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濃すぎる毒入り日記


極楽加藤: 天皇家ひっくり返しワシが帝じゃ!宣言

「太平記」で楠正成の弟役での大河初登場のときも、「秀吉」で結構大きな役割な石川五右衛門演じたときも、赤井さんの棒読みは酷かった。しかし、独特の存在感は、下手と切り捨てることの出来ないものだった。

そんな赤井さんを彷彿とさせる極楽加藤の兎丸が「平清盛」に登場!
序盤の「清盛少年物語」の〆としての海賊退治だったんだけど、「俺は海賊王になる」というルフィいただきな台詞と、大映ドラマもかくやな清盛のムチャクチャに、あっけに取られた向きが多いようだが、今回の肝は、タイトルな加藤as兎丸の台詞ですよ。

兎丸の父親は都を荒らす盗賊集団の頭領で、1話冒頭で、清盛の父親に退治されます。
兎丸の考えでは、王家は、盗賊を「悪」として退治することで、己が「義」だと主張する。しかし、ワシ(兎丸)が海賊「王」となって「王」家を倒したらどうなる?ワシが「義」で、王家は「悪」になるんや!と。
これに、清盛は「おもしれぇえ、俺オマエが気に入ったぞ、手下になれ」的な、正にルフィな台詞を吐きます。

ここで初めて、世の批判を受けながらも貫いた「王家」という呼び名の理由が明らかになりました。「王家」の正統性なんて、自称・海賊「王」に倒されれば、消え飛んじゃうものなんだということ。少なくとも、兎丸と清盛は、そう認識している。
その認識を持つからこそ、清盛の後半生は、vs「王家」(後白河法皇)に費やされる。そして、「王家」だか「帝」だか「朝廷」だか知らんけど、その人たちの権威だ権力だは、武家と公家と僧侶がゴッチャに乱れて、親も子も兄弟も分かれて争う、日本史上最大のバトルロワイヤルな半世紀強の中で、相対的な1プレイヤーに成り下がります。

天皇家打倒って、「足利尊氏」でも、あるいは「春の波濤」の幸徳秋水でも口にしてないですよ、大河ドラマですから。それを、架空の人物に、思いっきり言わせちゃうのサイコーやないの。
それと、兎丸は、宋人を配下に置いているんだけど、権力取ったもんが「義」という発想って、当時の日本人的じゃないんだけど、これは大陸の革命思想を、兎丸なりに乱暴に噛み砕いたものとも思えて面白い。

王家の血を引きながらも、その犬の血こそを己の血とする男・清盛。
その清盛が尊ぶ血を持つ男に己の父を殺され、王家ぶっ倒すことを狙う海賊・兎丸。
その兎丸の原始革命思想に清盛は熱く共感する。

ここまで繊細に組み合わされた歴史群像劇とだけ評価してきたけど、唯一のフィクショナルな存在の兎丸にここまでアナーキーなもんを背負わせるとは・・・東映ヤクザの世界にいた菅原文太を明治自由民権活動家に仕立てた「獅子の時代」以上の無茶をやってるよ・・・

ラブシーンなしには済まさない王家関係者とともに、平成大河をぶち壊してくれや!

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2012/02/15 18:13
たぬ休さん へ

コメントされたようなことを私も言いたかったわけです。

つまり、中世日本においては、天皇家って、神性とか絶対性とか唯一無二とか全然思われてないよねってことです。
神話の時代に遡らずとも、壬申の乱に始まり延々と身内で位の取り合いやってんだから、公家も武家も、万世一系なんて敬うはずもなしですよ。
もちろん、天皇を奉るというのは基本ルールだから、ルールとしては奉っているけど、本音は別。

で、大河ドラマに話を戻すと、天皇自体の登場が少ないように気をつけてますね、基本。登場しても、台詞を言わないとか、ドラマの本筋に関わらないとか、工夫されてる。
その中で、画期的だったのが、バサラな「太平記」。しかし、後醍醐天皇はなかなかにエキゾチックなキャラとしつつも、それと対決したことを尊氏が終生悩んでいたという筋にしたことで「逆賊」問題は生じませんでした。
ただ、それはいいのか?と思うのが、源平には不可欠な後白河法皇。この人はモノノケ的だったり、権謀術数な人として、シッカリ濃く描かれている。現役じゃなきゃいいのか?

それにしても、「平清盛」では、ヤング後白河も登場するし、どこまで生身の天皇を描いていくか楽しみです。
「王家」騒動では怒られてるけど、経験値と割り切るなら、十年待つから、それこそ「日本国王」として帝位簒奪とも俗に言われる(史実としては不適切)「黄金の将軍:足利義満」を実現して欲しいです。
祖父と父の不仲に翻弄され、誰が敵で誰か味方かも定かでない中から とにかく南北朝時代を終わらせ、小うるさい守護大名を潰していくが、野心の只中で急死。そして、皮肉にも、そんな父へのコンプレックスの塊になっていた息子に、偉業を片っ端から覆される。なぁんかドラマの人ですよね。

義満は、メジャーな形では一切実写化されていない おそらく最後の日本史重要人物なんですよ。
注1: 聖徳太子、卑弥呼なども大河ドラマはないが、NHKの歴史ドラマやキチンとした映画などがある。
注2: 実写化ではないが、アニメ「一休さん」を通じ、何十人も実在した「将軍さま」の名を固有名詞化してはいる。
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2012/02/15 01:39
大河に限らず最近テレビ自体を見ていないのでずれているかもしれませんが。

天皇家打倒ってのは言ってなかったけど、南北朝時代の佐々木道誉のは「天皇が人間でなくてもいい」という意味で近いものはあったのかも。
崇徳天皇が大魔王になる前なので今回の話は太平記的史観でいえばフライングになるだろうけど、ドラマにはそんな要素があっても興味深く見られるんだろうとは思います。
平将門にしても天皇は認めつつも「新皇」なんて名乗っていたんだし、そんな人がいてもおかしくはないかもって。



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