ペルソナ4について語る2
- カテゴリ:ゲーム
- 2012/04/23 10:26:35
しかし、初見プレイでの感想は、「なんじゃこりゃあ」であった。
まず、冒頭からのイベントシーンが長すぎた。
途中休憩にセーブのタイミングがあるのだが、セーブの次はまた長いセリフの応酬。
しかもフルボイスだから、普通に見ているとアニメ1本分くらいの時間がかかる。
ゲームの主役であるペルソナ戦闘、ダンジョン探索がいっこうに始まらない。
ようやく最初のボスとバトルになった時は、すでに2時間が経過していた。
これはちょっとゲームとしてのテンポが悪いのではないか?
ダンジョン探索は前作と同じ生成型ダンジョンで、一部を除き、進むたびに同じマップにならない。
迷路はさほど難しくなく、さくさく進める。
バトルは、初回から「expert」にしたせいで、完二の影戦で詰みそうになった。
何度も「ああ、最高難易度にするんじゃなかった」と後悔したものだ。でもギリギリで勝つのが気持ちいいんだよね。
短い探索ミッションが終わったら、また日常モードと長いイベントを眺める繰り返し。
やたら長いセリフシーンは、ただ聴いてるのが退屈で仕方なかった。
時々全力で笑わせてくれるところもあったものの、演出やセリフにムダが見られ、もっと削ればテンポも感動も良くなったのにな…とイライラしたこともしばしばだ。
特に、終盤の病院のシーンは頭を抱えた。
主人公の大切な妹分である奈々子が、主人公達の追う事件に巻き込まれて死んでしまうのだが、正しい選択肢を選ぶと生き返るのである。
彼女がどうして生き返ったのか、ゲームでは詳しい説明がなされていない。
キーパーソンであるクマが何かしたわけでもないようで、そのため、「偶然起こった奇跡」として片付けられているようなのだ。
容量の関係か、感動音楽が1曲の使い回しなのも気になった。冒頭悲しいけれど展開部分で明るくなるため、繰り返し聴いていると悲しくなくなってくる。
なんだか奈々子が亡くなったことが明るいことに感じてくる。これは大いに改善の余地ありだ。
でも何より「あ~…」と失望したのは、正しい選択肢を選んだ後「どうしてこうなったのか推理しましょう」とセリフシーンが入ったところ。
これは流れとして演出がひどすぎる。さっきまで泣いて怒っていたのに、深呼吸一つで全員冷静になれるお前らどうかしてるよ?
で、その後「奈々子が息を吹き返しました」
はっきりいって、腹が立った。奈々子はとてもかわいくて、そりゃあ生き返ったら嬉しいけれどもよ。
でも、こんな重要なキャラがあっけなく死ぬわけがないと予想していたので、これはまったく予想を裏切らなかった。
その辺、アニメではうまくまとめていて、多少の矛盾点はあったものの、いつもクールな主人公が、残酷な現実に対して年頃の少年らしく泣いて、怒りをあらわにしていたのが良かった。こういうところ、ゲームでやってほしかったな。
この件に関して、キーパーソンのクマも、特に何か特別な意志によって存在させられたわけでもなく、偶然みたいに生まれただけでした、みたいな真相で、これもどうかと考えさせられたよ。
でも、彼の司るアルカナは「星」である。
絶望や怒りがうごめく人間の無意識の世界で、たったひとり自我を芽生えさせ、「愛されたい」と願って生まれた彼の存在意義は、やっぱりアルカナが意味する「希望」と良く合っていると思う。
だから、彼が自分の正体について主人公に語る部分で、初めて涙ぐんだ。
3でも同じテーマのキャラがいたけど、彼女より心に響く部分があった。
やっぱり、どんな存在でも「愛」を求めているんだ…って主題は感動する。
人類の命題だからかな。
不満といえば、全体のストーリーの流れも、とても良いとは思えなかった。
一応キャラのセリフの中で、「今が中盤ですよ」「次がクライマックスですよ」的に教えられるのだが、開幕時から、仲間を助ける→事件の犯人を推理する、の繰り返しで一年を過ごすので、クライマックスへの盛り上がり方に難があった。
年末近くに真犯人が判明した時に、主人公達の街は不穏な気配に包まれるのが、シリーズ恒例の世界破滅風景を裏切らなくてよかったとは思う。
けれど、2の時みたいに街が一個宙に浮いたり、3の時みたいに、空から何か降りてきたりとかはしないため、実に淡々としていた。
このあいまいさ加減と伏線の回収の為か、終わりの終わりに正しいルートを選ぶことで真相が明かされる仕組みになっているが、どうも無理やり感がしないでもない。
ここまで書くと、まるで良いゲームではない印象に読みとれるかもしれない。
しかし、こういう見方をできたとき、ガラリと気持ちが変わってくる。
ペルソナ4というゲームは、「こういうゲームなんだ」と。
つづく