Nicotto Town


黒曜のアジト


【高緑】お揃いオレンジ【黒バス】


「嫌なのだよ。何故そんなものを」
「いいじゃん。やってみちゃわない?」
 部活が少し早く終わった日のことだった。高尾の部屋では、「いやだ」「やろう」の押し問答が続いていた。言い争いの根源は、高尾が手に持った小瓶、いわゆるマニキュアである。鮮やかなオレンジ色のジェルネイルは、高尾がこの日のために、妹に買ってきてもらった物だ。
「ほらーマイケル・ジョーダンもやってたじゃん。爪が割れにくくなるんだってさ。」
「……それは本当か?」
 緑間が少し間をおいて訪ねる。それはすこし心が動いた証拠で、高尾はしめたものだと笑みを溢す。昔から、ギターや球技をたしなむ人は、男女関係なく保護用にマニキュアを塗る人は珍しくない。そして緑間は、異常なほど神経質に爪の維持にこだわっているのである。
「本当だって!バスケの神様も塗ってたんだから、オレらもやっちゃお?」
「……。」
「オレ、やってあげるから。」
 緑間が黙り込んだ。こう言うときに限らずいつも口が上手いのは高尾のほうだ。沈黙を肯定と受け取った高尾は、にいと笑って、マニキュア付属の小さな刷毛を手に持った。そして緑間の白く大きな手をそっと持ち上げると、端から丁寧に塗り上げていく。
 爪に冷たい液体が触れる感触や、時折かかる高尾の吐息の感覚に耐えられず、緑間はすっと視線を逸らして窓を見た。
 いつの間にか沈み掛けた夕日が、見慣れた町並みを染め上げていた。それも、今、緑間の左手の爪に塗られている鮮やかなオレンジ色に……
「……よしっ、出来た。」
 緑間の全ての指にマニキュアを施した高尾は、自分の爪にもせっせとマニキュアを塗り始める。気がつくと、緑間の指の爪は、全て一寸の塗り残しやはみ出しなく色づけられていた。それを見た緑間は、自分の爪、窓の外の夕日、それから、猫背で座布団に座って作業に熱中する高尾を順に見て、ぽつりと呟く。

「お揃いなのだよ。」
「…?真ちゃーん?…もしかしてオレとお揃い嬉しかったりする?」
「……そんなわけないのだよ。調子に乗るな。」
「真ちゃんってばつれなーい」
 
 二人が校則違反で学校の教師に指導されるのはまた、別の話……


突発小説。
今日はオレンジデーでしたね。

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2013/04/14 21:14
はい、出ました、校則違反w
高緑じゃなくて普通の2人の小話って言ってもあんま文句言われなさそう。
接吻もないしね。




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