Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


秋の夜長に見たい映画


というタイトルからして、DVD前提のお題ですね。
ビデオで録画して見た最近の映画と言えば、BSのNHKで放送されていた

レッドクリフpartⅠ、Ⅱ(レターボックスサイズ)

これは一篇が2時間半という大作で、じっくり見るにはもってこいでした。

この映画、三国志演義が原作なのですが、決して忠実な再現でもないです。
だから相当な原作ファンにとっては「これ元ネタと違う!」とクレームが多かった内容でもあります。

でも蒼雪としては、エンターテイメントとして大変楽しめました。
まずキャラが立っている。原作の特徴を強調しつつ、見た人が何かしら好感が持てるよう工夫されています。

劉備は流浪と転戦を繰り返してきたので、がっちりした日焼けのおっさん。
でも漢王朝の血筋を引いている(らしい)ので、どこか気品があります。
戦に出る前はわらじを編んで売っていたので、映画でもわらじを編む場面があり、ファンは思わずほほえんだことでしょう。
中国の原作に忠実なテレビドラマだと、皇帝の末孫という品格を重視するので、日焼けはしていませんでした。(その、「らしくない」ところが貴種流離譚なんですが)
そこがリアルで面白かったです。
優秀な部下に守られて出世する人なので、武芸はそんなに強くないのですが、partⅡでは50代のおっさんなのに身体を張って戦っていたりして、ちゃんと見せ場を作っていましたね。
個人的には、Ⅰで作戦会議をしつつ、関羽たちとご飯を食べているシーンが一番好きです。旅立つ諸葛亮に飯を盛ってあげるところが、なんともアットホームで良いです。
苛烈な性格で部下を従える独裁者タイプの曹操と対を成すカリスマといえるでしょう。

劉備は自分を慕う民を優先し、一度は自分の妻子を見捨てるのですが、彼の子供を守って満身創痍で戻ってきた趙雲を泣きながら抱きしめるシーンは秀逸でした。
これは原作とは違う表現なのですが、蒼雪としてはこのシナリオが大好きです。
むしろよくやった!w
劉備がどういう男なのか、よくわかる作りだったと思います。


と、全キャラをつづると全10回くらいかかりそうなので割愛しますが、ほかにも、人物に親しみを持たせる仕掛けは多かったです。

荒くれ者の張飛が、宿営地で民にパンを配っていたり、最強武人の関羽が子供たちに学問を教えていたり(関羽のシーンは、彼が劉備に仕える前は寺子屋の先生だったという設定から)、孫権が疫病にかかった民のために薬を煎じる手伝いをしたり…(一生懸命羽扇で仰いでる姿がかわいかった)
あと、お姫様である小喬が、回想シーンで屋敷の雑巾がけをしていたり。
としよりの黄蓋将軍を慮って、「苦肉の策」はやらないよと言う周瑜とか。

演義に忠実だと、こういう庶民的なことはしていません。あえて映画では、彼らに「真逆」のことをさせている。
キャラを好きになってもらう手っ取り早い方法は、「初登場シーンで転ばせろ」といいます。見た目と違うギャップに人は萌えるのです。
そして、相手が自分と同じステージに立つ人間だと認識できる。
やっぱり完璧で高潔なだけの人には惹かれないですよね。誰もが完璧じゃない。泥の中でのたうちまわり、くだらないこと考えて落ち込んだりバカやったりする。そこから何か大切なものを見つけて光っていくのが人間の良いところです。

でも結構不満というか、アレンジしてほしくなかった部分もありました。

曹操が初恋の小喬目当てで戦争を起こすシナリオと知ったときは、ばかやろぅ原作台無しじゃないか~!曹操カッコ悪!と思ったり。
小喬が民が傷つくのをわが身のことのように悲しむくだりが多かったけど、あまり見ている方は実感しませんでした(セリフが極端に少ないせいかもしれない)
自分の身を挺して戦を止めようとした最初の小喬と、戦は止められないと知って、あえて曹操に媚を売ってお茶を飲ませる小喬とキャラが違うように見えるし。
(それにコロッとだまされる曹操もどうかしてると思うが、曹操の極端な性格を思えば、あぁこれでも良いのかな…と納得はした)

