ティータイム♪遅れてきた乱入者(前編)
- カテゴリ:自作小説
- 2012/03/10 22:36:54
バンッ!!!
という大きな音と共に、突然部屋の窓が開き、強い風が部屋を吹き抜ける。
突然の風に、茶色の青年は、被っていたシルクハットを軽く押さえ、白い青年は床に脱ぎ捨てていたローブを慌てて拾い上げ、黒い少年は開け放たれた窓の方を一瞥すると、すぐに紅茶へと目線を戻した。
「悪ぃ!!遅れた~っ!!つか、今帰ったぜ!ただいま!!」
よく通る大きな声が部屋中に響き渡る。
「うるさい。」
「騒々しいね~。・・・散れ。」
「お帰りなさいそしてさようなら。」
迷惑そうな、呆れたような顔で声の主の方を見ると、3人それぞれに割と辛辣な言葉を発する。
「・・・・・・・ヒドクね?つか、散れはなくね散れは・・・」
あんまりの扱いに若干涙目になる声の主。そのままどんよりと落ち込み始めてしまった。
「冗談ですよ。」
ニコニコと微笑みながら、茶色の青年が、4つ目のティーカプと紅茶を用意し始める。
「どうでもいいからさっさとこっち来なよ。後、早く窓閉めて。寒い。」
「ホコリが舞い上がってお菓子が台無しになる前にさっさと閉めて~。クヒヒッ、主がそんな登場さえしなければ、散れなんて言わなかったし思わなかったんだケドね~。」
「どんな理由だそれ。ホコリか?ホコリのせいなのか?」
パタンと窓を閉めると、声の主は白い青年の言葉に噛みつきながら、バタバタと皆の元にやって来て、左側に置かれている1人用ソファーにドッカリと腰をかける。
「クヒヒッ・・・我は、ただお菓子が台無しになるのが嫌なだけさ~。」
白い青年は、声の主の言葉をサラリと受け流しながら、すっかり中身の無くなった菓子皿の縁を人指し指でそっと撫でる。
「俺<お菓子かよ!!」
白い青年の言葉に拗ねたような表情で、眉間に皺をよせると軽く頬を膨らませてそっぽを向く4人目の男。
この4人目の男、見た目は茶色の青年と白い青年より少し年下の、やはり青年の姿をしている。年齢は18,9歳位だろうか。灰色の髪をしており、横の髪が外にツンツンとハネているような髪型をしている。ツリ目の目は蒼く鋭く、本気で睨まれた誰も動けなくなる位の迫力を持っている。黒のタンクトップに、ファーの付いた灰色のジャケットを着ていおり、下は黒い革製のズボンに灰色のハイカットスニーカー(スパイク付き)を履いている。右手の人差し指と薬指、左手の小指にそれぞれデザインの違うシルバーリングを着けており、他にも、右耳に1つ左耳に2つづつシルバーのピアスを着けて、首には黒いチョーカー(真ん中に銀のスカルの飾り付き)とロザリオの付いた銀のペンダントを、腰には、ベルトを着けており、そこから銀のチェーンがジャラジャラとぶら下がっていたりと、シルバーアクセサリーを好んでいるようで結構な量を身につけている。
「クヒヒヒッ・・・何言ってるんだい?当たり前じゃないか~。」
白い青年の容赦のない言葉に、灰色の青年は、思わずガックリと肩を落とした。そんな灰色の青年の様子に、黒い少年はため息をつくと、灰色の青年の背中をポンポンと叩いて慰める。
「どんまい。」
「お前・・・・・何で棒読みなの?」
一瞬感動しかけた灰色の青年だったが、黒い少年の棒読みさ加減に思わずツッコミを入れる。
「可哀想だとは思うけど、同情まではできなくて。ごめん僕不器用だから。」
「腹立つ。逆に腹立つんだけど!!」
黒い少年の言葉に、灰色の青年は、若干震えながら拳を握り締めると青筋を浮かべる。
「ど~んま~い~。クヒヒヒッ・・・クハハハッ・・ハハハ・・・」
爆笑しながら、白い青年が、ユラリと長い腕を灰色の青年のにの腕まで伸ばすと、それをバシバシと叩く。
「お前らなぁ~っ!!!」
あんまりな扱いに、灰色の青年は思わずブチキレそうになる。
後編に続きます。