lynch.「SHADOWS」感想
- カテゴリ:音楽
- 2009/07/13 02:09:33
先月のVersaillesと摩天楼オペラに引き続き、
俺の中で待ち焦がれたリリースについての感想をば。
今回のアルバムは前作から2年ぶりという期間もあってか、
公式HPに特設サイトを設けてほぼ全曲視聴を用意し、メンバー自らが動画で作品にかけた想いを語り、友好バンド関係者からのコメントを掲載するという気合の入りようです。
この特設サイトでのメンバー自身からの解説を要約すると、
・今作は実力以上の仕上がりとなった、まさに改心の出来
・ドラム以外はセルフレコーディング
・ヴォーカルは「歌い手」としての役割に専念した
といったようなところでしょうか。
さて、これらを踏まえて実際のインプレッションですが、
まず今までのlynch.の音楽を期待すると拍子抜けしてしまいます。
これはメンバー自身も語っていることですが、バンドとしてのライブ感よりも楽曲そのものの完成度を重視した結果ということです。
売りでもあった、タイトにまとまりつつ畳み掛けるような激しいフレーズは全編を通してほとんどありません。
各々が淡々と役目をこなしているような曲が目立ちます。
特にヴォーカルに関しては実際にシャウトのオーバーダビングが意外なほど少なくなっています。
俺個人としても葉月のメロディーに絶妙に絡めるシャウトというのはもっと聞きたいと思っていた部分ですが、それは多くありません。
また、セルフレコーディングの結果がポジティブに出た曲とそうでない曲が存在してしまってもいます。
個々の音の空間が明確にズレてしまっている曲がありますね。
前向きな評価を言うなら、まず楽曲のクオリティは間違いなく高いものに仕上がっています。
あらかじめ入念なプリプロで作り上げた形を各々が突き詰めているという点では間違いなくそうでしょう。
反面、その枠に収まってしまっている印象は否めません。これは当然のこととも言えますが、スタジオでレコーディングしながら上乗せられていったような部分が無いということです。
これが荒削りなバンドの新作だったならば評価は全く違い、絶賛に値する作品だったと間違いなく言うことが出来ます。
しかしlynch.はこれまでも完成度の高い曲を作ってきたバンドであり、今回の試みは大きな意外性として受け取られています。
それ故の違和感が率直に絶賛できない理由にもなってしまっているのでしょうか。
聞き込めばやはりこれはlynch.の音楽で、
そして今までより作り込まれているということが分かります。
新しい可能性を提示してくれたという意味で、もちろん今後にも期待をしています。
技術★★★★★
個性★★☆☆☆
歌詞★★★☆☆
旋律★★★★☆
印象:「聞かせるlynch.」
でも逆に聞き込めるアルバムでもありますよ
今までずっと印象がギャーイだったんでww