Nicotto Town


つれづれ 思うがままに


ティータイム♪満月の夜

満月の夜は特別―――――


「水筒にお茶入れたでしょ、バスケットにお菓子とサンドウィッチも入れた!!それからそれから・・・・」

あっちこっちと、パタパタと忙しそうに動き回る翠を、瑞と賢が微笑ましそうに眺めている。

「一生懸命で可愛いですね。」
「まぁ、翠はいつも可愛いけどね~・・・クヒヒヒヒッ・・・」
「・・・・何故でしょう、アナタが言うと変態っぽく聞こえます。」
「え~・・・ヒドイな~・・・・」

しばらく、忙しそうにしていたが、準備が整ったのか、翠は満足そうに笑って頷くと、トテトテとある人物のもとへと近づき、その人の服を後ろから思いっきり引っ張った。

「うおっ!!」

熱心にアクセサリーを磨いていたその人は、突然の事に驚いて後ろを振り向く。

「へへ、ビックリした!?」
「お前な・・・・」
「ねぇねぇ、蒼、お月見行こうよ!!今日は満月だよ!!」
「お~、そっか。いいぜ!」

翠が声をかけたその人、もとい蒼は、磨いていたシルバーの指輪を薬指にはめると、翠の頭をクシャりと撫でる。

「やったぁ!!じゃぁ、行こう!!もう、お茶とお菓子は用意してあるんだよ!!」
「おっ、準備万端だな!と、いいたいとこだけど、下に引くシート忘れてるぞ。後、膝掛けな。」
「あ~、それは蒼が用意してくれると思って・・・」
「ウソつけ。」

クスリと笑い、翠の額をグリグリすると、2人分の膝掛けとシートを持って蒼は窓の方へ向う。その後を、水筒を肩にかけ、バスケットを持った翠が付いていく。

「じゃぁ、俺らちょっと行ってくるわ。」
「多分、1時間くらいで戻ると思うから。」
「留守番よろしくな。」
「いってきま~す!!」

賢と瑞にそう告げると、2人は颯爽と窓から出て行った。

「いってらっしゃい。気をつけるんですよ。」
「クヒヒッ・・・お土産よろしくね~」

そんな2人を、賢は優しく見送り、瑞は軽くムチャぶりをする。2人が出ていって静かになった室内に、窓から涼しげな風が吹いてくる。

「行ってしまいましたね。しかし、彼らは一体いつになったら扉の方から出入りするのでしょうか・・・・」
「クヒヒッ・・・多分一生無理なんじゃないかと我は思うね~・・・」
「そして、開けた窓は閉めて下さいと毎回言っているのに、どうしていつも開けっ放しで行くのでしょうか・・・・」
「もう、そのへんは諦めたほうがいいかもね~・・・クヒヒヒッ・・・」

開けっ放しの窓を閉めながら、困ったように呟く賢に楽しそうに瑞が応える。そんな瑞の方に向くと賢がふわりと微笑む。

「私たちもお月見しましょうか?」
「・・・・・へ?」
「そんなに驚かなくても・・・」
「や~・・・ちょっと予想外だったから~・・・」
「たまにはいいじゃないですか。2人でお月見。」
「いや、まぁ、悪くはないケドね~・・・」

積極的な賢の誘いに、瑞は少し戸惑ったように笑うと、長い指で、ポリポリと頬をかく。

「まぁ、お月見といっても、彼らのように出掛けはせず、ここで窓に映る月を見る程度ですが。」
「あぁ・・・なんだ、そういうことね~・・・」
「出掛けたかったですか?」
「ん~・・・・まぁ、それはそれで楽しそうだけどね~・・・どちらでもいいかな~・・・我としては。」
「何か、そう言われると寂しいですね・・・」

賢は、瑞の言葉に残念そうな表情をしながら、ポットに茶葉を入れる。そんな賢の様子に、フッと笑うと、瑞は賢の側に近寄り、耳元に唇を寄せるとそっと囁く。

「主の入れたお茶とお菓子が食せるならどこだっていいのさ。我はね。」

クヒヒヒッとお得意の笑い声を上げると、そっと賢から離れてもと座っていた椅子に腰掛ける。

「・・・・・バカですか///」

小声でそう呟くと、わずかに、頬を染め、紅茶を入れる手を早める。そんな賢の様子に満足気に微笑むと、瑞は窓に映る月に視線を送る。

「あぁ、本当に、綺麗な満月だね~・・・・」



今宵は満月。美しく輝く月の下、ロマンチックなお月見、しませんか?





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