があるが、大間違い。
宗子は、夫(清盛の父)亡きあとは、出家して池禅尼を名乗る。この人こそが、平治の乱で清盛に敗れ死罪となる源義朝(タマキヒロシ)の子供を、当然死罪じゃぁという清盛に、身を挺して庇い流刑に免じてもらうのですが、その理由が、一説には「次男に似ている」なんですよね。
次男は、清盛が権力から遠のけられた時期には統領と目されるが病死してしまう。結果して、清盛は棟梁となる。そうした展開の果てに、平氏を盛り立てた清盛をうれしく思いつつも、ギリギリのところで、次男かわいさにおかしな助命をして、そこで助かったガキ(頼朝)に一族を全滅させられる。
この諸行無常とはいえ、あまりに皮肉な運命の転換の大きな伏線が、宗子の女心なんだなぁと、和久井さんは一歩引いた演技で感情をジワッと出させるとピカイチ。

清盛の父(ナカイキイチ)の格好よさは、第1話から僕は買っていたけど、一般にも高い評価になっている。その一方で、ヘタレばかりの源氏の統領・為義(コヒナタフミヨ)は史実と違うというツッコミもある。しかし、格の違いに気付きつつも、必死で平氏の向うを張ろうとする為義というのは、保元の乱では謀反人の側に付くしかなく敗死する、下手なしかし懸命な生き方という基調を描いていると読むと、コヒナタのそういう演技の上手さと相まって非常に味わい深い。
そして、そんなヘタレな父親に、あるときは弓を向け「オマエがヘタレなせいで、オレは出世できねぇんだ」と叫び、あるときは暗殺者になってでも手柄を立て源氏を盛り立てようとする父に無言の尊敬をし、そして、そんな気持ちを超えるべく東北に武者修行に行く義朝(タマキヒロシ)の一連の動作は、保元の乱で、父を救うべく、敢えて父と逆の側につく彼の行動をなぞっている。そして、そんな彼の行動の果てに起きる悲劇・・・その悲劇-王家の残酷さもまた、この時代の一面として1話で描かれている。

こういう歴史の伏線とは別に、同時代の人物が後に関係することを前提とした描き方がある。前回、鳥羽上皇の愛人となった藤原徳子(マツユキヤスコ)は、深い心の闇を抱えた弱き上皇に「あなたのお役に立ちたい」と囁く、そして、全く別の中で平宗子もまた「夫の役に立ちたい」と思い、夫や清盛を受け入れたと語る。実は、得子と宗子は縁戚で、直接的な関係も出てくる。現時点のドラマでは、全く接点の見えない二人が別々に言った言葉が、二人のそしてその周囲の者を巻きこんで大きな歴史のうねりになっていくわけで、保元の乱を知っておくのと知らんのとでは、ドラマが全然違ってみえるという話。

明日は「オレは海賊王になる!」な極楽加藤登場で、久々の大型架空人物の登場に、かなり期待してます。龍馬も江も、どんな場面にも登場して主役然とする点では同じと鼻白むでいた僕としては、こういう架空人物を絡めるからこそ増すドラマの広がりこそが大河の王道とも思うので、ほんとガンバレ加藤です。

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