Nicotto Town


黒曜のアジト


【白骸】マグノリア

会話文多めの白骸小話。


ミルフィオーレのアジト内にその花が咲いたのは、3月も中旬になった頃だった。
 大きな花びらは、咲いた瞬間から強い風ではらはらと落ち始め、木の根本は真っ白に染まる。とうに解けた雪がまた戻ってきたようで、季節を感じる瞬間であった。
「…マグノリア…」
 この花は日本に骸が日本に来てからよく見かけるようになった花だ。民家に、公園に。この時期になると日本では、至る所にこの、白く可憐な花が咲いている。花など縁のない生活を、かつてしていた骸だが、実は花が決して嫌いではない。その証拠に、3月に入ってから、白蘭の所を訪れるたびに、こうして庭のマグノリアを眺める。最近までは蕾だったものが、ふわりと花開いているのを、穏やかな気持ちで見守っていた。
「…可愛らしいものですね…」
「そりゃーどーも。」
「…白蘭…?」
 白蘭が2メートルほど後ろに立って、声を掛けたとき、骸はやっと白蘭の存在に気付いた。これは気配に聡い骸にしては珍しいことで、音もなく近づく白蘭だけが成しうることだった。
「さすがですね。全く気づきませんでした。」
「まーね。…帰ったと思ってたのに、ここでお花見してたんだ?」
「ええ。」
 生返事をするも、骸の視線は、目の前の樹木に釘付けである。隣に自分が居るというのに、白蘭はすこし、面白くない。
「ねぇ…マグノリアはさ、チャイニーズでなんていうか知ってる?」
「…いいえ。」
 骸は、頭を振った。
「白蘭…っていうんだよ。僕と同じ。ジャッポーネでも使うことがある名前なんだってさ。」
「そうなんですか。…君こそ、この花の花言葉を知っていますか?」
「…なんて?」
「自然への…愛と…」
 穢れない真っ白の花びらにはよく似合う優美な言葉だと、気に入った骸は、その言葉をたまたま覚えていたのだった。
「ふーん。僕にぴったりじゃない♪」
 白蘭はにっこりと狐を思わせる細いめに笑みを浮かべた。
「…どこが。」
「えー…骸君は好き?…白蘭が。」
「そうですねぇ…マグノリアは好きですよ。」
「いぢわるだなー僕は骸クンへの愛であふれてるのにーそうだ。マグノリアの花言葉、”自然への愛”じゃなくて、”骸クンへの愛”にすれば良いんじゃないかな?」
「………馬鹿ですか。君は。」
 照れ隠しか否か骸は、白蘭をすこし小突く。
 マグノリアは満開になると、すぐに風に飛ばされて散ってしまう。綺麗な花びらを見ることが出来る期間は意外と少ないのである。
「また、来年も、…見られますかね?…一緒に。」
「当たり前でしょ?」
 当然だという風にそう言ってのける白蘭は、そっと骸の頭に自分の手を置いた。
「重いです。どけなさい。」
「別にいいじゃない。」

 吹き付ける風は、冷たさより僅かな暖かさが混ざるようになった。
 これはきっと春一番。暖かいながらも強く、二人の頬を撫でていった。






マグノリア(白蘭)の咲く時期を狙って、投稿しようとか思っていたのに、今日外に出たらほとんど散っていたという狂気。今年は早かった…

マグノリアの季節が終わると、桜の季節です。
学校の校庭の桜は少しづつ、咲き始めていました。

#日記広場:日記

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2013/03/19 20:05
甘いねぇ、ほのぼのだねぇ(*´∀`*)
∑d(゚д゚*)GJ

散ってたのかw
ざんねんやねw




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