劉備の人柄に惚れて自分から家臣になったのに、映画では劉備より周瑜大事になっていた趙雲、命の恩返しとはいえ、お前ちょっとひどくない?w
partⅡだと張飛と関羽の見せ場がないぞ~!
孫尚香と劉備のロマンスはどこいった!
どうして甘寧が甘興って名前になってるの?
特に名前が呼ばれないけど、なぜか劉備たちと一緒にいる小太りの男は関平だったとは!(関羽の養子で、生涯を関羽と共にした)

と、不満も少々ありましたが。蒼雪には面白い作品でした。セリフも覚えるくらい観てしまいました。
古代中国の戦の再現もよくできていたと思います。リアルですごい迫力。
ただ、あれを見るたびに、大昔に生まれなくてよかったとも思います。
多くの兵士が槍や戈(←カ。ホコとも言ったりする。足を引っ掛けて切る武器)でザクザク斬られるシーンはきつい。自分もあの場にいたら、あのひとりなんだろうと思うとよけいにつらい^^;
それでも一騎当千の戦いぶりを発揮する、張飛、関羽、趙雲はカッコいいと思えるところが矛盾してるなあと自分でも思います。カッコよさは残酷と紙一重なんですね…。


そういえば、地上波放送とレターボックスサイズは違うんですね。
地上波だと、細かい部分がカットされてました。
諸葛亮の「反射光線の策」で、光る盾を返すシーンがノーカットだと長かったり。
DVDの字幕と日本語訳が違うのも興味深かったです。
同盟を結んだはずの孫権を助けに行かないことに焦れた趙雲に、劉備が「趙雲、けがの具合はどうだ?」と尋ねるシーンで、趙雲が「戦に出れば治ります」と言うセリフ。
DVD字幕だと、「敵を殺せば治ります」だったのです(たしか)

違いついでに、よくできた映画ほど、吹き替えで見るのはもったいないと思った作品でもあります。やっぱり良い映画は、役者さんの生の演技が素晴らしいです。
字幕は直訳ぽいので、セリフの妙がいまいちになってしまうのが難点。
吹き替えのセリフを暗記したうえで言語表示を変え、改めて中国語で聞いてみるということもしてました。実際の役者さんの声は良いものです。趙雲や張飛は特にそう思いました。張飛の独特の声は、原典通り本当にでかいです(笑)


思わず何度も聴いてしまう主題歌・久遠の河。
イントロの笛のメロディが、今はない国を思わせて哀愁をそそります。
滅びた国の遺跡が妙に好きで、西遊記はもちろん、中国の史跡ドキュメンタリーもよく見ます。このさびしい感じがたまらない。国破れて山河あり。
http://www.youtube.com/watch?v=4Oc0tBsc91s

#日記広場:映画

アバター
2012/10/30 14:43
あびにゃんこさん、コメント感謝です。

おー、このレビューから鑑賞に至ってくださってうれしいです。ありがとうございます^^

あの人間の数はすごいですよね。もちろん、人海や船団の全体図はCGなんですが、格闘シーンは全部人。かなりの人が動員されてますよね。
戦争のシーンは、かなり忠実なんだと思いますよ。partⅠの後半で八卦の陣がありましたけど、あれは実際にあった陣形と戦術だそうです。
曹操軍がそれに対抗して、盾を構えた兵士を石垣のように組ませて人間トーチカを作る場面もありましたが、あれも実在するらしいです。だからとてもリアルに見えるんですね。
大昔の人はああやって戦争していたんだなと、ある意味勉強になります。
関羽などの猛将が兵士を薙ぎ払うシーンは、とくに小説化された作品などによく見られます。ひとりの人間が何人も吹っ飛ばす爽快さは、今も昔も変わらないのでしょう。

趙雲が助けた赤ちゃんは阿斗っていうんですが、この子、劉備のもとに届けられたときのんきに寝てたでしょう?あれは原典と同じなんですよ。
つまりそれだけ、趙雲が完璧に傷一つつけず守りきったという証で…って、揺さぶられ症候群ですか?ww
た、たぶん頑丈な子なんですよ…なんて^^;
阿斗は成人して劉備の跡継ぎになると、せっかく劉備たちが創った国を滅亡に追い込む人なので、三国志の劉備(蜀)ファンの間では、阿斗の待遇に関しては当然の扱いと暗黙の了解があります(笑)
このシーンで大事なのは阿斗じゃなくて赤子を背負って立ち回る趙雲のカッコよさなので、そこは別に良いんですよw

