Nicotto Town


黒曜のアジト


獄寺誕生日企画小説。


キーンコーンカーンコーン…
金曜日の午後…気怠い授業の終わりを告げる、待望のチャイム…

誰よりも早く、と荷物を纏めた少年――獄寺隼人は、もっとも敬愛するボス、10代目の元へ向かおうとする。

「じゅうだ…」
「あっ!ねえ山本!相談があるんだよね。一緒に帰らない?」

声を掛けようと近づくも、彼はすぐさま傍らの山本の手を取り教室から去る。

「おう。良いぜ。」
鳶色の瞳の少年は、傍らで突っ立つている獄寺を気にしながらも手を引かれて教室を出る。

「どうしててですか…じゅうだいめ…」
大分人が少なくなった物のざわめきが消えない教室で、ぼそりとつぶやく。
その声は、放課後の騒がしいおしゃべりにかき消され誰の耳にも届かない。

思い返してみると最近いつもこうだ。
三年生になり野球部を引退した山本と、我がボス沢田綱吉――
放課後になるといつも二人一緒に教室からさってしまう。

――やはり…オレなんか…

思いを巡らせるもむなしく、とぼとぼと家路を急ぐ。

夕方の買い物客で賑わう夕方の商店街…
夕日で町並みは朱くそまりつつある。
そんな時、獄寺は見慣れた三人を見かけた。

一人は10代目こと沢田綱吉と、山本武、そして笹川京子…
三人は、楽しそうに会話を交わし、それぞれ手に手にスーパーの袋を下げて歩いていた。

「ごめんね京子ちゃん…急に呼び出したりして…こういうとき頼れるの…京子ちゃんだけでさ…」
「ううん。でもうまくいくといいね。」

いつものメンバーだがオレが居ない…
こんな時に限って10代目はいつもより、嬉しそうに見える…。

三人は後ろを行く獄寺に気づくと、すぐさま急いでそこら辺の喫茶店に入る。
その様子を見て…獄寺は確信した。

オレは…避けられている…?


家に戻ると、郵便受けに封書が届いていた。
その名前を見て驚く。
「10代目!?」

ぴりぴりと封筒を破いて、中を開けるとシンプルな白い便せんが出てきた。
オレンジ色の丸い字で

ごくでらくんへ
最近いっしょに帰れなくてごめんね。
日曜日の夕方、オレの家に来てくれないかな?
ぜひ、ご飯を食べずに来て…
ツナ

「10代目…貴方はどうして…」


9月9日…日曜日…
毎日のように訪れる沢田家を、わずかに緊張した面持ちで訪れる。

「失礼しますっ!」
入って良いよと声を掛けられ、ドアを開いた瞬間…

「獄寺(君)/ハヤト(兄)!!お誕生日おめでとう!!(なのな)(だぞ)」

この家の住人から一斉に浴びせられる祝いの言葉と同時に、小さな爆発音…

パァン…

わずかに火薬の匂いがして、紙テープが飛び出す。

「こ…これは?」
「えへへ…獄寺君の誕生日パーティー…去年の今日は大変だったよね…」

獄寺は、翡翠の瞳に驚きの表情を浮かべる。
まさか、10代目がおれの誕生日を覚えてくださっているなんて!!

「ううっ…10代目ぇ…オレ感激です!!」
涙ながらに訴える獄寺をなだめながらも、さりげなく食卓へ移動するツナ。
「あのさ…母さんが腕を振るったらしいからさ、獄寺君も食べて行ってよ。」
「そーだぜ!食ったら落ち着くのな!」

食卓に着き、一息ついた頃…ハプニングは起こる…

「ハヤト…誕生日おめでとう。」
手作りのホールケーキをもって奥から現れたのは、彼の姉、ビアンキだった。
「ふげぇ!!ア…アネキ…」
姉の姿を確認するも、彼は卒倒してしまった…


目を覚ますと獄寺は、ツナの部屋に居た。…丁寧に額には冷却シートを貼られ、ベットに横たわっている。外はもう暗く、月が輝いている。
傍らを見ると、ベットに背中を預け、座ったまま眠るツナの姿…
ばさりと起きあがると、すぐにツナも目を覚ます。
「あ…獄寺君…ビアンキにゴーグルつけてって頼むの忘れててさ…ゴメンね…」
「いいえっ!10代目にあそこまでしていただいたのに…情けなくてすみません!」
ベッドから降りた獄寺はいっそ床に頭をたたき付けるような勢いで頭を下げる。
「いや…其処までしなくても…そうそう…実はオレ、獄寺君のためにケーキ作ったんだよ。ランボがかなり食べちゃったんだけど、まだあるから二人で食べよう?」

