Nicotto Town


ヒロックのニコタ生活


村のおきて

画像

その頃の僕は暇を持て余し、暇つぶしにネットの中をさ迷い続けていた

ある時、偶然ふと気になるサイトを見つけた

木曾の山奥人知れずひっそりと人々が暮らす村がある

平家の落人伝説の村なのだろうか

僕は、暇だけは十分にあったので

さっそく、その村に行ってみようと思い立った



駒ヶ根の駅で降りて、バスに乗ってしらび平に行き、ロープウエイで千畳敷へ行き

そこからは徒歩でその村を目指す

随分歩いただろうか、ここいら辺なのだが

ふと見ると、道端の藪の中に一人の男の子がじっと僕を見ていた

僕は、その子に村はこの方角でいいのかと聞くと

少年は、コクッと頷くと藪の中に消えていった

さらに、しばらく歩き、やっとその村にたどり着いた


村に入ってほどなくして、村の一人の老人が僕を窺がうように現れた

すると、また一人の中年の女性が現れた

すると、次々と人々が現れ、あっという間に村人に囲まれてしまった

その人垣の中から、老人が僕に近づき、話しかけてきた

「わしは、この村の村長だけんが、あんた、ここらで見かけんだど

どっからきなさった?」

「はい、ネットで調べて、東京からきました。」と、僕は答えた

村長は「ネット?東京?はて、なんのことだか。とにかく、こっちゃきなんせ。」と

笑顔で手招きをした

意外なことに、どうも歓迎されてるようだった

そして、僕のために村人全員が集まって宴会を開いてくれるのだそうだ

宴会は盛り上がって、飲めや、唄えの大騒ぎだった

村長さんが、僕のところにお酒のお銚子をもって、お酒を注ぎにやってきて

笑顔で楽しくてしょうがないって顔で、僕に尋ねた

「ちょっと気になることがあるんだども、この村には、古くから言い伝えがあって

村の入り口と出口を決して間違えちゃいけんちゅう決まりがあるんだども

お前さんは、岩の門から入ったのか、それとも木の門から入ったのか

どっちじゃ?」

僕は、かなり酔っ払っていい気分で、笑いながら答えた

「木の門からですよ。」

村長は、突然真顔になって、「皆の衆、宴は取り止めじゃ。

客人が村の掟を破ったんじゃ。こ奴は、出口から入った。」と、叫んだ

村長は、僕の襟首をつかんで、叫んだ。「こやつを、ひっとらえろ」

僕は、駐在所に連れて行かれ、牢屋に入れられた

僕は、村長に涙ながら訴えた。「そんな~、入り口とか出口とか、立て札も何にも

かいてなかったんだから、しょうがないじゃないですか~。」

村長は、僕のそんな言い訳も意に介さず、「おまえさん、えらいことをして

しまったな。どんな祟りがあるのか、だれにもわからん。

地割れがあるのか、津波が来るのか、大地震がくるのか、恐ろしいことじゃ。」



ところが、何日経っても災いは、何も起こらなかった

村長さんが申し訳なさそうに、「旅の方、この度は、失礼しました

どうも、これはただの迷信だったようですじゃ

さあ、お詫びに、あなたのために宴の準備をしてありますじゃ」

僕が、宴の席につくと、村人全員が頭をひれ伏し謝っているようだった

村長が、村人に言いました。「祟りは、迷信じゃった。喜ばしいことじゃ

さあ、皆の衆、飲んどくれ。」

すると、全員がパンツを脱ぎ始め、何をするのかと思って見ていると

なんと、肛門から食べたり飲んだり、し始めた

出口から入った祟りとは、このことだったのだったのか

つまり、食べ物の出口から、食べ物が入る

僕は、驚いて逃げようとすると、村長さんらに「さあ、客人も、パンツを脱いで

ご馳走を食べなされ。」と、手足を押さえつけられパンツを脱がされた

僕は「いやだ。いやだ。」とわめいているうちに、だんだん気が遠くなって

意識を失った


「しっかりして、もう大丈夫ですよ」と言う声で我に返った

そこには、3人の山岳レスキュウ隊が僕の体を支えていた。

僕が目を開くと「捜索願が出てたのですよ。一週間もよく、生き延びてましたね

さあ、もう大丈夫です。ヘリコプターに乗ってください。でも、その前にちゃんと

パンツをはいてください」



僕は、そのまま病院に連れて行かれた

その村のことを誰に話しても、皆一様に、遭難して幻覚を見たのだと決め付けた

一週間ほどで退院して、僕も幻覚だったと思い始めたころだった

ネットでいくら探しても、検索できなかったあの村のホームページが突然現れた

そこには、押さえつけられてパンツを脱がされている僕の写真が、写っていた

そして僕を押さえつけてるのは、人間ではなくきつねやたぬきや野うさぎだった

おそらく、出口と入り口の村の掟もでたらめなのだろう

ただただ、僕をからかってるだけのドッキリなのだろう

他にも騙された人の写真も写っていた

でも、この人は、たぶん入り口から出たとでも言ったのだろうか

食べ物の入り口、つまり口から食べたものが出るという祟りなのだろうか

その写真は獣たちに押さえつけられ、口の中いっぱいに落ち葉が詰まっていた

                          
                          おしまい

アバター
2014/03/09 22:16
こんばんは
ヒロックさんの不思議な世界に惹かれてまたやってきてしまいました。

後になってから呆然と我が身に降りかかった事柄を振り返る…
入口から出たと言って騙された人にとっては、落ち葉はもしやあの世界ではアレだったのでは?そう思うと主人公はまだましだったのか、そうでないのか…
祟は本当にドッキリだったのか?主人公はなんとか自分を納得させようとしていましたが、後々思い出しては悩むことになったのでは…
主人公にとっても俺自身にとっても余韻引きずりまくりの話でした。

アバター
2012/04/24 23:22
kannoさん こんばんは

村の入り口と、出口を間違えたために
なんとも、恐ろしいたたりが起きてしまいました。
今回も、汚いシモネタになってしまいました。
今後は、安直な笑いから脱却し、もっと、みやびなストーリィーを書くべく
心を入れ替えて、精進します。
期待してください。
これから、夕飯ですので、パンツを脱がないと、では。

アバター
2012/04/23 22:51
ヒロックさんのストーリーには毎回やられますね~^^
ちょっと思ってもみなかった入口と出口!
しかも人間を騙そうとする森の動物達。
人間に対してどれほどの憎しみを持ってるのでしょーか
今回もおもしろかったです^^

写真もとてもほのぼのしてていいですね^^
また次回楽しみに待ってまーす!
アバター
2012/04/23 17:51
茉莉華ちゃん こんにちは

ちょっと、先走りぎみに、花火をお楽しみ下さい。
ヒュ~~~~~・・・・・ドドドドド~~~ン!!
音響効果を、入れてみました。
ヒュ~~~~~・・・・・ドドドドド~~~ン!!
スカイツリー、来月から、公開ですね。
アバター
2012/04/23 10:37
スカイツリーと隅田川大花火大会・・・すごい上手です。(他のお部屋も!)
またまた森の動物編ですね~~w
肛門から食べたり飲んだりがちょっと・・・orz 汚いです





Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.