こんにちは、栗田です今日私達は取材の為に大手家電メーカー、田中電気の商品記念館に来ています。
「案外いろんな物を開発してるんですね」と、山岡さんも楽しそう。
「ええ。特に昭和三十年代は新製品が目白押しです」
確かにそうなのだ。カイロや練炭に代わり、沢山の電気暖房機具が展示されている。
「ところでこれは何ですか？」
「ああそれですか？電気手あぶりですよ」
「手あぶり？」
なんとコタツや電気ストーブの他に、メーカーはそんな物まで開発していたのだ。
「電気手あぶりかぁ。そんな名前じゃ売れないよなぁ『テアブリーナ』なら売れるよ」
山岡さん……それ本気ですか？売れませんてば。
「そりゃ良いな」などと笑いながら担当者も苦笑いをしてる中、突然あの聞き覚えの有る声が。
「ムハハ志郎。究極のメニューを諦めて家電製品の取材か？」
「か……海原友山!!」
急に殺伐とする空気。海原さんも空気読んで出て来て欲しい。
「お前がテアブリーナなどと名付けたこの機械。わしなら『指先ウォーマルハウト』と名付けるわ」
ウォーマルハウトというのは夏の星座『南の魚座』の一等星だけど、そんな名前も有ったもんじゃないわ。
「なるほどなかなかじゃないか」山岡さんが呟く。いや、どっちもどっちです。
「いや……こいつはテアブリーナだ」
「そうだ志郎。お互い創作料理に名前を付けてどちらが良いか試してみるか」
「面白い！ネーミング対決だな。受けて立とうじゃないか」
こんな調子で究極対至高のメニュー『ネーミング対決』が始まってしまいました