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カエル村物語 2


 地獄使者はこの日、カエル村の住人ガエル達に6通の黒紙を手渡すことになっていた。
どこの家でも手渡すのに時間が掛かり、持っていた黒紙が最後の一枚になった時には夕方近くになっていた。
「最後の一枚は渡したくないな」
地獄使者はそう呟くと村の出口の近くにある蓮池に向った。
蓮池ではゲココが一日の池での作業を終えて、家に帰る用意をしていた。
「おつかれさまです。今日はもう終わりですか」
地獄使者は来たときと同じようにゲココに近寄り、そう声を掛けた。
「あぁ、おつかれさまでした。はい、今日はもう終わりです」
と、ゲココが普通に挨拶を返した。
ゲココは村で何が起こったか知っていたが、ただの配達人である地獄使者のことを恐れたり恨んだりはしていなかった。
今までの配達人がゲココに声を掛けたことも近寄ってきたこともなかったのでそう思ったのかもしれないが、村人達は配達人を悪魔の手先だと憎み恨んでいた。
それで、ゲココは私には関係ないことと心の中で思っていたが、それは村人の反感を買うことになるので表にはださなかっただけなのだ。
「村のカエル達は配達人の僕を嫌ってるのに、君は僕が嫌いじゃないの?」
「別に何とも思ってません」
ゲココが答えた。
「へぇ、そうなんだ。もしも今君に僕が黒紙を渡したら君はどうするのかな」
「そんなこと考えたことありませんでした。たぶん悲しむと思います。私がいなければお父さんもお母さんも困ってしまいます。もしかして私に黒紙が来たのですか?」
「それはまだ言えない。いったら君はおしまいになってしまう」
「やっぱり来たんですね。わぁ、どうしよう。お母さんになんて説明すればいいの」
ゲココは突然の不幸の到来に、心の奥から不安と悲しみが込み上げてくるのを感じた。
「まだ来たと、言ってないよ」
「じゃ、なんでそんなこと聞くのですか?」
ゲココは心の動揺を抑えるために攻撃的になっていた。
「君が何で僕を憎んでいないのか知りたかったのさ」
と、地獄使者が冷静に答えた。
「私には来ないと思っていたからです。でも来たなら憎むかもしれません」
「やっぱり憎いんだ」
「誰でも不幸をもたらすヒトを憎むのは当たり前です」
「もし僕が召集令状が来てないと君に告げたら、君は僕と逃げることができるかな」
「どういう意味なのか分りません。来てるのか来てないのかどっちなのですか?」
ゲココは心の動揺が大きくなっていて、地獄使者の話とその内容が分るほど心に余裕がなかった。
「ここに一枚の黒紙が残ってる。今、君の物かどうかは話さない。もし、君が今この村を捨てるなら永久に話さないだろう。僕と逃げてくれないか」
「やっぱり私に来たのね。どうしよう。逃げるって、私がもし逃げたらお母さん達も連れていかれてしまう。そんなことできません」
ゲココは状況を理解し始めていたが、それが現実とはまだ思うことができなかった。
「だから僕はまだこれを君に手渡していないし話もしていない。これが君のかどうか、まだ君は知らない。お母さん達はそれなら大丈夫だよ。けれどこの状況では、任務を放棄した僕自身が危ないんだ。だからいしょに逃げてくれって頼んでるだよ」
地獄使者は黒紙をチラッとゲココに見せた。
「何故、私だけには渡さないのですか。それを私に渡せばあなたは助かるのでしょ。何故、危険を犯してまで私と逃げたいのですか?」
「君と人生を歩んでみたいからさ。君をきっと守りぬくよ」
地獄使者はゲココにそう、はっきりと言った。

#日記広場:自作小説

アバター
2012/05/20 12:32
連れて行かれたら釜茹でになって皮むかれて、
ザリガニ釣りの餌になりますね~
でなかったら、塩水につけられ針金を神経に刺されて
生体燃料電池の国家的実験。←当節風♪
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2012/05/20 11:42
ロマンチックな展開~
…三話目がどう転ぶが怖いような^^;
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2012/05/19 22:25
急展開!
謎が多いだけに危険すぎる旅のはじまり……
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2012/05/19 19:51
わ・・・・。

駆け落ちしちゃうのかしら?  どき。



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