Nicotto Town


つれづれ 思うがままに


ティータイム♪遅れてきた乱入者(後編)

「まぁまぁ、落ち着いて下さい。」

今にも、キレそうな灰色の青年の頭をポンポンと叩きながら、茶色の青年が、紅茶の入ったティーカップを彼に渡す。

「紅茶が入りましたよ。さぁ、どうぞ。」
「お、おぉ、サンキュ!」

茶色の青年の言葉に灰色の青年は、何とか怒りを鎮めると、ティーカップを受け取る。

「良かったね~・・・大事に飲むんだよ~・・・気をつけるんだよ~・・・こぼしてズボン濡らさないようにね~・・・クヒヒヒッ・・・」
「もう、お前ちょっと黙れ。」
「いい加減にしなよ。僕のケーキ一つあげるから。」
「さすがにしつこいですよ。お止めなさい。」

まだ灰色の青年イジリを続けようとする、白い青年を茶色の青年がいさめ、黒い少年が白い青年の目の前に、ティラミスを置く。

「クヒヒヒッ・・・ごめんごめん~・・・ケーキ、ありがたく頂くよ~・・・」

白色の青年は、楽しそうに笑いながら、ちっとも反省してなさそうに謝ると、目を開眼させ、ケーキを鷲掴み、一口でまるごと口に入れてしまった。

「ったく、茶もゆっくり飲めやしねぇ・・・」

灰色の青年はイラつきながらも、ティーカップをゆっくり鼻に近づけると、紅茶の香りを嗅ぎ始める。何度か嗅いだ後、一つ頷くと茶色の青年のほうを見てニヤリと笑う。

「ブレンド、変えただろ?」
「さすが!分かりますか?」
「あぁ。例のアレを少し減らして、あっちを増やしただろ?んで、さらにこっちを足した。」
「ご名答!!相変わらずの嗅覚ですね。」

2人掛けソファーの後ろにある、茶葉専用の棚の引き出しを指さしながら、灰色の青年が得意そうに茶葉を当てていき、それに嬉しそうに茶色の青年が頷く。

「そうなの?ぜんっぜん気づかなかった!」
「まぁ、お前はかなり冷ましてから飲むしな。その頃には匂いも味も変わっちまうし。」
「そみょそみょ、ぶえんどなんへしてはんばね~・・・」
「お前は論外だな。つーか、口にモノいれたまましゃべんな!!聞き取りにくいんだよ!!」
「そっちですか!?お行儀が悪いとかではなく、そっちなのですか!?」
「ひょめん~・・・とこほで、こほへーきっへ・・・・・」
「おい、だからモノ入れたまましゃべんなっつてんだろ!何言ってるか分かんねぇよ!!」
「というか、いつまで口の中に入れてるんですか?さっさと飲み込みなさいよアナタ。」
「もう皆うるさいよ。話しズレてるし。」

ギャァギャァと騒ぐ年上メンツに正しいツッコミを入れる最年少の黒い少年は、ため息をつきながら、紅茶の最後の一口を飲み込んだ。


まだ、しばらく続くであろうお茶会は騒がしく、でもどこか温かい。窓に覗く月だけが、彼らをそっと見つめていた。






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