Nicotto Town


黒曜のアジト


罪ト悪ト復讐トⅥ

程なくして、レジスタンスのメンバーの一人が、鏡の間で玉座に座っていた彼女を捕まえたらしい。
最初は暴れていたけど、次第におとなしくなったと話していた。
小さな女の子には酷な環境かもしれないけど、僕達が受けてきた苦難に比べればいくらもマシだ。

あれから一晩明け、僕達は鏡の間に集まった。
空き部屋となった鏡の間、僕達は此所を会議室として使うことにした。
「お前の弟のことなんだが、どうしても行方不明なんだ。ほとんどの下働きが逃げているようだが…。」
少しの間とはいえ、寝食を共にした弟、無事だといいんだけど…。
彼も何所かへ逃げているかもしれないし、今はそれを願うしかない。
「…で。王女の事はどうするの?」
「決まってるわ。斬首刑よ。彼女の罪はそれに値します。」
僕が聞くと、アーデルハイトがぴしゃりと言い張った。
「…そういえば、エンマは一度も王女に会ったこと無かったんじゃね?会いに行くか?あれから静かなもんだぜ。」
ジュリーはテーブルに足を投げ出してそう言った。
王女を捕まえてから丸一日。目の傷は意外と浅く、一応血は止まったから、包帯は取った。
「じゃあ。様子を見に行くよ。」
そういうと、隣に座っていた。スカルが立ち上がった。
「エンマ…確かに王女は悪い人だ。でも…あんまり乱暴はしないで欲しいんだ。」
スカルも、元王宮勤め。何かしら思うところがあるのかもしれない。
「大丈夫。合うだけだから。」

地下室へと向かう薄暗い螺旋階段に足音が響く。
大分使われてなかったのか、蜘蛛の巣が張っている所もある。
地下牢が並ぶ廊下にでると、松明が焚かれていて少し明るい。
王女が居る牢は確か一番手前の右側だったはず…。
その牢に行くと、王女が部屋の端で蹲って座っていた。
目が冴えるような明るい黄色のドレスを召し、ふわふわとした琥珀色の髪の毛…。
初めてあったはずなのに、どうしてか初めてあった気がしなかった。

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