馬や劉備にコテンとさせちゃう姫は、孫権の妹の孫尚香(そんしょうこう)ですね。
映画では自立した、政略婚を厭うカッコいい女性でしたけど、原典では30才も離れた劉備と熱愛しています。駆け落ち同然で劉備の後を追って嫁入りしてるんです。
映画でチラッと出た荊州(けいしゅう)を巡って劉備と孫権が険悪になり、無理に別れさせられる悲恋の2人なんです。さすがに映画では、オヤジと娘の恋愛はさらっと描くには無理な内容だからですかね?

partⅡも、機会がありましたらぜひご覧になってください^^
アバター
2012/10/30 11:26
蒼雪さんが押してらしたので、先日、秋の夜長の映画鑑賞しましたよ♪
とりあえずパート1だけですけど^^
TUTAYA配信の映画リストにあったので、気が向いたときに自宅で観られました^^
しかし・・・・。
食後にワイン片手に観てたんだけど、まぁ人、人、人の山でしたね。
よくもあれだけの数の衣装と人数をそろえたもんだと。
いや、あれって何かCGなんでしょうかね?
ざっくざっくと切っては捨てられてるのには、ときどき うっ! ともなりましたえぇ。

私は歴史からっきしなので、三国志もよく知らないのですが、それでも楽しめましたよ^^
台湾で人気俳優になったとか聞いていた金城武が孔明を演じていて、いい役もらったなぁと感心しました。
人海戦術を絵に描いたような戦い方でしたけど、四方から突きつけられる槍を跳ね除け、
大立ち回りする有名どこの武将たちには、あきれるやらスカッとするやらw
そういや、劉備の子どもを手に持ったまま敵の包囲網から逃れる超雲は、ちょっとやりすぎなような気も。
「いや! そんなことしたら 揺さぶられ症候群 で、赤ちゃんに後遺症残るよっ!」
とか、突っ込んでいましたw

名前忘れましたけど、誰かの妹(?)で、オテンバさんが登場しますよね。
女だてらに馬に乗って先陣切って走っていくような。
あの子がちょっとベッキーに似ていて可愛かったですw(ベッキー好きですw)

時間あるときにパート2も観なくてはw
アバター
2012/10/20 09:09
小鳥遊さん、コメント感謝です。

そういって頂けてよかったですw
歴史ものが苦手な人でも観られるように、演出やキャラ造形はかなり気を配っていると思える作品でした。
原典を知らなくても、出てくる人物は誰かしら好きになれるんではないでしょうか。
この記事では真っ先に劉備を紹介しましたが、蒼雪は趙雲が一番好きなんですよね(笑)
だから、映画ではアクション大活躍だった趙雲には大変満足しました。原典と違って、なぜか周瑜と仲が良かったですがww
あと、金城武の孔明も、気取った感じがなくて好青年で良かったですよ。
映画を通して普段着みたいなかっこうなのですが、Ⅱのラストで、きれいな服を着て周瑜に別れを告げに来るんです。この姿が、いわゆる「諸葛孔明」そのもののでして、ファンには「真の姿を現した」印象を受けたものです。
悟空が初めてスーパーサイヤ人になったみたいな…いや、魔女っ娘が変身したみたいな?
ちょっと違うか(笑)

と、語ると長くなりますがww
小鳥遊さんにも、楽しめる作品でありますように^^
アバター
2012/10/19 22:41
蒼雪さん、面白そうな映画をご紹介くださり有難うございます^^
読んでいるうちに『これは是非とも観なくては!』と思いました~。
三国志は詳しくないので、考察は出来そうにありませんがエンターテイメント作品としておおいに楽しめそうです。
レンタルビデオ店に借りにいくリストに入れなくっちゃ!
アバター
2012/10/17 08:20
アイマールさん、コメント感謝です。

おお、それは残念です。もし機会があればビデオでぜひw
蒼雪の三国志の出会いは意外と古く、NHKの人形劇「三国志」が最初でした。
子供の当時は関羽のファンでした。人形がカッコ良すぎる(笑)
それからゲームの真・三國無双にはまって吉川英治の三国志を全巻読んで感銘を受けました。
原典は、さわりくらいしか読んでないです。吉川先生の本のほうがわかりやすくて面白いから、ほかは読む気になれなくて。吉川作は、三国志を忠実に最後まで書いてないんですけどね。

