Nicotto Town



蘇ったブーツ


以前縁石を蹴飛ばして大事なブーツを壊したお話の後日談です。

http://www.nicotto.jp/blog/detailuser_id=553634&aid=45530781

頼りとした三越でも断られ、もはや絶望かと思われた矢先、母親のお友達の輪で、Hマークのブーツを直して貰った人からの情報で、そこにお願いしたところ、「何とかしてみましょう。」との事だった。

それが条件付きではあるが「出来ました。」との連絡があったので、早速東京へ、丁度満開の桜と合わせていいタイミングだし、たまには両親の元へも帰らないとと思い、お昼には東京へ到着。

その前に上野駅で下車。コインロッカーに荷物を預け、お蕎麦屋さんで腹ごしらえをすると、目的はお花見なので上野公園へ。

丁度満開で見ごろのハズが、思ったより綺麗じゃないョ。人だけは多い。昼から出来上がっている人々「花よりダンゴ」とは良くぞ言ったもんだヮ。

満開で最高の桜のハズなんだけど、イマイチなのは青い空があってピンクの桜が映えるのだし、お日様に照らされると一層綺麗になる筈なのが、あいにくの曇天では。

シカモ雨がポツリと。これで廻りが傘をさせばお花見は台無しとあいなるわけで、コリャ長居は無用。雨が本降りにならない事を祈って明日こそはの期待で両親の待つ家に。

久々の東京の家の玄関には母親が出迎えてくれたのは良いが、肝心の出迎えが無いではないか。

居間に入るとそいつはソファに寝そべったまま顔だけ起こし「ナンダお前か。」と言ってるような顔をでこちらを見たかと思ったら、またもや顔を伏せて寝る体制に。

何と言うカワイゲのないヤツなんだ。飼い猫のクセに人に愛想を振りまくことなど全くしない我が家の『クレオパトラ』鼻がぺしゃんこの癖に高貴な名前をつけられて正に女王気取なのかい。

それでも、いつの間にか私の座っているソファーにやって来て、膝の上でゴロゴロ言いながら寝つかれると、可愛いもんだ。そう思わせるテクは人間を遥かに超えている。

その後、帰って来た父親と夕食。家族との食事はなかなか良いもんだ。飲んだワインも良かったし。

さて、翌日は例のブーツの件で母親と浅草まで出かけ、ついでに隅田公園のお花見となったが、こちらも本日満開とのことで、シカモ青空が出ていて、昨日の上野公園よりも綺麗な桜が見られて満足。

それにしてもこれだけ多くの人は何処から来ているんだろう。休日でもないのに、暇な人がこれだけ多いのか。まあ、はたから見れば私達もその仲間なんだけどネ。

さて、昼食は何処も満員だ。人出が多ければ当然なことだけど、並ぶのがイヤな母親としては奥の手があって、「れい、お昼はすき焼きだよ。」と来た。母親と一緒だと何故かすき焼きが多い。

緊急予約の老舗すき焼き店で昼食、ノンアルビールは味気ないが、お肉はサスガ最高ナノダ。

ここからがタイトルのお話です(どうでも良い話が長かった)。

さて、浅草まで来たのはここに日本では最高の靴を作るお店があって、そこが経営している学校から本物の靴を作る職人が生まれている。

そこで修行中の職人さんで、最高の靴を作りたくてこの道に入ったと言う若い女性が今回私のブーツを直してくれた人だ。

彼女に会って、再会したブーツを見て驚いた。

直したと言うより、新品になっている。靴底は真新しい皮でまだ履かれてないブーツがそこにあった。

修理と言うより、一旦バラバラにしてもう一度作りなおしたと言うことだ。バランスをとるため壊れていない片方もバラして組み直したとの事だった。

問題の破れたところは、別の皮を探してみたけど柔らかくて丈夫な皮で黒い色が無かったので、探し当てた皮を黒く染めて使用したとの事だった。

条件付きと言われたののその1は、そのため色落ちするか、その部分の色が経時的に他と色が違ってくるかもしれない。

もうひとつの問題はバラして最後に底を縫いつける時本来のサイズと違ってくる可能性があるので、履いた時に元の靴と違和感が生じるかもしれない。

条件付きのその2は元の履き心地と違う可能性で、微調整は出来るとの事だったが。

で、履いてみた結果、確かに履き心地は違うような気もするが、新品の時はこんな感じだったような。

なんにしても「問題ありません。ピッタリです。」との私の言葉に、安堵したように、「ああ良かった。実は…。」それからの彼女の話は、片方ばらしてみたものの、もう一度組み立てれるかどうかは55分だった事。それで色々研究して、自分のコンテスト用の作品の制作もあり、徹夜になった事など。

そして、私のラスティ(木で作った足型)が必要だった(そんなの作った事ないです)が、色々なとこらからもう片方の靴に合うラスティを探し当てた事等。

もう片方もバラして、左右同じ風合いにするため、お話を聞いただけで気の遠くなる作業であった事が良く分かったから、私はとんでもない事をお願いしたんだ。

たとえメーカーが健在であったにしてもここまではやってくれなかったと思う。これなら初めから作った方が早いに違いない。

「感動する時、体が震える。」とは、父からもM先生からも効いた事があるが、私はその初めての体験をしたかも知れない。

お礼の言葉も何て言ったか覚えてない。シカモ「代金は入りません。」と言われた時はショックめいたものを感じた。

いや、ショックだったのは母親の方で(多分→)「そうれ見たことか、アンタがワガママ言うから高くついたじゃナイノ。」で、何十万円かお支払いして「れいちゃん、良かったね。」と言うようなお金の使い方をこよなく好む性格であるから。

