樹ノ乙女~術士ノミタ夢~Ⅲ
- カテゴリ:自作小説
- 2012/08/20 20:34:11
side_Kyoko
鳥はさえずり
水はせせらぎ
木漏れ日は暖かく森を照らす
そよ風に木の葉を揺らす千年樹…
ボクはこの森が大好き。
だけどボクは知らない。
森の外のことを、
人間達のことを。
ボクは分からない。
人間のことを、
だから分からないどうしてあの女の子は泣いているんだろう。
もっと知りたい
人間のことを
もっと知りたい
あの娘のことを。
ビャクランさんの眼下、広大な森の敷地にも所々開けたところがあって、明るい日差しが差し込んでいる。
目の前に広がる澄んだ泉は、「戯れの泉」と呼ばれている。
昔、ビャクランさんを巡礼に来た信者が自慢げに語っていた。
この泉は、ビャクラン神に仕える精霊達が夜、遊びに来る場所で、その精霊達は満月の夜に瑠璃色の美しい宝石を生み出す。
という伝説を。
しかし、それはちょっと違う。
精霊は、普通外の世界に関わることは出来ないけど、それぞれ動物の姿に変化することでそれが出来る。
だから動物の姿に変化した精霊達が、人間からもらった果実を咥えて湖に集まった。
人間がお酒を造るために育てているトラウベンの実が、瑠璃色の宝石に見えた。
本当はそれだけ。
最近は、その精霊を捕まえようとする人間が多いから、そういうこともほとんど無い。
だから、まだ小さな精霊のなかにはトラウベンの美味しさを知らない子が多くって、少し勿体ないと思った。
トラウベンは森の中では採れないので、人間の村へ出向くことになるけど、みんなにも食べさせてあげよう!
ボクはコマドリに姿を変化させると、森の外へ飛んでいった。
勿論、ビャクランさんの目を盗んでのことだ。
森の外へ出ると、森の静けさから一転…
行き交う人で賑わっていた。
少し高くまで飛んで村を一望すると瑠璃色のトラウベン畑へ向かう。
人間の目のない時を見計らって、一房頂く。
あんまり沢山採ると人間にも悪いし、これで引き返そう。
一房と言っても、大きな粒がたわわに実る大きな一房だったので、ちょっと重い。
ふらふら定まらない動きで飛んでいると、背後から羽音がすることに気づく。
首を捻ると黒い影…
あれは…黒ローラム鳥…
ローラム鳥は、明らかにボクを狙って飛んでいる。
そして次の瞬間…大きく鋭い爪にしっかりホールドされて動けない。
ついついトラウベンを取り落とすと、ボクを掴んでいた爪が離れる。
…トラウベンが欲しかったんだ…
これでボクが狙われる事はない。一安心して飛ぼうとするけど、左の羽がうまく動かずにバランスが取れず落ちてしまった。
どうやら怪我をしてしまったようだ。






























まあ小説は逃げねぇさ。
ちょっとまなっぺの家に泊まっているのでイン率低下するからね!
絶対小説は読むから!←楽しみにしてる
ごめんね。