Nicotto Town


こはるびより ⁰㉦⁰๑ 


「死とのすりあわせ」

人生というものは、死に身を摺り寄せないと

そのほんとうの力も人間の生のねばり強さも

示すことができないという仕組みになっている。

ちょうど、ダイヤモンドのかたさをためすには

合成された硬いルビーかサファイヤとすりあわさ

なければ、ダイヤモンドであると証明されないように。


生のかたさをためすには、死のかたさにぶつからなければ

証明されないのかもしれない。

死によって、たちまち傷ついて割れてしまうような生は

ただのガラスにすぎないのかもしれない。


ところがわれわれは実に曖昧模糊たる生の時代に住んでいる。

われわれは自動車事故以外にはめったに死ぬことがなく

薬は完備し、かつての病弱な青年を脅かした肺結核と

健康な青年を脅かした兵役とからは完全に免れている。

そして死の危険のないところで、いかにして自分の生を

証明するかという行為は一方では狂おしいようなセックス

の探究となり、一方ではただ暴力のための政治行為に

なってゆくのもやむを得ない。


そしてそこでは芸術さえほとんど意味を持たないほどの

焦燥感が生まれてくる。なぜなら、芸術とはやはり炉辺で

楽しむものだからである。



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三島由紀夫の決起、割腹に至るまでの思想の道程。

白石一文「僕のなかの壊れていない部分」より抜粋。

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自分の命をかけて、何かを証明しようとした三島

その深淵を理解することは難しいけれど

確かにあたしたちは何かを感じることはできる。



#日記広場:小説/詩

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2008/10/05 18:57
これまた。。。。。。




重っw

でも さすが文学少女。




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