モンスターハンター 騎士の証明~13
- カテゴリ:自作小説
- 2012/07/12 10:24:57
【機械仕掛けのガンランス・2】
縄をかけたギーレルを連行し、ブルース達がベースキャンプへ戻ると、すでに10人のハンターが地面にのびていた。全員後ろ手に縛られている。ギーレルの一味で間違いなかった。
「すご~い。これ、グロムさんが全部やっちゃったんですか?」
バラバラに壊された鉄の檻を見て、トゥルーが両手で口元を覆う。
「まあな。だって、こんな暑い所でアイルーを檻に閉じ込めておくなんて、どう見ても尋常な奴らじゃないだろ」
「とんだダブルブッキングでしたニャ」
暑さを避けてか、テントにいたラングロ装備のアイルーが姿を現した。ここで一味を見張っていた、グロムのオトモのケマリだ。
「予定通り2頭のディアブロス狩猟に来てみれば、規定人数をオーバーしたハンターの群れと、檻に入れられたアイルーが2匹。わたしと旦那様が大暴れしニャければ、今頃日干しにニャっていたかもしれませんニャ」
「なんつー言い方だニャ。もしや恩着せようって腹かニャ?――いてっ!」
目つき悪くケマリを睨んだミイを、ランファが軽く小突いた。彼の頭を押さえつけて、自分も頭を下げる。
「すまなかった。こいつは口は悪いが、悪ネコじゃないんだ。この子達を助けてくれたこと、礼を言う。ありがとう」
「私の方からも! アンデルセンを助けてくれて、本当にありがとう! ほら、アンデルセンもお礼!」
「でしゅ。グロムしゃん、そのせつは、ありがとうごじゃいましゅた」
ぺこりと、一人と一匹のうさみみ姿もおじぎをする。ガンキン亜種シリーズをまとったグロムは、いかつい装備をぎくしゃくさせてたじろいだ。
「そ、そんなお礼言われることしてないっすよ。さ、さ、どうぞ頭をあげて」
「いや、音に聞くユクモの守り手にここであいまみえるとは、こちらも光栄だ。ユクモ村のグロム、君こそロックラックギルドナイツの一員にふさわしい」
「あざっす!」
グロムは晴れやかに白い歯を見せて笑ったが、どこか不敵にブルースを見つめ返した。
「オレもまさか、生きてる間に2度もギルドナイトに会えるとは思ってもみませんでした。けど、前にも言われたけど、その誘いはお断りします」
「ほう。なぜ?」
半分面白そうに、ブルースはグロムを見つめた。グロムはまっすぐに言ってのけた。
「オレ、ユクモ村が好きだから。あそこにゃ、家族と……嫁さんも待ってるし。だから、ずっと……あの村で生きて行きたいんで」
「――そうか」
ある程度わかっていた答えだった。ブルースが微笑むと、ひゅ~ひゅ~、とはやす口笛が聞こえた。ミイの仕業だ。
「ニャンだよ、のろけちゃって~。ふん、エンガチョだニャ!」
「な、なんだと~?」
真面目に答えたのに茶化されて、グロムが脱力して膝を崩しかけた。トゥルーがおかしそうに肩を震わせる。
「うふふっ。そういう愉快なところ、変わってませんね! でも確かに、3年前に見たときより、ずっとカッコよくなってるなぁ。ねえ、ランファ?」
「そうだよね。なんか、大きくなった?」
ランファも、眩しそうにグロムを見やった。そうかもしれない、と、ブルースも思う。まだ22歳とのことだが、人間として、男として、彼には揺るぎない自信がみなぎっている気がした。
3年前、ロックラックの闘技場で伝説を作った男がいた。
かつてロックラック闘技場では、イビルジョーのような凶悪極まりないモンスターと連続で戦わせるという、残虐なショーがあった。
終焉を喰らう者と名づけられたそれは、ある悪名高き貴族が催していたものだ。
ハンターの安全とモンスターの生態系の守護を担うギルドだが、この貴族の悪行を立証できる決定的な証拠が見つからなかったため、長年放置されていた暗部である。
しかし、その貴族から愛する者を守るために、たったひとりでこの難関に挑み、死闘の末に勝利したハンターがいた。
彼こそがその英雄――ユクモの守り手だと、今では知らぬ者はいない。
「まあ、ハンターに向いてるっていうなら、オレの妹とかどうですか? ずいぶんあいつも頑張ってるみたいですよ」
「うん? 妹がいるのか?」
「ありゃ、知らないっすか? ユッカって言うんすけど。あいつも有名になったと思ったけどなあ……」
グロムはバツが悪そうに後頭部に手を当てた。すまない、とブルースも素直に謝る。
