Nicotto Town


ござるでござる。


忍猫物語外伝3

※下記SSは、うちのニコペットが主役の、ニコッとタウンを舞台としたお話です。
※基本的に、軽いノリのお話なので、感動するものは何もありませんが、箸休めにどうぞ。
※今回、盛り込み過ぎて文字数の制限いっぱいの長文になってしまいました><;



 ニコット民でさえも許可なく立ち入ることのできない、ニコッとタウン行政府。
 その地下にニコッとタウンを非公式に守護してきたSG(スマイル・ガーディアンズ)本部があることは、ほとんど知られていない。
 裏の治安維持組織SGの長官は、青いネコのきぐるみに身を包んだ人物で、その本名は謎のベールに包まれているが、SG内部からは「長官」、外部の者からは「裏事務局にゃん」と呼ばれていた。
 外見が色違いであること以外は、行政府代表の事務局にゃんと瓜二つであることから、双子の妹だとまことしやかに囁かれている。
 その裏事務局にゃん、あるいはSG長官は夜間の就業時間中はひたすら甘味を食しているが、その夜、4つめのアイスバーを舐めていたSG長官は、オペレーターの急な報告にアイスバーをくわえたまま耳を傾ける。
「危険指数4の魔界生命体が、ニコッと群島に出現しました。第89群島、南南域です」
「じゃー、調査員を1人送ってちょーだい」
 間髪入れずに返って来る長官の指示に、オペレーターは怪訝な色を隠せなかった。
 危険指数4
 マイホーム島を丸ごと1つ消し飛ばせる個体の出現という意味である。マニュアルでは実働部隊を一個小隊は派遣するほどの脅威とされていた。
 オペレーターが長官の裁定に疑問の声を発するより先に、長官はアイスバーを舐め舐め、不自然にも思える指示の種を明かし始める。
「うちと協力関係にある民間の自警団が23コあるけどー、そのうちの1つが第89群島を縄張りにしてるのー」
「では、その自警団に出動要請を出しておきましょうか?」
「しなくていいよー。だって、危険指数4が現れた先って、その自警団の本拠地だからー。まー、警察に泥棒に入ったようなものねー」
「なるほど、それで調査員1名ですか・・・。承知しました」
 オペレーターが事後調査用の人員を派遣する手続きに入ったのをぼんやり眺めながら、長官はまるでそれが仕事だと言わんばかりに熱心にアイスバーを食べ尽くす。
「さてとー、北のお姫様さま方、どっちがお手柄かなー?」
 最後に残ったアイスバーの棒には、「あたり」と焼印が押されいて、長官はニコッと笑って次のお菓子を物色し始めた――



   第3話 「魔犬(後編)」



 海に叩き込まれて条件反射で猫掻きをしていた新米忍猫・冷香は、自前の冷静さを取り戻すと忍法・水上歩行の術で海面に四肢で立つ。
 あの、火を操る黒い魔犬は只者ではない。対峙したのはわずかな間だったが、それくらいのことは若葉マーク忍猫の彼女にでも分かった。
 冷香の直感では、先輩ら一人前の忍猫たちと互角に渡り合えそうな気がしていた。
 そして、忍猫になりたての自分が退けられたのなら、まだ修行中の姉の氷冴では話にもならない。
 間が悪いことに、忍猫の先輩たちで結成されている忍猫戦隊「花鳥風月」は、今夜は他の民間自警団と合同演習に出払っていた。「さにゃだ十勇士」の二人もそれに随行しているので、この島の命運は白い姉妹の双肩にかかっていると言っても過言ではなかったりする。 
 自分が魔犬を引き付けている間に、姉に助けを呼びに行ってもらう算段をして、冷香が強敵と凌ぎ合いをする覚悟を完了したとき、明らかな異変が忍猫養成所のある島の周囲を取り巻いた。
 それは、北の雪国に生まれ育った冷香にとって懐かしいもの――冷気。
「ちょっと、これって、祖国を出てくるときに封印された力じゃ!?(驚愕)」
 彼女たちシスターズはニコッとタウンの北方を守護する一族の直系。
 みだりに力を濫用してはならないということで、外の世界に修業に出された際に、彼女らの母である女王自ら力を封じられている。
 その封じられたはずの力を以て、忍猫としては未完成な氷冴は侵略者に抗しようとしているようだった。
 離れていても分かるほどに、侵略者の魔犬が警戒心を高めていた。冷気耐性がない者には肌を刺すほどの冷気に、さっきまでの余裕はすっかり鳴りを潜めてしまっている。
急激に魔犬が力を高めて行くと、それに呼応するかのように魔犬の頭上に小屋ほどはあるであろう燃え盛る火の玉が出現する。
「喰らえ、オレ様の超絶絶対究極完全奥義WO <滅螺憎魔>!!」
 いろんな意味で危険な、対個人用火炎系最上級呪文が放たれ――

