ペルソナ4ゴールデンやってみた・1
- カテゴリ:ゲーム
- 2012/07/07 11:56:13
【いろいろと心遣い】
待ちに待ったペルソナ4のアッパーバージョンである、ゴールデン。
vitaもソフトも高かったけれど、ネット予約して購入した。
そこで思う所もあったので、また感想を書いてみようと思う。
まず初見で思ったのが、画面きれいだな~ということ。
新しくなったオープニングムービーは、とてもポップでスタイリッシュになっていた。
主人公達が軽くダンスしながら登場するのだが、彼らのダンスに、各キャラの個性が良く出ている。
特に陽介と完二の演出は、出オチだろうと誰もが思うくらい、力が入っていた。
ゴミバケツをかぶっておどける陽介、ケンカを売るようなキックダンスの背景には、キュートなうさちゃんがのぞく完二。
ここだけ見ても、彼らがどういう奴らかひと目でわかるってすごいな。
この二人には女性ファンも多いので、それを意識しすぎたともいっていい出来だった。
さて、いよいよゲーム開始。
無印から数えて4周目なので、ゲームの筋はじゅうぶん頭に入っている。
なので、正直ゴールデンには、あんまり期待はしていなかったのだ。
強化版といっても、ほんのちょっぴりイベント追加しましたよ的なゲームが多いから、これもそんな感じかなあと思っていた。
でも、それは見くびり過ぎだった。
名前入力してからの展開で、すでに変化があった。
新キャラであるマリーの登場(彼女については後ほど語る)、長すぎてうんざりしていたイベントパートに、細かくセーブをできる地点をもうけている。
セリフも、今まで説明不足気味だったところに、新しく補足の説明セリフが挿入されていて、物語やキャラに説得力を持たせていた。
お、これは良いんじゃないか。
開始して数分で、自分は好印象を持った。
初めてすぐにわかる親切さに、スタッフの配慮と熱意を感じ取ったからである。
無印から続けて始めた人、そうでない人にも、幅広く楽しんでほしいという心遣いだ。
いろいろメディアミックスして商売の手を広げてはいるけれど、ファンを大切にしてくれている。それがまず、嬉しかった。
ペルソナ4は学園ジュブナイルゲームである。
ちょっとくさいセリフが飛び交う、熱く切ない青春ストーリー。そこがウリだ。
しかし、この独特の青春のノリについてゆけず、やっぱり2が良かったとか、俺には楽しめねえよ年だからなと減点するプレイヤーも、少なからずいる。
自分も半分は、その類のプレイヤーだ。
キャラクターに魅せられてのめり込んだけれど、本当にRPGとして上出来かと訊かれれば、「う~ん」と首をかしげざるをえない。
戦闘システムは真・女神転生Ⅲの踏襲だし、多くある主人公のペルソナデザインは、金子一馬氏の過去に描いた悪魔デザインと一切変わらないし、ダンジョンは単調かつ、簡単すぎて飽きてくるし(←これは、周回プレイをするのには適しているかもしれないが)、難易度最高にすると恐るべき敵も、レベル99になってしまうとザコに過ぎなくなるし(これは当然か)
ともかくは、バトルゲームとしてやりこもうと思うと、なぜか若干物足りなさを覚える。
稀代の名作、真・女神転生Ⅲは、とにかく戦っているだけでも楽しかった。
そちらはレベルが99で完ストしないせいもあった。また、マニアクス版で新シナリオが追加され、ダークなストーリーに凄味と想像力を増やし、我々プレイヤーに新たなる居場所をくれたものである。
ゲーム内が居場所という論点で語るなら、ペルソナ4は、プレイスタイルで各自の居場所を作ることができる、そこが魅力であるゲーム、と言えるかもしれない。
自分は2周目で全コミュニティと絆を結び、Maxのトロフィーをもらったのだが、そこにいたるまでのゲーム内のカレンダーは、まったくきついスケジュールだった。
毎日誰かと会って彼らの悩みを聞き、街の人の無責任な依頼を解決すべく奔走する日々。
せっかく、釣りや、コーヒーショップに映画、友達とバイクで遠乗りするという機会があるのに、いらんコミュニティ(マリーとかな)、急なイベントシーンのせいで、のんびり自由に遊ぶことができなかった。
ゲームにおける重要ともいえる要素、自由度が欠けている。そう感じた人も多かったかもしれない。自分もその一人である。
だから、アトラスの「ご購入者お客様アンケート」には、「頼むからゲームとして遊ばせてくれ、コミュスケジュールに圧迫されるのはもういやだ」って書いといた。切実な要望だ。
まあ、キャラが人気出て儲かったゲームなので、5が出るとしても、このシステムは続くんだろうけどさ。
で、2周目でコミュMax、ペルソナ全作成を果たした後で、むなしくなった。
こんなにギチギチのスケジュール…つまり、強制に次ぐ強制に、息が詰まりそうになったのである。
前にも書いたが、ゲームは自分の居場所のひとつである。自分解放の場ともいおうか。
それなのに、嫌いなキャラの好感度をあげるために自分の感情と正反対の選択肢を選び、見たくもない恋愛イベント(ほんとにこの要素いらない)を見たりしている。
ああオレ何やってんだろと溜息が出る。
恋愛イベントは任意なので、避けようと思えば避けられる選択が喜ばしい限りだが、それにしたってストーリー上多く出すぎた感がある。
青春ストーリーで、主人公が高校生なのだから、そりゃあ恋愛の比重は大きかろうけど、そういうのに興味がないプレイヤーだっているんだよ。
俺はゲームがやりたいのであって、恋愛ゲーやりたいんじゃないからってのが。
しかし、ファンのケアに抜かりないペルソナスタッフは、そんな少数派のために逃げ場を用意してくれていた。
陽介達男軍団の選択イベントは、他の女性キャラより力の入った内容で、大いに笑わせてくれた。
うむ…周到である。
こういうのがあるから、無造作に「やっぱ駄作?」と言わせない力がある。
アニメ版も、原作を損なわない細やかな脚本が良かった。ゲーム内でも、アニメから入ったファンのためのセリフが用意されていて、またも唸らされたものである。
この辺、元祖学園ジュブナイルというジャンルを築き上げた「東京魔人学園」も早くに気づくべきだったよね。
魔人も、ファンが第一ですと豪語していたゲームだったけど、イマいちファンを大事にしきれなかった、ないがしろにした感はあった。
CDドラマ等で「プレイヤーの分身だから主人公はまったく登場させなかった」ところに、次作を出せなかった敗因があったと思う。
人間が好きなのは誰より自分なのだから、自分が消されたようで寂しいだろ。
サブキャラは結局主役の引き立て役でしかないってことを、たぶん今井氏は理解しきれてなかったかもね。
事実、ペルソナ4で一番人気があるのは、無個性でただの分身であるはずの、主人公なのだから。
ゴールデンで更新された通常バトル曲は、「俺達が歴史を作る」というタイトルである。
そこに、暗にメッセージがこめられていると思うんだ。
完璧を目指すなら、スケジュール縛りのきついゲームになるけど、あえて自由にふるまうこともできるってこと。
3周目は好きなキャラとだけコミュニティを育み、他はスル―して空き時間を満喫…とかね。
実際、蒼雪の3周目はそんな感じである。3周目にして、ようやく呼吸が出来たと思った。
そして、その周回による発見こそが、スタッフが仕組んだ心遣いだったと気づいたのである。
うん、ペルソナ4ゴールデン、やっぱり良いゲームだよ。
つづく