Nicotto Town


黒曜のアジト


二人ノ未来Ⅳ/罪ト悪ト復讐トⅦ

玉座にどかりと座り、彼らが来るのを待つ。
乱暴に鏡の間のドアは開け放され、大柄な男が一人入ってきた。
こちらに近づいて、僕に手を触れようとする。
オレはその大きな手を、強くはじいた。
「無礼者!!」
彼女ならこうしただろう。
僕の精一杯の演技だった。

黒く塗りつぶされたような牢獄に一人。とらえられてから一晩が経つ。
とにかく退屈だ。
オレは逃げ出す気なんてさらさら無かったけど、少し革命軍に抵抗してみたりもした。
なぜならコローナならそうしただろうから。

驚くほど澄み切った朝。
少し歌なんて歌ってみる。
小さい頃、母さんから教えて貰った、神話を元にした歌だ。
オレが歌っているのに気づくと、キャバッローネ国の兵士が、「うるさい」とたしなめたが、まだ歌い続けていたら、舌打ちをして去っていった。
キャバッローネでは捕虜への暴行は禁止されてるって本当だったんだ。とぼんやりと思った。

そのとき、カツカツと石畳を歩く足音がする。
牢の外で、話し声がする。
「王女の様子は…?」
「静かなものですよ。始めは暴れたりしてましたが。」
足音の主は、オレの様子を探っているようだった。
ほどなくして、足音の主が牢の前へやってくる。
そして、壁の方を向いて座り込むオレに声をかけた。
「ボンゴレ王女。」
何処かで聞いたことがあるような声だった。
「僕はレジスタンスのリーダ、エンマ。君の処刑の日取りが決まったよ。明日の午後三時、王宮前の広場で。公開処刑だ。」

「くっ…あはははは…はははははは」
「な…何がおかしいの?」
戸惑うように彼は言う。
何がおかしいかだって!?オレが処刑される…?そんな事じゃない。
エンマ…オレはその名前に聞き覚えがあるぞ!!
オレは立ち上がり、ゆっくりと鉄格子のほうに振り返った。
「…っ!?君は…ツナ君!?そうなんだね?」
「なんのことじゃ?勝利の美酒に酔いしれて、頭がおかしくなったか?」
精一杯のオレの演技。ごまかされてくれるわけ…ないか。
「うそだよ。ねぇツナ君。どうして此所に?」
「……久しぶりだね。エンマ。」
「ツナ君!!」
「この通り、オレは王女の身代わりだ。此はオレが望んだことで、コローナの命令では一切無い。オレは王女として…一生を終えるつもりだ。」
そう告げるとエンマは床に蹲り、うつむいた。
「…こんなのおかしいよ。レジスタンスのみんなに言ってこよう?きっとみんな分かってくれるから。」
淡々とそうオレに諭すエンマに、オレは告げる。
「さっき…キャバッローネ王がここに来た。彼はオレを王女として処刑するようにオレに告げた。彼は国民の混乱を最小限にすることにつとめたのさ。…それに…オレは彼に言ったのさ。キョウコちゃんを殺したのはオレだってね。…そうしたら何さ。彼はオレを殴ったんだ。全く。あのキャバッローネ王に言っておいてくれるかい?キャバッローネでは捕虜への暴行は禁止されてるんだろう?ってね。」
エンマは驚きを隠せないようだった。
「どうして…どうしてそんなこと。」
涙声混じりでそう言うエンマに、まくし立てるように次の言葉を羅列する。
「エンマ…君はあの箱入り娘が自分で人に手が下せると思っているのかい?確かに命令をしたのは彼女だけど、手を下す人は別にいる。そう…父さんだって例外じゃないんだよ。
父さんを殺したのは。このオレだ。君がこんな革命を起こしたのだって、それが原因だろう?君は明日、その敵を討てるんじゃ無いか。君はみんなに称えられて英雄気取りかもしれないけど、君が起こしたこの革命で大勢が死んだんだ。君も悪ノ娘と同じだ。自分の個人的な復讐のために人々を利用した。復讐者さ。」
しゃっくり混じりの嗚咽を漏らしながら…エンマは牢を去っていった。



断頭台にたつはかつての王女。
王女はこれから殺されてしまいます。
王女は沢山悪いことをしたのだから当たり前です。

天国の父さん。元気にしていますか?
きっと父さんのことだからお酒を飲んで寝てばかり居るのでしょう。
もうすぐツナ君がそっちに逝くみたいです。

最後に…一つだけ教えて欲しい。
一体…悪って何なんでしょうか…。
いくら英雄と呼ばれても…僕も所詮悪なのかな…?




ついにそのときはやってきて…
終わりを告げる鐘が鳴る。

オレは民衆を見下ろして、精一杯最後まで悪ノ娘を演じよう。
そう。彼女がこんな時言いそうな、とびっきりの言葉を…

「あら…おやつのじかんだわ。」

オレの首に落ちてくる断頭台の刃。

さようなら。コローナ。

もしも生まれ変われるならば…
そのときは…また…   




本筋は終わってしまったけど、いくつかフラグ回収してないので続けます。
あと、誠に申し訳ないのですが、実は前までのストーリーと矛盾してしまう都合上、罪ト罰ト復讐トⅥのストーリーを少し書き換えました。

あと復讐者はヴィンディチェとは読まないであげてください。普通に「ふくしゅうしゃ」で

#日記広場:日記

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2012/08/15 11:24
そんな…
ありがとうございます!!
そんなこと言われたの初めてじゃあないですか!!
アバター
2012/08/14 19:50
りょーかいです( `・∀・´)ノ
あぁ、もう!すっごく面白いじゃぁないですか!
なんででしょう!なんか引き込まれる感じです!

注意:敬語なのは気分ですのでお気にせず^^




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