                               北の雪国の第二王女、

                           その身に宿りし高貴なる力は、

                                言葉に宿る力を使って、

                                 万物を凍てつかせる!

 ――高速で飛来する特大の火球を前に、源氏名「氷冴」と呼ばれる白にゃんこは、落ち着きの中に余裕と自信にあふれていた。
 直撃すれば消し炭、かわせば後ろの農作業小屋が吹き飛ぶであろう必殺の爆炎を前に、着弾の直前にただ一言ですべてを凍りつかせる。

「猫が寝込んだ☆」

 瞬間、すべてが凍りついた・・・。
 直線を描いて飛んできていた紅蓮の炎も、
 大技からの接近戦を挑もうと駆けだしていた魔犬も、
 冷気耐性があるはずの妹にゃんこでさえ、
 ・・・すべての動きが止まった。
 空気さえも凍りつき、音を伝えるという役目を放棄しているかに思われたが、離れた場所にいる冷香にも次の言霊が聞こえてきた。

「烏賊はいかん☆」

 完全に動きが止まっていた特大の紅蓮玉――魔犬の超絶的であり絶対的な、究極にして完全なる奥義は、まるでシャボン玉をつついたようにあっけなく弾けて霧散してしまう。
 あまりにもサムすぎる言霊は、地獄の業火さえも鎮火できそうな感じだった。
 言葉一つで切り札を無効化された魔犬ヘルハウンドは、全身に嫌な汗を浮かべつつ、じりじりと登場した地面の穴へと後退を始める。
「その力、コキュートスの出身かYO? ゲヘナ生まれのオレ様じゃ、ちょっくら相性が悪いNA――」

「犬が居ぬ☆」

 問答無用だった。
 急速冷凍されて氷塊に閉じ込められた魔犬は、ごろんと氷が転がった先にあったマンホール大の穴に転げ落ちていった。
 登場した場所から退場していった大魔界からの侵略者、氷漬けのまま奈落の底へと落ちて行ったことが、彼にとって幸なのか不幸なのかまでは定かではない。
 冷香が我に返って島に戻ると、氷冴はさっきまで異様な冷気をまとっていたことが嘘であるかのように、至って普通の様子で農園の中にたたずんで、閉じた穴をじっと眺めていた。
「姉上、今のは・・・?(困惑)」
「取り逃がすなんて、しくじったわ~」
 すっかり落胆した様子で、氷冴は嘆息交じりに言葉を続ける。
「犬が居ぬって言っちゃったから、犬型魔界生物がいなくなったのね~。こんなことなら、猿が去るにしておけばよかったかな~?」
「・・・・・・その呪文だったら、アタシが去っていたかと(ジト目)」
 夜空にはもうすぐ彦星と織姫が年に一度の逢瀬を迎えようとする天の川。
 忍猫養成所「猫の穴」は、平温ではなかったけれども、今日も無事であった。
 めでたし!

#日記広場:自作小説

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2012/07/01 21:52
>剣士さん
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました^^
更にはコメントもいただき、重ねてお礼申し上げます(*^^*)

表の首領(ドン)が事務局にゃんならばということで、
裏の首領(ドン)を裏事務局にゃんというキャラに登場していただきました^^
裏と表の事務局にゃんの関係性は、・・・多分解き明かされないかとw
秘密を持つ女性とは、美しいものなのですよ( ̄ー+ ̄)

白にゃんこシスターズは全員、雪国繋がりの能力を持っていますが、
力の封印を一時的に無効化できるのは、狡猾な氷冴だけです(-_-;
冷香はまだお国の力をうまく引き出せないですが、雪風はすでに力をマスターしているので、
封印が解けた暁には、妹と遜色のない異能合戦を披露してくれることでしょう^^b

