宇宙ゴミになったクズト 7
- カテゴリ:自作小説
- 2009/07/18 19:04:40
2030年の医療は進歩していた。
核磁気共鳴画像法・MRIも小型化され宇宙船ミルキーウエイの治療室も搭載されていた。
メディカル・オフィサー・ノウセ少尉は副船長チロウ中佐の体をベッドにベルトで固定し、頭部は特に専用の固定器具で動かないようにした。
ちょうどノウセ少尉がMRIのスイッチを入れようとした時、チロウ中佐が突然目を開けた。
その視線は遠くを見ているようで定まっていなかった。
「何をするんですか? ノウセ少尉」
「気が付かれましたか。これからチロウ中佐の頭を検査します。動かないでください」
「お前達は、私に害を与えようとしている。お前達は敵だ」
「チロウ中佐、ただの検査です。すぐ終わりますから」
「お前達は、敵だ。敵だ」
チロウ中佐は訳のわからない事をしゃべりなが体を動かし始めた。
チロウ中佐の体を固定しているベルトが肉に食い込む。
「ノキオ、チロウ中佐を抑えてくれ」
ノウセ少尉は、ノキオにそう頼むと麻酔の注射の用意をした。
「止めろ、私は副船長チロウ中佐だ。命令する。止めろ。すぐに止めろ」
ノウセ少尉は命令の言葉を聞き、注射の前に船長リサに報告することにした。
船内放送が緊迫したノウセ少尉の声で流れた。
「こちら、治療室のノウセ少尉。船長リサ大佐すぐに治療室に来てください。チロウ中佐が訳の解らない事を言って暴れています」
「どうしました? チロウ中佐の意識が戻ったのですね。すぐに行きます」
「できるだけ早くお願いします」
リサは疲れていた。
クズト少佐との最後の無線交信に失敗しクズトを見捨てて地球に帰還しなければならない。
その事だけでも心のダメージは大きく誰かに任務をまかせたかったのに、任務を任せたいその副船長がおかしくなっている。
リサ自体もおかしくなりかけているのを感じていた。
「どうしました。ノウセ少尉」
船長リサは治療室に着くとノウセ少尉に問いかけた
「チロウ中佐が意識を取り戻されましたが、意味不明の事を命令されます」
「頭をぶつけて、おかしくなってしまったのですか?」
「いえ、チロウ中佐にはどこにもそのような外傷はありません」
「では、ストレスによる精神疾患ですか?」
「まだ検査していないのでよくわかりません」
「では検査を命令します」
リサはノウセに命令をだした。
二人が会話している間、チロウ中佐の体内ではゾルビが活動しチロウ中佐の脳を支配し始めていた。
ゾルビは脳の神経細胞に添って移動しチロウ中佐の頭の中の記憶と思考パターンをスキャンし自分の物にしていた。
ゾルビは液体維持のために意志をもって行動する。
「待ちなさい、リサ大佐。そして聞きなさい」
突然、おとなしくなっていたチロウ中佐が話し始めた
「この男、チロウ中佐はお前に感情をいだいていた」
治療室の三人は顔を見合わせた。
チロウ中佐が自分の事を話すのに第三者の言葉をつかっているのだ。
リサをはじめノウセ、ノキオは完全にチロウ中佐がおかしくなったと思った。
誰も言葉がでてこなかった。
また、チロウ中佐が話し始めた。
「この男、チロウ中佐はリサ大佐がクズト少佐と船長室でSEXしているのを見ていたのだ。そして嫉妬からクズト少佐に殺意をいだきセイフティ・テザー(安全ロープ)に細工をしクズト少佐を宇宙ゴミにしてしまったのだ」
リサ大佐は気を失いかけた。
殺人未遂の犯人が自分で自分の罪を話している。
こんな世界があるのだろうか。
リサは疲れて夢を見ているのだと思った。
つづく

























地球に行く事が種族保存につながる道
と、判断させた事を覚えています。
人間もゾルビと同じです。
自分だけ生きる残るため策略を考えています。
本当にいや恐ろしい! です。
ゾルビは自分が生き残ることを考える純粋生物です。
生き残る事を考えて行動しています。
クルーはゾルビの特性を知らないのですね、いや恐ろしい!
気になりますねぇ~ ^^
続きを楽しみにしてます。
無線が回復すると助かると思います。
楽しみにお待ちください。
さすがゴキブンちゃんです
ゾルビは 正義の味方なのでしょうか・・
それならひょっとしてクズトが助かる道があるのかも
色々と思い巡らしてみましたが・・
楽しみに次回を待ってみます^^v