樹ノ乙女~術士ノミタ夢~Ⅴ
- カテゴリ:日記
- 2012/08/29 20:56:34
数日した朝、エゾリスの小さな手が窓を開けて、家に入ってきた。
「クロームちゃん!!」
ボクが声をかけると、ふさふさの尻尾を揺らしたエゾリスはこっくりと頷いた。
「キョウコちゃん…やっと見つけた…むかえにきたの…行こう?」
内気で恐がりな彼女が森の外であるここにまで来てくれた…嬉しかった。
羽をパサパサと動かすと、普通に動く。怪我は良いようだ。
「じゃあ…行こうか…」
お世話になったこのうちにお礼を言って、去ろうとしたそのとき、寝ていたはずのハルちゃんのお母さんが起きあがり、ボクに話しかけた。
「あら…精霊のお友達が迎えに来たのかしら?…もう言ってしまうの?」
「え…ボク達の事…?」
ボクは小声でつぶやいた。
「ええ…。分かっていたわよ。ハルは気づいていないようだけど。」
普通、精霊の言葉は、人間にはただの動物の鳴き声にしか聞こえない。
「どうして…?」
「魔術…という程でもないけど、私も少し不思議な術をやっていたことがあるのよ。」
やはり…ボクたちと言葉を交わせるのは、ムクロさんと同じ、特殊な人間だけみたいだね。
あとひとつ、ボクが疑問に思っていた事を聞いた。
「どうして…ハルちゃんはいじめられているのかな…?」
ボクが問うと、ハルちゃんのお母さんは俯き…ぽつりぽつりと話し始めた。
「窓から覗いて気づかなかったかしら?ハルや私以外の人には全員目の下に痣があるわ。
ここ、ミルフィオーレの民のうち、ほとんどが生まれながらある物なの。その痣を地神ビャクランの祝福の印としてありがたがっている。」
だからその痣を持たない物は差別の対象であると。
それも、ハルちゃんの出身ダニーナ族に対しては相当の物だと彼女は語った。
「私は痣はないけど…ダニーナ族じゃないからそこまで酷く差別されているわけではない。それでも孤児だったハルの面倒を預かり育てているだけで、多少疎まれては居るようだけど。」
どうして人間は同じ人間同士なのに差別なんてするんだろう…
「ふふ…人間って、難しいものよ。」
ハルのお母さんはそう言って、トラウベンの実を一房、ボクに持たせてくれた。
「あなたを見てるとき、あの子の顔は昔のように活き活きしてたわ。ありがとう。」
「こちらこそ…ハルにもお礼いっておいて。」
「ええ…もちろん…さようなら」
待ちかねたクロームがボクに声を掛けた。
「キョウコちゃん…帰らないの…?」
「いや、帰ろっか。」
「ビャクランさん…心配してると思う。」
ビャクランさんに怒られたことは、言うまでもない。






























骸髑が楽しかったのかw
僕の中でもちょっとしたマイブームになったけどw
スランプ・・・へ~・・・
久々の小説!
( *´艸`)~♪