「優れたハンターの名は時々耳にするが、すべて把握しているわけではないのでね。君を覚えていたのは、ロックラックでの一件があまりに有名だったからだ」
「あ、そっか……。そっすよね。でも、あいつもナイトになりたくてすごく頑張ってるんで。もし何かあったら、よろしく頼みます」
「承知した」
約束する、とまでは言えなかった。頭を下げるグロムに、ブルースはそれだけ返した。
ナイト志望は少なくないが、彼ら全てが願いをかなえることは難しい。
ナイトになるには実力だけではなく、何か飛びぬけて光る素質が要る。そして、それを拾ってもらえる強い運が必要だった。
ブルースは、自分がナイトになれたことを、実力のおかげだとは微塵も思っていない。完全に運が良かっただけだと思っている。
ナイトとして職務についている限り、ナイトである自負と誇りは忘れずにいるが、狩りの実力で驕(おご)ることはまったくない。
(ナイトにならない方が、かえって幸せなこともあるさ)
狩りの実力だけで言えば、在野のハンターがナイトを凌ぐことなどザラだ。ナイトが最強であることが理想だが、現実はそういうものである。
ハンターの幸せもナイトになるだけじゃないと、ブルースは知っている。
高額の依頼だけをこなして財を築くと、さっさと引退してしまう者。一生、採取や採掘だけをして、のんびり暮らすハンターもいる。そして彼らの成した仕事すべてが、別のハンターの暮らしを支えているのだ。
「あ、そうだ。オレ、勝手にこいつらやっつけちゃったんすけど、これって違法になりますかね?」
思い出したようにグロムが顔を上げて言った。ふっとブルースは笑う。
「いや。貴君の助力には、こちらも感謝する。ハンターはハンターに、いかなる時も武器を向けるべからずという掟はあるが、相手が非人道的な輩の場合は、その限りではない」
「そっすよね。よかった~。ナイトのお墨付きなら安心だな」
あっけらかんと、グロムは笑った。
「あー、でも、どうしよ。オレ、ディアブロスの狩猟に来たんすけど……。獲物、いなくなっちゃったなあ」
「あ、そうか……。私達が先に捕獲をしちゃったんですもんね」
トゥルーがすまなそうにうつむいた。ランファも口ごもって目を伏せる。
「こういう場合、私達がグロムさんの獲物を横取りしたことになるんでしょうか?」
「うむ……」
不安げなトゥルーに、ブルースはうなずいた。
「もともと、狩猟依頼が来ていた2頭だったようだからな。そうなるだろう」
「じゃあ、今眠っているディア2頭を引き渡す……とか?」
不本意そうに、ランファが口にした。できることなら、隙を見計らって逃がそうと考えていた2頭だった。生かされるチャンスがあるものを、恩人とはいえむざむざ渡していいものかどうか。
すると、グロムは男くさい笑みを浮かべ、かぶりを振った。
「いや、必要ないっす。ちゃんと自力で狩るのが、奴らへの礼儀ってものでしょ」
なまけもの気質なので、さあ書こうと思った時に書かないと、たぶん「うp主失踪」シリーズになるかと思います。今回の作品は^^;
なので、消えてもめげずに書きました。
ほんとにね、なんだったんだろうマイタイム、みたいなね。でも失われた時間にもきっと意味があったんですよ…そう思いたい。
ミーラルが同行していないのは、病弱なお母さんの世話もありますけど、ほら…たぶん赤ちゃんとか…って。あれ?
これって勝手に決めていい設定じゃないですよね。
ユッカ達も、ロジャー達と会ってドラマを作る予定でしたが、ここも好きに書かせて頂いてよいでしょうか。
どうも「騎士の証明」は「勇気の証明」よりも倍の長さになりそうなので、ユッカ達のエピソードはカットしようかとも考えていました。
でも、やっぱり彼女達にも会いたいですよね。こちらも書いてみたいですし。
メールよろしいようですので、後ほど設定についてご連絡させて頂きます。よろしくお願いします。
ああ……いままでの俺の時間はなんだったんだろう。
もう今日は帰って寝ちゃおうかな。
みたいな。
それでも書き上げる蒼雪さんは凄いですよ。
グロム、出てきましたねぇ。
あれから三年かぁ。
ミーラルが同行してない所を見ると、時期的にも目が離せないのかな?
とか。
だとすると病弱だったミーラルの母も生きる気力が……。
など、色々考えたり。
もしよければ、その辺もどうですか?