そういってツナが差し出したのは、シンプルな生クリームのショートケーキ…
「凄いです!作れるんですか10代目!」
そう言われてツナは、照れたように少し頬を染める。
「いや…実は京子ちゃんに教えて貰ったんだよね。昨日はずいぶん練習してさ…」
「オレのために!?ありがとう御座います!!」
ビアンキのこともあり、甘い物は苦手だった獄寺も、敬愛する10代目の手作り故に不思議と喉を通る。

「最高ッス!10代目…」
「美味しかった?良かった…」
ほっとした様子のツナに、獄寺は語る。

「オレは、生まれてから、幸せな誕生日なんて迎えたことが無かったんす。
…でも、10代目に出会えてから、誕生日だけじゃない…毎日が楽しくてしょうがない…
全て10代目のおかげです!…あと、10代目…ひとつオレの願いを聞いていただけますか?」
「どうしたの…?」
「あの…来年もオレの誕生日を覚えていていただけませんか?きっとオレは来年も自分の誕生日を忘れているでしょうから…お願いします。」
「そんなことで良いの?当たり前だよ…来年もお祝いしようね…。」

約束…

15歳になった君へ贈る言葉…

Buon compreannno…


今のリボーンよりちょっとだけ未来のお話。
獄ツナにちょっと近いけど、友情かな。


結構ぎりぎりになりましたね。獄誕。
行きつけのサイト様が日付変わった瞬間に素晴らしい小説挙げてるのに感動した次第ですw尊敬します。



#日記広場:自作小説

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2012/09/10 07:20
うんーw
そうだねw
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2012/09/10 06:52
うん…ニコタではやらないと思うのその設定。
子供だのなんだのの設定は無理な人多いからね。
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2012/09/10 06:34
勿論僕もリボーンも獄寺も大好きなので、愛だけは詰まっています!!
読んでいただいてありがとう御座います!嬉しい限りです。
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2012/09/09 23:43
こんばんは、ブログ広場からお邪魔させていただきました。
私もREBORNが好きで、獄寺君が好きです!

すごく面白いです!
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2012/09/09 21:23
むっ・・・骸しゃんに娘!?
ムガちゃんが聞いてたら・・・恐ろしや~ lω・`))
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2012/09/09 21:01
基本的にはBLの+10は獄ツナなんだよねー。
NLの+10には骸に娘がいるんですよねーw

捏造やばいなw
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2012/09/09 20:57
フラン「うわー、出ました十代目馬鹿っぷりー。絶対人生損してますー」
骸「クフフ、フランの言うとおりですね・・・」

珍しく同意の骸様w
CPしても・・・10代目か、野球馬鹿か、ナイフヤローとかしか・・・←
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2012/09/09 20:53
獄「いいえっ!10代目に捧げる人生が無駄なはずはありません!!」
ツナ「…だそうです。」

うちの+10設定って複数あるけど、ごっきゅんはNLverもBLverも女は居ないな。
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2012/09/09 20:51
うん。
同意だわw
結婚、彼女、ほぼ遊びもなし!
10代目につくします!
って言う、人生無駄にする感じの人だ・・・w
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2012/09/09 20:45
そんな感じはするね…
ツナを恋愛対象と満たなかったとしても、彼女も結婚もないタイプの人だと思う。
うちの10年後獄さんはそんな感じだし。
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2012/09/09 20:43
うんw
確かにw
ごっきゅんは浮気とか絶対ないね、彼女もつくらん!10代目一筋!
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2012/09/09 20:42
CPにしても良かったんだけど、この二人は恋人同士じゃなくても良い雰囲気なので…
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2012/09/09 20:40
いいんだよ!
このベタな感じもたまにはいい!←
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2012/09/09 20:34
どーも!
ちょっとネタ考えるのに苦労した…結局ベタなかんじに…
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2012/09/09 20:31
おぉぉぉぉ!!
ごっきゅんおめでとw
そして先輩サイコー!!←




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