said_Enma
「それで…スクアーロはどうなったの？スカル。」
僕が言うと、スカルは暗い表情のまま言う。
「結論から言うと、殺してはいない。そこそこの傷を負っているはずだが、トドメは刺さなかった。」
そのとき、ジュリーが慌てて駆けてくる。
「おい。そのスクアーロの話だが、今朝王宮の裏で遺体が発見されたそうだ。背中にはナイフでひと突きされたような痕があったそうだ。お前か？スカル。」
「いや…違うと思う。スカルはナイフは使わないし。だろ？スカル。」
「ああ…オレじゃないぞ。」
「じゃあ…何者かが…。これも調査が必要だね。」

主人を失ったボンゴレ王宮は、いま、レジスタンスが占領している。
「で…これからのボンゴレは誰が指揮を執っていくの？」
そういうと、スカルがすかさず答える。
「そりゃあ、レジスタンスのリーダーであるお前だろ。」
「え…僕…？」
当然僕は政治なんてしたことはないし、専門の知識も皆無だ。自信など無い。
「その話だが、旧ボンゴレ王国はキャバッローネ王国の統治下におくこととさせてもらうぜ。」
一呼吸おいて、現れたのは、ギャバッローネ王国の若き国王、ディーノだった。
彼が初めて仮面を外し、正体を明かしたとき、レジスタンス内は混乱した。
薄々気づいていた僕は、「何故言わない！」とどやされたくらいだ。
その台詞を聞いて、ジュリーが立ち上がる。
「聞き捨てならねぇな。美味しいトコ取りはゆるさねぇっての。」
「そう言う訳じゃねぇ。お前たちの中に政治を実際にしたり、専門の知識を持ってる奴はいるか？いないだろ？政治はただ頭が良いだけじゃできない重労働なんだ。だからこそ、キャバッローネが統治する必要があるんだ。勿論お前たちも新政府には参加して貰うつもりだぜ。」
こうして、ボンゴレは半強制的にキャバッローネの統治下に措かれることになったんだ。


said_Bell
暗い部屋に妖しい笑みをうかべて座るあいつ。
「あら。ベルフェゴール…。今帰ってきたの？…よくやったわね。貴方の兄も上手くやっている事でしょう。これでキャバッローネ国の勢力はさらに強まり、列強でも群を抜く。そう言えば三英雄の死に損ないはどうしたのかしら…？」
「うしししっ…S・スクアーロはこの手で…ムクロはどっかいっちまった。でも今のムクロに何が出来るとも思えねーぜ？」
「そう。貴方は、もうゆっくりお休み。キャバッローネ国第三位王子…ベルフェゴール＝キャバッローネ。」


said_Haru
此所は海辺の修道院。
今日は夕飯の当番だったので、買い物をした帰り道。
エメラルドグリーンに色づく海は、いつもハルの心を癒してくれます。
キール様の紹介で、此所に住むようになったものの、貴女を失った今、ハルはどう生きていけば良いのでしょうか…？
そのとき、海辺に植えられた松の木に目がいきました。
ゴミ…？
松の木の根本にボロ布の固まりのような物が転がっていました。
いつもなら気にもとめないでしょうが、何故か惹きつけられるような物を感じ、松の木に近づき、ボロ布をめくりました。
「人…！？」
確認すると、息はありました。それに、男物の服を着ているけど、体系的には女の子でした。
意識を取り戻したらしい彼女は、琥珀色の綺麗な瞳でこちらを見つめ、ハルのスカートの裾をつかんで放しません。
「…ひとりぼっちは…いやだよ…。」
そうつぶやくと、眠りに堕ちていきました。
修道院に連れて行けば、介抱もできるけど、この坂をこの子を抱いて登るのは無理なこと。
パン屋の女将さんに頼めば荷車を貸してくれるでしょうか…？
とても世話がかかるお客様に、何故か久しぶりにわくわくしてしまいました。


said_Fon
使用人が淹れてくれたダージリンを飲みながら、彼女から来た手紙を読む。
エンマからの手紙には無事革命に成功した後は、スカルと旅に出ている――ということが、丸っこい字でしたためられていた
正直、私は革命に協力したのが正しい選択だったかずっと悩んでいた。
でも、皆が幸せに暮らしているならば、それでいいのです。
ただ。一つだけ気になる事がある。
断頭台の上の王女。あれは私の記憶が正しければ――。
それに、かつての親友、ディーノがボンゴレで出した法令。
魔女狩り令――。
あんなとんでもないことをする者では無かったはずなのですが。
そう考えに浸っていると、我が愛娘、ユニが紙束を抱えて駆けてきた。
「お父さん！！新しいお話書いたんです。読んでください。」
９歳になる娘は、近頃物語に熱心だ。
「今度は何のお話ですか…ユニ。」
「はい。カエルと王子様のお話。」
ユニから渡された紙を受け取り、中身を読む。
読み進めるたび惹きつけられる、とても良いお話。
「あの…お父さん。あくのむすめについて教えてください。」

嗚呼…。
君に本当の悪ノ娘についてお話しできるのはまだ先になるかもしれませんね。

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