ところで今回ユッカの話が出てきましたが、彼女とブルース、ボルトは正式に顔合わせはしてないですよね。
混乱した闘技場で同席はしましたが。
今後、顔合わせの予定はあるのでしょうか?
ストーリー的に回答に問題があるようでしたらメールなりで連絡頂けると嬉しいのですが。
書きかけをデータバックアップしていないと、大変なことになりますよ。
それこそ、狩りの最中にレアアイテムが出て、やった~❤と思ったら電源が落ちたぐらいの衝撃です。
日ごろGRさんおっしゃるように、バックアップはこまめにしないと、ですよね!
グロムも成長しましたよね。男らしくなった彼を書きたくて、今回出してみました。
ミーラルとは結婚して2年目という設定をしたので、家庭を持って責任感が出たんです。
それが自信に繋がってる感じです。
最初から天才はいないものですよね。努力で(あと素質もあった)のし上がって来た男前ハンターですね。そのうち、弟子とか取りそうですね。
ユッカとショウコは有名どころになってる設定ですが、知る人ぞ知るレベルですね。
世界は広いですから、そうそう名が知られることもないでしょう。厳しい言い方ですが、同じくらいのハンターはたくさんいるよ、と…^^;
ブルースの例えを持ってくると、「一流アイドルデビュー並みにナイトになるのは難しい」ってことですね。
でもユッカ達なら、いつか夢をかなえるかもしれません。何かきっかけがあれば…きっと。
ほんとに、いろんなハンター(プレイヤー)がいますよね。
モンスターを狩って生活する、それだけのゲームなのに、やれることが奥深い。装備だけ整えようとゲームを開けば、「ちょっくら狩ってくるか」と出かけたりして。それで1時間くらい熱中してたりして。
自分で目的を持っていれば、いつまででも遊べる稀有なゲームです。
競技狩猟、確かにww
上達すればするほどいろんなことが楽しくなるので、競うこともまた楽しいですね^^
今回の作品のテーマのひとつが、モンスターを狩る倫理観でした。
もう公式小説などで語られているかもしれませんが、自分でも書いてみたいと思ったので。
命がけの狩猟、ゲームだから死なないけど、リアルに考えるなら、HPが尽きた時点でむごい死に方をしているはずです。
モンスターも、ただ殺されたくないから襲ってくるわけで、狩る側も同じ覚悟で臨みますよね。
「武器を持ったら、相手を殺す権利もあるが、等しく殺される権利もある」という倫理観です。
グロムも、そういう意味で言ってます。
気に入ってるセリフなので、お気づきになって嬉しいです^^
以前の反省を生かすことなく、またニコタのブログに直接書き込みしておりましたら、こうなりました。
どこを押したか覚えてないんですよね…。エンターキーを押したつもりが、何か別のキーをひょいっと…。
そしたら、1500字くらい書いた内容がブラウザバックにより、消えてしまいました。Σ(゚д゚lll)ガーン
そこまで書くのに1時間半かかってるのにね…。
でもヤケになって一気に書いたら、内容も整理できたものになってよかったです。
勢いって大事ですねw
でも、納得のいくものがかけたということならよかったです
グロムも言うようになりましたねぇ
そのユクモの守り手が、初陣ではドスファンゴ狩りに行ってブルファンゴに落とされてたっていうんだから、すごい話ですよ
あそこでユッカを立てる発言がスッっと出てくるあたりも、変わりましたよね
ふむ、ユッカも3年で有名になっているのか。どんなハンターに成長してるのか・・・
モンハンのプレイ人口はとんでもない数にのぼって、実際ホントにいろんなハンターがいますよね
単純に狩猟を楽しむ人や仲間で集まってワイワイやるのが目的の人、
神おまを求めるあまりハンターというより炭鉱夫になっちゃってる人もいれば、
装備収集やオシャレに情熱をあげる者、
さらには、タイムを競い合う競技狩猟とでも言うような舞台を活動の中心にする者、
トゥルーやランファ、ブルースもそれぞれにモンスターを尊重する考え方や発言がありましたが
最後のグロムのセリフ、ギルドや観察者ではない一般ハンターの彼の口から聞くと、それはそれでまた違う重みがありますね
これ 消えちゃったの?!(*_*、)ヾ(・Θ・^ )しゅりしゅり♪
きっと。 いや ぜったい!σ(*・Θ・じゅ)あたし♪だったら 書けてないっ!(๑◔‿◔๑)w
でもなんとか書けました。
不思議なことに、そういう時に限って、消す前の文章よりも消えた後で書いた文章の方が良くなってたりするんですよね。怪我の功名と思っておきます(笑)