Nicotto Town


黒曜のアジト


ゆうぐれ【ツナ誕】

+10なのでキャラ同士の呼び名とかが微妙に違うとです
サークルに投稿しようとしたのに、文字数制限でかけなかったとです。
切ないです。



ここはボンゴレアジト日本支部、執務室。
夕暮れも近づき、オレンジ色の夕日が部屋を包む。
そんなゆったりとした雰囲気の中、悲痛な声が響く。
「ヒ、ヒィィィィィ!」
「間抜けな声上げてる間があるなら手を動かしやがれ。ダメツナ。」
「その名前久しぶりに聞いたよ!!」
ボンゴレボスこと沢田綱吉は、大量のデスクワークに追われていた。
昨日は、ボンゴレファミリーの皆で盛大に誕生日パーティーをした。
リボーンの誕生日であり、ツナの誕生日の翌日でもある昨日は、たまたまファミリーの全員、暇だったから。
二人分の誕生日パーティー…楽しい物だった。…が。問題はここから。
ツナは、10月14日、つまり自分の誕生日が締め切りの仕事を数件抱えていた。
とはいえ、その仕事は量は多いが、普通に終わる量の物…問題は同盟ファミリーの財政難により、緊急の仕事が大量に入ったことだ。
「…で、ティアデームファミリーへの資金援助のことはどうすんだ?」
「うう…とりあえず協力するよ。…イタリア内に孤児院を建ててくれた恩があるし…」
ツナは机の端に、山のように積み上げられた書類を見つめてため息をつく。とりあえず目を通して必要事項を書くまでは、とても休める感じではない。
「徹夜決定だよリボーン…」
「まあ、だろうな。死ぬ気でやりやがれ。今夜は寝かせないぞ☆」
「…泣いても良いかな…?」

お目付役だったリボーンが席を外した隙に、ノックを2回…叩く者が居た。
「ボンゴレ、お誕生日おめでとうございます!」
そう言って差し出したのはオレンジ色が鮮やかな花だった。
「ルドベキア…本当は、自生するような花より、蘭や百合、薔薇をあげたかったんですけど…ボンゴレにはこんな花の方が似合う気がしたんです。ボンゴレの誕生かなんだそうで…花言葉は…正義、立派…。」
ランボが恥ずかしそうに目をそらしながらそう言うと、花束を手渡す。
「…ありがとう…でもオレ、そんな花言葉が似合うような人間じゃないよ?…でも素敵な花だね。」
「そんなことありませんよボンゴレ!」
大きな声を出している事に気がついたランボはゴホンと咳払いをすると、会釈をして帰って行った。
ツナは、戸棚からちょうど良い瓶を取り出すと、ルドベキアを生ける。
「ちょうど良い花瓶…買わないとな…」

落ち着いて、仕事を再開しようとした頃、小さなノックの音がする。
「ツーナさん!ちょっといいですか…?」
ドアを開けて入ってきたのは、ハル、京子、クロームの三人だった。
「あのね、ツっ君…大変だって聞いたから、ハルちゃんと美味しい紅茶を買いに行ったの。ここに来る途中にクロームちゃんにも会ったから、一緒に来たんだ。」
「えっと…私はティーカップとティーポットのセット…骸様が選ぶの手伝ってくれたの。」
ツナが、クロームの渡してくれた箱を開けると、アンティーク調のティーセットが出てきた。
白磁に藍色の花柄…上品で優美と言える者だった。
「…あのさ、お湯沸かすからさ、このお茶一緒に飲んでいかない?」
京子とハルが持ってきた紅茶は、ほんのりとキャラメルの香りがするお茶だった。
ふんわりとたつ湯気が、なんとなく心地良い。
仕事で疲れていたツナは癒されたような気持ちになる。
「はひ!このお茶美味しいですね!」
「うん!そうだね。」
「…良い香り…」
みんなでお茶を楽しんでいると、廊下から二人分の足跡。
「ツナ!!邪魔するぞ。」
「ツナ!入るのな!」
ずかずかと入ってきたのは、山本武と笹川了平。
「お兄さん!武!」
山本の右手には白い箱が握られていた。
「実は並盛商店街で笹川先輩にあったから、一緒に買い物してきたのな!」
「おう。いたりあんどるちぇ…とかいうのを極限に買って来たぞ!」
二人が買ってきたのは、クッキーにチョコレートを挟んだお菓子。
執務室の応接台をいっぱいいっぱいにつかって、その場に居合わせたメンバーでお茶をいただく。
もちろんお菓子は、お茶菓子に…それは、さっくりとしてとびっきり甘いお菓子だった。
「みんな、ありがとうね!」
「手伝える事があったら言ってね。」
「あんまり無理するなよ…ツナ!」
お礼を言うと、優しく答えてくれるみんな。それだけでツナは嬉しく思う。
大所帯のざわめきは執務室から去っていった。

コンコン…またもやドアを叩く音。
「じゅ…10代目…」
「…隼人?」
重たい扉を開けて入ってきたのは獄寺隼人――沢田綱吉の右腕としてボンゴレに勤める彼だった。
「すみません…これを買いに行っていて…」
彼が大事そうに持っているのはホワイトの指輪ケースだった。
パカリと開けると、中には繊細な細工のシルバーリングが収まっている。
そして先には、オレンジ色に透き通る宝石がちりばめられていた。
「…この宝石は、ファイアーオパールというんです。…オパールは10月の誕生石。…砕いてしまったボンゴレリングの代わりにはなりませんが…納めてください。」
そういうと獄寺は、ツナの左手の中指に指輪をはめる。
名前の通り、炎のような…そんなオレンジ…
「…ありがとう…綺麗な石だね。」
「ええ。…10代目、お仕事大変でしょう?少しお手伝いします。」
そういって、獄寺がペンを取ったとき、長らく席を外していたリボーンが帰ってきた。
「獄寺…気てやがったのか。まあ、せいぜい右腕として助けてやれ。…ツナ。先に渡しとくが、オレからのプレゼントだ。」
「はい!」そう返事をする獄寺を余所に、リボーンはツナに黒く細長い箱を渡す。
「わあ…万年筆?」
「ま…ツナにはまだまだ勿体ない代物だろーがな。」
「ちょ…リボーン…」
そういわれても、やっぱり嬉しいのには変わりなく、二人からのプレゼントに、またもや顔がゆるむ。
夕日がとっくに沈み、窓の外が闇に包まれても、夕日のようなオレンジはツナの指で鮮やかに輝いていた。
そんな中、三人のペンの音だけが響く。
宵のひととき、忙しいながらもとっても良い誕生日だったと、ツナは心の中でつぶやいた。


鬼のように資料を漁った…

ルドベキア
http://www.ffj.jp/hanakotoba/rudobekia.htm

ティーセットのモデル
http://www.jewel-planet.jp/products/detail.php?product_id=6850

ファイアーオパール
http://www.jewel-planet.jp/products/detail.php?product_id=6850

イタリアンドルチェ…は実はこれでした。
http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4934761803531

万年筆
http://www.smzkurasawa.com/hqpM/delta-fre.htm

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