Nicotto Town



楼さんが犬を拾ってきて劉煉さんが死にそうになる話


雨が降っている。
降りしきる雨の中、まあ定番といえば定番の犬の入ったダンボール。
子供が書いたであろうと予測される拙い字には「拾ってください」とマジックペンで書いてある。
こういうのを見たら拾ってしまう心優しいものもいるわけで。


「さすが若やのお、テストで100点たくさんとったんやって?俺が若ぐらいの時なんてのお
テストで100点とった枚数よりガラス割った枚数のほうが明らかに多かったでえ。」
目の前の明らかにカタギに見えない運転手が車を走らせながら自慢げに笑う。

「それ何にも自慢になってないよテツ。」
後部座席に座る10歳になろうかという少年はため息をつくと窓の車の窓から外をぼんやりと見つめる。
10歳でガラス割りに目覚めるとかどんだけですか。
運転手は少年のついたため息に苦笑しつつも少年に話しかけた。
「若は今日はごっつい機嫌悪いのう。せっかく100点取ったんやからもっと嬉しそうにせな。」
「だって、今日は家にアイツがいるんだろ?帰りたくないじゃないか...。」
脳裏に白髪のいじめっ子がよぎり、はあ、とまた少年はため息をつく。

「そんな若あ、久しぶりに劉煉さんが帰ってきたんやから歓迎してやってや。
             あの人なら100点取った若のこと褒めてくださるでえ。」

「それもどうだか...って、車止めてくれ!!」
憂鬱げに窓を眺めていた少年は目にダンボールが映る。
拾ってください、と書かれたダンボールに入ってるものはあれしかない。

「なんや若、そんなに家にかえるのがいやでっか?」
運転手は少年の上げた大声に驚きつつも車をゆっくりと止める。

少年は車が止まるとすぐさまドアを開け雨で濡れてびしょびしょになってしまっているダンボールに駆け込み中を覗く。
そこには雨にぬれ、体温を奪われて震えている犬が数匹、身を寄せ合っていた。
すでに鳴き声を上げる気力もなくなっているであろうその犬達は少年の気配を感じ、少しだけ目を開けた。

「若ー、傘もささんと何覗かれてはるんや。風邪引いたら皆のもんが心配しまっせー。」
運転手は助手席に立てかけてあった傘を持ち、少年の所へ駆け寄り、傘を差しかけ少年の覗くダンボールに目を向ける。

「なんやこれ?濡れ雑巾でっか?」
「いやちげえだろ。犬だ。」
少年はそういうと大事そうにその体に似合わぬ大きいダンボールを危なげに抱える。
「いぬ!?ま、まさか若。それ持って帰るなんていわへんやろな?」

テツと呼ばれたその男は傍目かわも分かるように体をガタガタと恐ろしいものでも見たかのように震える。
「こんなとこにこいつらを放って置けるわけないだろう。」
少年は体をガタガタと震わせて何かに怯えているテツを不思議そうに眺めながら雨にぬれて座席が汚れるのもかまわず車にダンボールを乗せる。
「若ぁ、堪忍してやあ、今日は劉煉さんがおるんやで。俺、殺されてまうわあ。」
ガタガタと尚も体を震わせているテツがしどろもどろに成りながら声を上げる。
「?」
意味が分からない、と少年の頭に疑問符が浮かぶ。
「あの人、大の犬嫌いやで...。」





ここまで書いて飽きた。
楼さん=少年で昔の話。
楼さんちは893さんの家ってことで。

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2012/03/05 22:01
此方から申請しました^^*



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