そのツッコミをお待ちしておりましたww
全員からスルーされてたら、しょんぼりとなるところでした、メラゾ〇マのネタ^^;
ナイス・リカバーですΣd(≧▽≦

ふむ、今回、だいぶ伏線をばら撒いてしまったような気もしますが、
今回で三女が卒業という名の降板をします^^;
残りのキノコ、あと23食。それを食べ尽くせば、猫の穴を無事卒業ですからw
冷香は本当に頑張ってくれましたよ、最初は200以上ものキノコがあったのに、残りわずかですww

次回があるとしたら、氷冴とその二つ下の妹の四女の掛け合いになるかと思います^^
いつになるか分かりませんが、世代交代する忍猫養成所をまったりとお待ちください(^^)/~
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2012/07/01 21:29
>如月殿
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました^^
更にはコメントもいただき、重ねてお礼申し上げます(*^^*)

ワンオフの事務局にゃんの桃色猫着ぐるみ、色違いバージョンがあったらなぁということで、
裏のニコタを統べる裏事務局にゃんに着せてみました^^b
今回、ちょっと「オチ」のために、全体的に堅い文章での構成になってしまいましたが、
楽しんでいただけたようで光栄です>ー<b

リアルに猫を飼っていらっしゃるようなので、
貴殿もこれを機に、忍猫マスターの道など進まれてはいかがでしょうか?( ̄ー ̄)b
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2012/07/01 20:03
う~~~ん! 今回も堪能致しました><b

冒頭で登場した新たな組織、SG。
更に裏組織が存在し、その長官の登場。。こちらも今後の活躍が楽しみです♪

さて、前回いきなり登場した魔犬の登場に対処する冷香殿、氷冴殿。
冷香殿が躊躇する中、冷静に対峙する氷冴殿には秘策が!!

その秘策とはまさか直接その場に居合わせていない私も凍ってしまう様な言霊!w
彼女が封じられた力を使えるのはまた何か裏がありそうです。。

魔犬の強大な力で発せられた魔力、何処かで聞いた事があるのは置いといてw (当て字が見事☆)
それをいとも簡単に封じてしまい、そして魔犬も撃退!

見事に危機を脱し、めでたしとなりましたが、このお話、ここで終われる状態ではありませんね^^b
まだまだ謎のベールに包まれた事がたくさん。。

今回も非常に楽しませて頂きました♪
そしてこの謎がどの様に解明されて行くのか、今後が非常に楽しみです(*⌒ー⌒)o ww
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2012/07/01 19:04
わぁ、つづきがアップされている~
色ちがいのネコ着ぐるみ、つぼにゃ、なかなかやるにゃと
読んでいたころにはまた余裕があったのですが…
笑わせていただきました
ねこ飼いのつぼを二段つきです
PCの前にわが家の猫がちょうど来て
ますますおかしくなってしまいました
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2012/07/01 17:26
>チー殿
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました^^
更にはコメントもいただき、重ねてお礼申し上げます(*^^*)

シリアスな戦闘シーンかと思わせておいて、まさかの言霊攻撃w
書き手に似て拙作も、一筋縄では行きませんwww
北方の守護者=玄武、ベースは仰る通り古代中国の陰陽五行からネタをいただいておりますが、
ニコタ風にアレンジして、四聖獣はネコ・イヌ・クマ・ウサギにしております^^
ニコタの着せ替えアイテムに上記の4種族が多いのは、魔よけの呪装というw

あまり活躍できなかった冷香は、数日後には忍猫養成所を卒業してしまうので、
外伝が続くとしたら、四女の登場と相成ります。
次女は単位が足りないので留年ですが^^;
いつになるか分かりませんが、のんびり屋の忍猫見習い氷冴と、
その妹たちとまたお付き合いいただければ幸いです(^^)/~
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2012/07/01 14:33
SABERさんの街宣に誘われて前々回から始まった「忍猫物語外伝」読みに参りました。

思わぬ展開に一気に読みこんでしましました。
定番のダジャレか言霊か・・・呪文となって敵味方を翻弄するとは!
北を守る彼女たちには。玄武の力が宿於ていたのでしょうか・・・・・
おもしろかったです。
めでたし!でもまた続きがあるのですよね。



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