その、高揚感の出番が無くなってしまったので、どうしていいか分からない。

うろたえながら「いや、それではあまりにも。」トカナントカ、どうしても幾らかでも支払わないとと食い下がったが、「ママ、かえって失礼だよ。」の一声で我に帰り、平身低頭しながら色々お礼の言葉を述べていたが、イザトなるといろんな言葉が湯水のように出て来る。年季が入ると技も多種になるんだ。

彼女が言うには、以前母親の友達のHマークの靴をリペアした時、一流のものは既製品でも手を抜いて無い作り込みである事を知って、今回はそれを再認識すると共に、「ダメ元ですから。」と預かった私のブーツは既製品でありながら底の部分は全て手縫いのパーフェクトだったそうだ。

彼女の求めていた見本が目の前にある事に「何としてでも」完成させたいとの思いで懸命だったそうな。「おかげで良い勉強させて頂きました。」と、そんな訳で代金を受け取るわけにはいかないとの事でした。

彼女は良い職人になれる。いや、もうなっている。こういう人は今の日本にとって大事な存在なんだ。周りで支えてあげないと。

で、彼女が職人としてお店に出る事になったら、是非とも彼女の作った靴が欲しい。母親もそんな思いで尋ねると、実は、ここのボス・Y氏のお店で扱っている靴の中で幾つかのデザインの靴は任される予定との事。

その際は是非お願いしたいとのことで、お別れをしたけど、靴の修理がこんなスゴイ事になるとは思いもしなかった。

わが手に戻ったブーツは、お気に入りから宝物になってしまった。

お気に入りだった前の愛車を「10年は乗るんだ。」とほざいて、それから2年も経たない7年で捨てた私としても、この靴だけは何度リペアしてでも一生履き続けると誓うのダ。

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2013/04/07 21:12
あいんさん
ブーツに限らず、職人の作る靴は繊細です。
それを味わえるのは少数でしかないのが残念ですが。
本物はもっと認められ広まっても良いと思います。
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2013/04/07 19:20
こん。。。

ブーツって、結構繊細なんですねぇ。。。

職人気質って、憧れますねぇ。。。

あいんさん
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2013/04/02 23:19
ぶーしんさん
直ったのは奇跡としか言いようがありません。
1から作るより面倒な事をしてまで完成したものです。
心のこもった物ですから
どんな事があっても持ち続けます。

クレオは所詮あんなもんですよ。
地球はまだまだ安泰だと解釈することで・・・。
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2013/04/01 23:43
何はともあれ

大切なものが

直ってよかったよかった♪

あと…

ネコの世界征服の話を

思い出して

何だか笑ったよ^^
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2013/03/31 20:16
銀嶺さん
その通りです。
こういう人たちが集まって技術(芸術)大国を作り上げていく風土が大事だと思います。
お話を聞いて感動しました。

でも、靴に関しては
こういう職人さん日本では増えているんです。
生産数と価格で誰でも手にする事が出来ないのが現実ですが。
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2013/03/30 00:21
「おかげで良い勉強させて頂きました。」←この部分は本当に感銘しました <(_ _)>

いや、なんて言うか・・・、頭が上がりません  _| ̄|●)))ガクッ

日本はどうしてこういう職人さんを支援しないんだろうと思います
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2013/03/29 23:42
ビストさん
ビフォアーの写真は撮ってませんでした。
撮っておけば良かったですネ。

父にも30年以上前からの靴がありますよ。
天皇陛下の靴は何度も底をとりかえるそうです。
確かに履かない事も長持ちの秘訣ですネ。
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2013/03/29 23:12
ビフォー・アフターの写真を観てみたかったですね~。^^

私も20年間愛用している靴が一足だけあります。
(年に数回しか履かないので長持ちなのだ)
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2013/03/29 22:52
Ханиさん
ブランド・流行には関係なく
本物に出会う、本物とは何かが分る。
宝物って、物体そのものではなく、思いのつまった物。
それに何時でも触れる事が出来る。

幸せな事だと思います。
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2013/03/29 22:44
優さん
こんなラッキーな事って人生で何度あるか分りません。
母親の人脈も見直しました。
にしても
優さんは
食べ物の方に興味がおありのようで、
食べ物の話題は沢山ありますから
乞うご期待です。
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2013/03/29 22:23
モノを愛する人の粋な心を見せていただけて
何だか心がほっかほかって感じです^^

「宝物」なんて中々手に入るものではないと思います

それにめぐり合えるって本当に幸福なことですね
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2013/03/29 21:50
良い職人さんのお店が見つかって良かったですね。

それも新品に成って戻って来て、尚更良かったと思います。

今回のブーツは、壊れても元に戻らない事が多いとか・・・。でも、それが条件付きながらでも、元に戻るとは凄い事ですね。

今回のブーツの一件は、宝物に成ったお話と言う事ですかね。

それにしてもれいさんは、色んな所で美味いものを食べてきますね。感心致します。



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