樹ノ乙女~歌姫ハ夢ミルⅣ~
- カテゴリ:自作小説
- 2012/09/23 19:18:56
こうして、私はハルちゃんの家にお世話になることになった。
仕事として、畑仕事もお手伝いさせて貰っているし、それを通じて村の人とも仲良くなった。
村の人たちはみんなそろっていい人ばっかりだけど、一様にハルちゃんに対する態度は、冷たくきつかった。なんで同じ人間どうしなのにこうもいがみ合わなければならないのか、元精霊の私には理解できない。
あと、農業も思ったより大変だった。
毎日筋肉痛で腕が上がらなくなる。宝物探しの合間に農業をやろうと思っていたのに、此では果たせない。
でも、麦の刈り取り1日のノルマを果たして、ハルちゃんの家でくつろいでいる今。それがとっても幸せに感じる。人間として生きる喜び…それが少しずつ分かった気がする。
台所でくつくつと煮える鍋を前に料理を作るハルちゃん。
料理を作っているときの彼女の顔はとても嬉しそうで、私まで幸せに思えてくる。
小さなテーブルを囲んで、晩餐を頂くひととき。これも精霊にはなじみのない楽しみだった。
精霊は動物に姿を変えることによって食べ物を食べることは出来るけど、お腹が空かない。
お腹が空いたときに食べる料理って格別だとしった。
食前のお祈りを済ませて、ナイフとフォークを取ったとき、ハルちゃんのお母さんが戸棚から小箱を取り出した。
「これを入れるともっと美味しくならないかしら。」
「だめですっ!お母さん!」
ハルちゃんが必死でお母さんを止めた。
芋虫が見えたような気がしたのは、気のせいだと思いたい。
食事や片付けを二人で終えた後、森の近くの泉で二人で過ごすのが恒例となっていた。
「はひ…月がとっても綺麗ですね。」
「そうだね…ねぇ…お母さんのことなんだけど…病気やっぱ重いの?」
私が聞くと、ハルちゃんは俯いて答えた。
「ええ…。お医者様が言うには重度のグーラ病で先は長くないそうです。お薬でも、進行を遅らせることは出来ても治療はできないそうで…」
グーラ病は、流行病でかかると内臓を蝕まれていく。不思議と食欲は増すけど、味覚が狂ってしまうらしい。ハルちゃんのお母さんは、道端の虫を好んで食べるようになってしまった。
「ごめん…哀しいこと聞いて…もう帰ろう?」
頷いたハルちゃんと家の前まで帰ってきて、ドアを開ける。
すると、家の中には喉を押さえて蹲り、血を吐くハルちゃんのお母さんの姿があった。
「…っ!いやだ…お母さん!!」






























風呂はいろうって頭ではわかってるんだけどPCから離れられないw
まあこの作品は基本シリアスかな。
なんか・・・うん。
なんとも言えない・・・