とある冬琉さんの幻想ー異伝ー「げんそう皇帝2」
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/11/10 23:13:15
どれくらい歩いただろうか。
すでに1時間くらい歩いたんじゃないかと思ったが、実際は15分かそこらかもしれない。1人じゃないとはいえ、ここはとても息苦しいんだ。それに彼女を無事に送り返すことが俺の使命となって、あまり頑丈といえない両肩に重くのしかかってきていた。
気がつくと、俺たちは坂の途中にある非常電話の前にいた。
何でこんなところに。そんな疑問すら浮かんではこなかった。ただ、これで管理人に連絡できるという希望だけが、俺の心を支配していた。
俺は何も言わず、照明が暗すぎて灰色にしか見えない受話器を外し、かろうじて読み取れる管理室の番号をプッシュする。歩きつかれて頭も筋肉痛になったかのようで、左手で彼女を手を握ったまま、受話器を右の耳に押し付けていた。
受話器からは無機質な呼び出し音が単調に流れてくる。彼女のほうを無表情で振り返っても彼女なにも言わなかった。ただ、俺の手を握る力はずっと強くなっていた。かすかな明かりの中で、彼女の瞳だけが揺れ動いていた。
しばらくの呼び出しのあと、プツッと音がして管理室と連絡がついたのが分かった。
「はい、SSビル管理室です。どうされましたか?」
俺は安堵して、握っていた彼女の手に力を込め、そして笑いかけた。たぶん見えなかっただろうが、受話器から流れてくる声が聞こえたのだろう、俺の手を握っていた彼女の手に力がこもったのが感じられた。
俺たちは管理人に状況を説明して、助けを求めた。
どこから連絡しているのやら、俺にはここがどこだか分からなかったので説明のしようもなかったのだが、管理人には分かったのだろう、やがて2人の年配の男が現れた。
「いやあ、申し訳ありません。防火装置の不具合で排煙機能が働いてしまいまして、一時的に通路が狭まってしまったんですよ・・・」
おそらく責任者だろうと思う男からそういう説明を受けて、俺たちは納得しがたいところを無理に納得するようにした。余計なところに気を回す余裕なんぞこれっぽっちも残っていなかったからだ。
防火装置はあと30分ほどしなければ解除されないという話だった。何でもコンピューター制御のため、防火装置の緊急解除に必要なパスワードを入力するのに手間がかかるのだそうだ。普通はありえない話だ。でもそれで納得してしまった。何度も言うが、疲れていたんだ。
彼らは俺たちを管理室へと案内してくれた。管理室は無機質な感じで、こざっぱりとして、不要なものは何も置いてなかったが、俺たちはそれでも妙に安心できてしまった。いままでいたところが異常すぎたからだろう。
ひとたび安心したら、俺は急に空腹になって腹の虫が飯を催促しだした。いや、思い出したというべきか。それが証拠に、彼女もやや控えめにではあったが、やはりクーッと腹が鳴るのを聞かせてくれた。俺たちはたいしたことでもないのに笑い出していた。
それから、俺たちが空腹であることを管理人に説明し、どこかで飯を食えないかたずねてみた。しかし彼は申し訳なさそうに、店はしまっている時間だと言った。時計を見ると、すでに午前3時を過ぎていた。いったい、どれだけ時間がかかったというのか・・。
「いやあ、私らのせいで申し訳なかったですな。ここにはろくなもんがないんですが、これでよければ食べて腹の足しにしてください」
もう1人の管理人が両手にカップ麺を持って俺たちに差し出していた。
俺たちにはもう、そのカップ麺だけでも十分だった。
彼女が何を言いたくて俺を訪ねてきたのか、結局は言い出さなかった。彼女も言わなかった。
すでにその答えは出ていたのだ。
俺たちは仲良く並んでラーメンをすすった。
ただひとつ気がかりなことがある。
徹夜の仕事はどうしたものか・・・。
まあ、何とかなるだろう。
それよりも大事なことが解決したのだから。
…と言うメールが、前回の日記のコメントとして届いたのですよ。
ダベリ仲間のOさんから(ーー
なんかいろんな意味でスケールアップしてる内容もさる事ながら、日記見てから2時間近く、書き終えたのが夜中の3時と言う話。
もう、ツッコミどころが多すぎて、逆にツッコミできないと言う状況に…w
とりあえず言えるのは、斜め上なもの書くと、更に斜め上になって、元より割かしまともにみえると言うことくらい?(ぁ
まぁ、冬琉さんの内だけにしとくの持ったいなかったので、当人に許可貰ってのアップです。
後、時々思うのですが、Oさんの文体、個人的に好きだったりします。
ぶっちゃけ僕が書くより良い記事になるんじゃね?的な事書かれるので、定期連載希望したいものです(ーー
ですねぇ(ーー