Nicotto Town


濃すぎる毒入り日記


AV男優

なんかのバラエティ番組で、「女優」チームと「俳優」チームに分かれているのがあった。
「女優」チームは、「女性の俳優」が60~20代までいた。「俳優」チームは、同様の広がりのある年齢層の「男性の俳優」だけがいた。

「俳優」=「女優」を含む表現
「女優」=特に女性であることを明らかにしたい場合の「俳優」に代わる表現
「男優」・・・???

どうも「男優」という言葉が、あまり使われていないという気がします。

この辺は、俳優とか演劇の歴史と関係あるのかなぁ?

例えば、日本では歌舞伎、能など全て男性だけで演じられます。出雲阿国が歌舞伎の元祖なんていうけど、あっというまに女性は舞台から排除されます。ケガレとかそういう発想が関係あるんだったかなと。
なんで、明治になって、欧米から流入した演劇をやろうにも、女性が役者をやることへの世間の目はとても厳しく、いまでいうAV女優のように白眼視されることもあったそうです。

この当時は、舞台で何かを演じる人を指す言葉は「役者」の方がメジャーだったようです(俳優も、古来から由来のある言葉ではあるけど)。歌舞伎や能の演者は絶対「役者」というわけです。
勝手に思うのは、「女役者」という言葉を使い難い雰囲気がある中で、英語のactor/actressの訳語に俳優/そして造語の女優を考えた人がいたんだろうなぁと。
ここでポイントは、オスカーでもBest Actor/Best Actressを選ぶけど、日本語では主演男優・主演女優と訳しているけど、英語でも最近はPCで言われるけど、人間=男な単語があるわけです。

ということで、男は「俳優」という一般用語、女は「女優」という限定用語で済み分けた歴史から、最初のような違いが出来たんですかね。

そして、ここ20年くらいで、改めて限定用語となったのが「男優」。その限定とはAVですね。
AVは、俳優=女優で、そもそも男性の出演者はinvisibleな扱いでした。それが、一部の男性出演者が脚光を浴びるなどして、彼らを評価する動きが起きる中から、「男優」という表現が出来たように思います(注:ポルノ女優といっても、ポルノ男優とはいわなかった)
その結果、男優=AV男優という刷り込みが暗黙のうちに出来てきたのではないでしょうか。だから、敢えて俳優チームと女優チームという不均衡を許してしまう。

あと、「役者」と「俳優」について、歌舞伎を演劇より上位とする偏見が近代日本にはあって(というか、いまでいうホストで非差別階級だった歌舞伎が上というより、それよりも下という演劇差別があったということ。だから、芸能界は外国人や非差別階級に寛容)、演劇や映画の人が「役者」を名乗るはヨシとされなかった時代があったようです。
で、この「役者」>「俳優」というイミフなヒエラルキーは、その後も、映画>テレビでも反映され、映画役者はあっても、テレビ役者はないといった感じになります。

おそらく、小栗旬くらいが「役者やってますが」というと、特に演劇出身のベテランの方ではむっとする人もいるのでしょう。

なかなか面白いのは、被差別階層に寛容という面と、ジャンルでの格差という一面を、芸能界が両方持っている点。
男優という言葉の差別性をここまで考えてみたけど、まぁ「男優」自体は悪口ではない。
しかし、これ、AV男優の中でも最下層にある「汁男優」とすると、正に悪口であって、有吉が南キャンの山ちゃんをそう呼んでいたりする。

そういえば、宝塚とかは、「男役」の対語が「女役」ではなく「娘役」だけど、これもたぶん歴史的経緯があるんだろうなぁ。

#日記広場:テレビ

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2012/04/03 19:26
Olivierさん、コメントありがとうございます。

ご紹介の人は、Yahoo知恵袋ですね。
今回のような一発回答のないものでは、色々な答えが出てきて面白いです。

ブログを書いてからも調べていたのですが、江戸時代は「役者」が基本のようです。で、江戸初期(歌舞伎黎明期)で弾圧された女歌舞伎はその後はアングラ的にしかし脈々と受け継がれ、「女役者」という存在を残していたようです。
しかし、この「役者」って言葉=歌舞伎界が、明治になって欧米演劇をやろうとした人々をいじめて、「役者」という言葉を使わせなかった中で、誰がどのように「俳優」という言葉を持って来たのかが分からないのですよね。

あるいは「俳優」という言葉がどのように受け継がれてきたのかも。

あと、俳優と役者についてのYahoo知恵袋の解釈は、なんか違うと思います。
俳優というのは、自分の演技を不特定多数の人に見せることを職業とするものを指す言葉。
役者は、俳優が自らの職業に誇りを持って名乗る自称、または他者がその人の演技や俳優としての生き方を尊敬しての敬称かな。あと、俳優自身または俳優間で自らの生き方を自虐しての呼び方(この自虐は、プライドの裏返し)

ちなみに、俳優の俳は、「人に非ず」と読めるが、仮面劇やトランス劇のように、日常とは違う演技をする人を称してのものであって、江戸時代の「非人」とは切り離して考えるという説に一票。

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2012/04/01 16:48
そう言えばシュワちゃんが知事になった時、週刊誌に、
「元ポルノ男優の・・」と書かれていたのを思い出しました。
言われてみれば日本では、「男優」と個別表現するのは稀ですね。

でっちさんの仰るように一般大衆芸能の祖、能・歌舞伎の世界に、
(公称)女性が皆無だったからではと推察します。役者=男性と。

つい最近まで某紙の「私の履歴書」で連載されていた佐久間良子さんも、
女優になりたての頃は「人気時代劇俳優の単なる添えもの」でしかなかったと書いていました。
また名家出身で有名な司葉子さんも、女優になると聞いた親族は、
家の恥だと嘆き悲しまれたと言っていました。女が俳優業をするのは「はしたない行為」なのだと。

世界的に見ても、大昔から女性の地位は低く、「人前に晒すべからざる存在」でした。
でも「けがれ」などと蔑まれた女ですが、その女からしか子は産まれません。
その子(男)が女を差別する事自体、イミフでなりません。

話を戻します。
「俳優」と「役者」の違いは何だろうと、改めて考えさせられました。
今まで感覚的に使い分けていただけに興味があります。

調べてみましたら、azuravle666さんが面白い考察をされていました。抜粋しますと、
『「俳優」は総称、「役者」は呼称である。
「俳優」はその昔「俳人(わさびと)」と言い、神事で神が降臨する様子を模して演じる人だった。
そこから発展して、何かを演じることが「優れた人」ということで「俳優」になったのだろう。
一方「役者」は、芝居をやる上でキャステイングされている人、もしくば生業とする人を指す。
つまり職業を問われた時、「俳優の役者部門です」と答えるのが正確さを期しているのではなかろうか。』

と言った内容で、「なるほど」と思ってしまいました。
あくまでも「一考察」のようですから、鵜呑みにしてもいけませんが。

言葉は生きていますからね、時代と共に本来の意味から独り歩きすることもあります。
また「流行語」ではありませんが、大衆の口に馴染んだ言葉が市民権を得る場合もあります。

宝塚の「娘役」、言葉的には「男役」に対応する「女役」でいいハズですね。
30歳を優に超えたタカラジェンヌが「娘」を名乗るのも・・・。







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