赤壁は名シーンが多いんですよ。特に、戦が終わった後の関羽と曹操のやりとりが素晴らしいんです。
関羽は一度、仕方なく曹操の客人になっていたことがあるのですが、関羽にベタぼれの曹操が「自分に仕えよ」と盛大な贈り物をしてラブコールしていたにもかかわらず、関羽は「拙者には兄者がいるゆえ」と劉備ひとすじで振り向きもしなかったという悲恋があったのです。
その二人が、赤壁の戦いのあと再会するんです。大敗して逃げ延びようとする曹操に、諸葛亮の策であらかじめ退路に待ち構えていた関羽が現れて、あえて彼を見逃すんですよ。
以前に世話になったから、と言って。
さすがに映画では、曹操が関羽ラブなところは表してなかったですねw

曹操はわがままでやんちゃなところがあるので、映画ではそこを強調したんでしょうね。
文武両道で男前でもあるんですが、人妻奪ったり、ずるいことも多くやってましたし。
でもあのシナリオは曹操ファンには怒るかも。
そのフォローか、映画でも曹操の部下が「あの女ごときのために大軍を動かしたのか」と言ってましたし。あえて、彼も一人の人間だと伝えたかったのかもしれませんけどね。あと、小喬にそれほどの価値があったんだよってことか。

周瑜は原典だと孔明の引き立て役なんですよね。孔明の才能に嫉妬してむきになるという。
実際は優秀な人だったらしいですが。映画では軍師の双璧として戦友になってました。三国志は劉備側が正義みたいに描かれることが多いので、周瑜にスポットを当てたのは面白かったです。

第9地区のセリフ気になります。放送見逃してました^^;
原作ものでもよくありますよね。なぜこのセリフを出さない!という。あらすじ見たら面白そう。
機会があったら見てみます!
アバター
2012/10/17 07:52
軸さん、コメント感謝です。

印象に残るセリフは、一度見たきりでも自然と覚えてます。
このブログに書いたセリフも、清廉高潔な趙雲の人柄にしては激しいというか、「殺す」っていう言い方が違和感あったので、すぐに違いがわかったんですよ^^;

歴史ものじゃなくて、普通にドラマとして見られるように工夫してある作品なので、冒頭の劉備たちの戦いで飽きなければ最後まで見られます(笑)
蒼雪はpartⅠの、その最初の戦闘シーンが好きです。趙雲大活躍の見せ場で、原作でも一番好きなところなので、よく作られているなと思いました^^
アバター
2012/10/16 21:29
…ああ~、レッドクリフ、まだ見れてな~い。 (T ▽ T;)シクシク…
地上波放送された時に見ようとしたら、旦那に邪魔されたんですよぅ!
歴史に興味ないとか言って、変なバラエティ番組にチャンネル替えやがったのです。
私は興味あるんだよぅ!^^;
私は陳舜臣センセーの、「秘本 三国志」でしか三国志は読んだことないんですけど。
この本は、史実を大まかに書かいた三国志のダイジェスト版って感じでした。
でも、赤壁の戦い辺りは全く覚えてないで~す。
周瑜って何した人だっけって感じで…。だめだ、やっぱり思い出せない…。^^;

あ、でもなんか、劇場に見に行ったブロ友さんが、曹操がただのエロ親父だったって感想を書いて
たんですよ。
それ読んで、見るの止めよっかな~って一瞬思ったんですけどね。www
すごい見たいんだけど、曹操がエロ親父なのはイヤ~!www
曹操って、ものの考え方が信長にそっくりで好きなんですよ。
どっちも魔王さま♪www

最近、字幕どころか、DVDと地上放送の吹き替えセリフが違うなんてこともありますよ。
第9地区で、すごく意味のあるセリフが地上波ではカットされてたのがショックでした。
これじゃ作り手の意図が伝わらないじゃん!^^;
いろんな層に気を使ってそうしてるのかもしれないけど、過保護すぎるのも問題ですねぇ。
でもクレーマーが多いから、仕方ないか…。^^;
アバター
2012/10/16 17:41
吹き替えの台詞暗記にびっくり(゚o゚;;
でも、納得~~~!!!

ふうこの旦那も、見たいといいつつ見てないなぁ。
オススメしとこっと^^



月別アーカイブ

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.