※腐向け表現、心中ネタ注意です。

君のためだけに用意した紅い飲み物に、雪のような粉薬を落とす。
紅は白色と混ざり合い…消える。
なんて綺麗なのでしょうか。
命を奪うそれは。

僕がこうして毒を盛ったとも知らず。
君は何の警戒もせずにティーカップを持ち上げた。
彼とはこうして何度もお茶を共にしていた。

…まさか僕に裏切られるなど…思っていなかったでしょう。
でも勘違いはしないでほしい。
僕はこんな事をしてもなお、君を愛しているのですから。
そもそも、僕達が出会ったのは間違っていたのかもしれません。
最初は敵として出会ったのに、いつの間にか恋に落ちていた。

かのボルジア家のように…チェーザレとルクレツィアのように…
…たとえそれが許されないものだと言われても…

僕と君がどんなに愛し合ってても、何度体を重ねても、僕達が本当のひとつにはなれない。
…それならば…

いっそ二人で死んでしまおうか。
いつかの睦言でそんなことを言ったのを君は覚えているでしょうか。
そう…本気でいったものですよ。

彼が一口…白磁のカップに口を付ける。
白い喉を、液体が流れていく…その様子をしかと見つめながら。
一口を優に味わい、テーブルにカップを置くと、目の前で緩くほほえむ君。
嗚呼…僕を許してください。

徐々に表情を失い、君はソファの上で力を失っていく。
そして僕は君が飲んだ紅茶の全てを飲み干した。



予想している質問
「結局おまえらは誰だ。」
A．モデルになったキャラは勿論奴ですが、ご想像にお任せします。

こういう作風はあんまり書かないから楽しかった。

『カンタレラ』とは…
イタリアの貴族、ボルジア家が暗殺に使ったという禁断の秘薬。
量を調整することで死期を操れるという伝説も残る。
ボルジア家の兄妹チェーザレとルクレツィアは、兄妹でありながら愛し合っていた…という噂がある。…あくまで噂。

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