Nicotto Town


こはるびより ⁰㉦⁰๑ 


小説「手紙」東野圭吾

原作を読んでいたので、
映画公開されたとき、まっさきに観に行きました。
主人公や周りの人物の背景などは微妙に変えられて
いましたが、とてもいい映画でした。
ただ、文字でしか伝わらない詳細な部分はぜひ活字で
読んでいただきたい。逆に映像でしか表せない部分も
あるんですけどねw


「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物

でしかない。人間というのは、そういうものとも

付き合っていかなきゃならない生き物なんだ」


兄が強盗殺人を犯して服役している主人公の直貴の

この最後の台詞。あたしはこの小説の意図するところは

直貴にこの台詞を言わせるためにあったんだろうと思う。


主人公の、長い長い葛藤と苦悩に満ちた人生。

罪を犯すということ。罪を償うということ。

加害者と被害者の家族、その逃れられない苦悩。

過ちは悔いても悔いてもどんなに深く謝罪しても

拭えない、消えないってこと。



そして・・・・


赦すということ。








たくさんの手紙を弟に書き綴った兄剛志が、最後に書いた手紙。

それは弟に向けられたものではなかったけれど、

直貴が剛志に最後に送った手紙と、そして兄が書いた最後の手紙。

その中で分かってしまった、決定的にもう取り返す術のない

尊い時間たちが胸を締め付ける切ない作品でした。

愛すべき家族を選び取ることができない、

捨てることしかできない、

そういうことが起こり得るんだってこと。

罪を犯すというのはそういうことなんだってこと。

本当の意味で償うっていうのが、どんなものかってこと。

正々堂々と生きて行きながら、差別を受けることを

受け入れないといけないっていう過酷な現実。

逃げずに正直に生きて行くことが正しいとは限らないってこと。

だけど、忘れられない、忘れてはいけない人たちのこと。





読み終えた時、涙が止まりませんでした。

あたしたちはこの法治国家で生きていて、普段は犯罪などとは

無関係に生活しているけど、犯罪を犯すということが

どれだけ周りの人間を傷付けてしまうものなのかを

改めて思い知らされたような気がします。


#日記広場:小説/詩

アバター
2008/10/05 14:03
私も「手紙」読みました~
凄く考えさせられる内容でしたね
この本を多くの方が読めば
犯罪も少しは減るのかなと期待しちゃいます
アバター
2008/10/05 09:35
売れている作家の本は読まない主義なのですが、割と読む本が似ている友人が、東野圭吾はいい。全部読むべきだ(って、どれだけ)って言い張っております。
が、本屋で見ると、あまりに多すぎるのと、新刊の出るペースが早いので、手が出ないでおります。
でも、この本、読んでみようかなー。




Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.