ティータイム♪満月の夜の気まぐれな客人(後編)
- カテゴリ:自作小説
- 2012/11/03 18:11:07
「とりあえず、お茶にしましょうか。」
突然の客人に戸惑うメンバーを落ち着かせるために、賢がいつも通りお茶の提案をする。
「うん!僕、すーちゃんのお菓子食べたい!!」
「さっき、お月見の時に食ったばかりだろーが;;俺は茶だけくれ。」
「我もお茶~・・・」
「はいはい。えっと、流水さんは・・・」
何も言わない、流水の方を見つめ戸惑いながら聞くと、腰から下げていた瓢箪を外し、笑顔で軽くソレを揺らしながら
「俺にはこれがあるからな。いらねぇ。菓子だけ少し摘ませて貰うわ。」
と言う。
「そうですか。では、すぐに準備しますね!」
賢の声と共に、流水を除く全員が素早く定位置につく。
「あ、流水さんどこに座る?僕の隣来る?」
「ありがとな。でも、俺はここでいいさ。」
そう言うと、どっかりと床に胡座をかく。そして、懐から盃をだすと、瓢箪の蓋を開け、中から出る液体を流す。
「相変わらず飲んだくれですねぇ~・・・どうでもいいけど飲みすぎないでくださいよ~・・・・」
「いい度胸だな。ミズ、お前俺が酔った姿みたことあったか?ん?」
ニヤリと、不敵な笑みを浮かべると、液体もといお酒の入った盃を片手にもう片方の手で瑞の頬を引っ張る。
「いひゃいいひゃい・・・・!!」
「ハハハッ!お~、よく伸びる♪」
「ながえさん!いひゃいでふ!!やめへくらはい!!!」
痛そうに涙目で嫌がる瑞と笑顔で楽しそうに引っ張り続ける流水の姿に、年少組は引きつった笑顔を浮かべることしか出来なかった。
「もはや、キャラ崩壊してんな。瑞のヤツ。」
「頑張れ。瑞さん。」
そこに、やっとお茶の準備が終わった賢がやって来て、何とか騒動は収まった。
「はぁ~・・・ヒドイ目にあったよ・・・・」
「瑞さんドンマイ。」
「まぁ、今日はいっぱい食えよ!」
「お茶のおかわりもまだありますからね;;」
3人で必死に瑞を慰めつつ、困ったように、横目で酒を堪能している流水を見る。その、視線に気づいたのか、流水は悪びれる様子のない笑顔で
「ミズ、いいヤツに拾われたんだな・・・」
突然、そんなことを言った。
「なんです~?突然・・・」
「よく笑うようになったし、軽口もたたけるようになったしな。」
「あの頃は、お役目果たすのに必死だったし~・・・まともな話し相手もいなかったですから~・・・だからこそ今がより楽しく感じますねぇ~・・・ヒヒヒッ・・・」
例のごとく、不気味な笑い声をあげた瑞を他ののメンバーが呆れたように、でもどこかホッとしたように見つめる。
「そうか。そうだな。瑞・・・・良かったな。」
「え・・・・・・・・」
そこには、いつもの意地の悪そうな笑顔ではなく、とても優しい、愛おしいものを見るような笑顔を向ける流水がいた。月の光を背に受けて、それはとても美しく輝いていた。
「・・・・・・・・・・・・・・ハイ」
そのまま、ゆっくりと立ち上がり流れるような動きでくしゃりと、優しく瑞の頭を撫でた次の瞬間、両側から瑞の頬をおもいっきり引っ張った。
「っ!?!?!?・・・・・いひゃいいひゃいいひゃいっ!!!」
突然のことに驚きつつ、また頬(しかも両方)を引っ張られ悲鳴をあげる。
「おかげで、俺は大変になったけどな!お前のやってた浄化の作業を俺がやらなければならなくなったし、他の面子はあてにならねぇし!!」
「だ、だかあって、やふあひゃりは・・・・」
「フハハハハッ!いい声だなミズ。もっと鳴いてみるか?」
「だかあ~・・・あっ!いひゃいいひゃいいひゃい―――――――っ!!!」
今度は、プロレス技を掛けだした流水とそれに身悶える瑞の姿から、他のメンバーそっと目を逸し
「アイツの絞め技得意になった理由が今判明したな。」
「そうだね。とんでもない方法で習得してたんだね。」
「そして、アレがきっと流水さんなりの愛情表現だとういうことも。今凄いいい笑顔してますよ。彼。」
「なんつー愛情表現だよ。迷惑きわまりないな。」
「アレに耐えてきたおかげで、今の瑞さんがいるワケだ。」
「本当、いろんな意味で迷惑極まりないですね。」
そんなことを語り合っていた。
満月の夜、時々やってくる客人は気まぐれ。
少しばかり、歪んだ愛情を持ってやってくる。
それは、迷惑極まりないけれど、気まぐれにやってくる彼の最高の手土産。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハイ。無理やり締めました。後編。
結局、流れの正体明かさずじまいに;;
容姿と正体は、次の流水キャラ紹介で細かく書きますね。
ちなみに、流水で“ナガレ”と読みます。
多分、流水はもう当分出ないです;;
が、キャラ紹介は書きます!個人的に何か気に入ったので。