Nicotto Town


黒曜のアジト


【白蘭誕生日(仮)企画】Millefiore

 ボストンの気温は低い。3月になっても零下になることもしばしばで、肌寒さが身に染みると、故郷の暖かさを恋しく思う。故郷を飛び出てボストン市内の大学に進学して約半年、ずいぶんと大学の生活にも慣れた。今日も味気の無い講義を終えて、学生寮への芝生の道を急いていた。その時だ。

「白蘭さーん
「正チャン?」

 背後から、白蘭を呼ぶ声がする。その、ほどよい低音の持ち主は、白蘭に走って追いつくと、てに持っていた小箱を差し出した。

「お誕生日おめでとうございます。…白蘭サン。」

 差し出された黒い小箱を、白蘭は一瞬、どうしていいか分からなかった。

 彼のことはよく知っている。同じ寮で隣の部屋の入江正一だ。彼とはよく部屋を行き来し、オリジナルにプログラムしたコンピュータゲームを遊ぶ仲だ。そんな彼が言った言葉「誕生日おめでとう」それに、少しくすぐったい違和感を感じたからだ。

色々意味で 凡人離れした白蘭には、誕生日を祝ってくれるような碌な友達ができたことは少ない。

しかし、ここでプレゼントを無下に断る理由もなく、白蘭は小箱をそっと開いた。

「これは、ペンダント…?」

「はい。僕が男の人にアクセサリなんて、ちょっと変かな…とも思ったんですけど、白蘭さんに似合うと思ったので。」
 納まっていたペンダントは、黒い紐に硝子のペンダントトップが繋がれていた。ペンダントトップは青い硝子細工に、白や黒の小花が散らされたような模様で、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「…それ、ミルフィオーレグラスっていうんですよ。」
「ミルフィオーレ…?」
 ミルフィオーレだけだとミルフィ(千の)フィオーレ(花)で直訳すると、千の花という意味になる。それが分かった白蘭だったが、その言葉が硝子細工の名前だというのは知らない白蘭であった。
「ほら、長い一本の棒みたいに硝子を作って、それを切るみたいにすると、切り口がちゃんと模様になってるそうですよ。」
 正一は、本を読んで得た知識――ミルフィオーレの製造工程を披露する。彼は、ミルフィオーレの作り方を「キンタローアメ」のようだと語った。白蘭にはそれが何かは分からないけど、彼の出身である日本に興味が湧いた瞬間だった。
「…これ、気に入ったよ。ありがと、正チャン。」
 何処か狐を思わせる、細くも鋭い目を笑顔でゆがめた白蘭は、ペンダントをその場で付けて見せた。
 初めて付けたペンダントはとても白蘭の胸元にしっくりきた。
 艶のあるペンダントトップが、太陽のひかりを反射して、ぴかぴかと輝いているように見えた。


 それから数年。白蘭と正一はマフィア同士の上司と部下として一緒に働いていた。ファミリーを護り、目的を果たすためにあくせくと動き回る正一を白蘭は面白げに見つめていた。
「…ところで白蘭さん…前から気になっていたんですけど…」
 忙しいにもかかわらず、ぽつりと言葉を発した正一は続ける。
「…どうしてファミリーの名前をミルフィオーレにしたんですか?」
 …と。それを聞いた白蘭は、つまらなそうに溜息をつくと、普段から付けているペンダントのトップを弄んで言った。

「覚えてないなら…いいよ。知らなくて」
 疑問を顔に浮かべる正一を他所に、白蘭は再び机上の書類に目を落とした。




はい。本日は白蘭の誕生日ということで、こんな小説を書かせていただきました。ファミリー名の由来を捏造(笑)

あ、誕生日といっても、白蘭の正確な誕生日は一切公開されていないので、予想です予想。

ちなみに、白蘭と正一の間に恋愛感情は多分無いです。

どうして3月14日が白蘭の誕生日だとおもったのかというと、

ホワイトデー=白=白蘭
ホワイトデー=マシュマロが沢山出回る=白蘭

白蘭(白木蓮)の咲く時期=3月の中頃=3月14日

…っていう理論です。
私事ですが、学校の近くに白蘭がとっても綺麗に咲いていてちょっと感動してしまいました。

3月14日が白蘭の誕生日ってアイデアも、実は私が考えたものではなく、2chの「白蘭ファンスレ」で、考え出されたもののようです。まだ続いているのかは存じませんが、変わったスレだったなぁ…
どSの集いみたいになってたけど。

…まあいいや。白蘭さん、お誕生日おめでとう!!

#日記広場:日記





Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.