Nicotto Town


黒曜のアジト


【黄瀬誕生日祭】弟


黄瀬姉(次女)視点!!

6月18日の夕方、家のキッチンでは甘い香りが漂っていた。手作りのデコレーションケーキの土台部分はもう焼き上がり、表面に真っ白な生クリームを塗りたくっている状態だ。今日は他でもない、ふたつ下の可愛い弟の誕生日だ。家庭部所属、趣味はお菓子作りの私は、家族の誕生日にはいつもこうしてケーキを作っている。
 製菓用のパレットナイフが、模様を描くように白い表面を滑る。ここまできたら、あとは飾り付けをするのみだ。
「よくそんな細かいことやるわよねー…私は食べる専門。」
 テレビの前で化粧を落としていた上の姉が、機嫌よさげにそう言った。食べ物全般よく食べる上の姉だが、自分で作ろうとは全くしない。

ただ、料理番組等でプロのレシピと腕前を見れば、一通り同じ物が作れてしまうのが不思議だ。妙に器用で要領がいい点では、姉と弟はよく似ていると思う。ただ、少なくとも姉は、よっぽど必要が無い限り自分から面倒なことをやったりはしない。お菓子作り、楽しいのにな。
「涼太、今頃部活してるのかな?」
 本日の主役である弟は、今のところ帰ってきていない。本人にとっては特別な記念日でも、当然世間一般は普通に平日だ。毎日、遅くまで部活に励んでいる弟が心配でないと言えば嘘になる。そもそも、あの子は誕生日、クリスマス、バレンタインデーと言ったイベントを極端に嫌う。その理由は、その日にミーハーな女子から押しつけられる大量のプレゼント類にある。きゃあきゃあと甲高い女性の声や、靴箱や机からあふれるほどの贈り物は、度が過ぎれば本人の負担にしかならない。本人が中学生の頃、ぐったりとした表情で帰ってきていたことは記憶に新しい。また、そんなことになってないといいけど……

「ただいまッス」
「…お邪魔します」
 そんなことを考えていたとき、玄関から二人分の声がした。一人は聞き慣れた弟の声。…それともう一人、高校生男子としては決して高く

ない落ち着いたテノールが聞こえる。続いて、二人が階段を上るとてんとてんという足音が、だんだんと近づく。
「…おかえりなさい。」
「おかえりー」
 私と、それに続いて姉。
 リビングに入ってきた弟と一緒に居たのは、日本人らしい黒髪で、弟より一段低い身長の青年だった。決して華奢ではなく手腕は鍛えられているが、青年と言うにはすこし、顔に幼さが抜けない。
「姉ちゃん、部活のセンパイッス。笠松幸男先輩。」
 カサマツ…そう呼ばれた先輩の様子を確認して、弟はふわりと表情をゆるめた。弟のこんな表情は、正直貴重だ。
「弟の誕生日会なんだけど、出来ればご飯食べてってよ。涼太の好物のオニオングラタンスープも、もう焼くだけになってるんだ。」
 そう声をかけると、カサマツさんはふっと目を逸らしながら、答える。
「ありがとう…ござい…ます。」
 整った顔立ちは、いわゆるイケメンではなくとも女性受けしそうである。しかし、あきらかに女性慣れしていないたどたどしさが、彼には

あった。


 レンジのベルが、グラタンスープの焼き上がりを告げた。とりだすと、表面のチーズがふつふつと煮えて、こんがりと焦げ目が付いていた


6月といえど、天気が良いと暑さは真夏と変わらない。そんな中でも、このオニオングラタンスープは格別だ。小さな頃に母さんが作って以

来、涼太の誕生日には毎年登場している。テープルに並んだ料理の類に、涼太が目を輝かせる。弟だって食べ盛りの高校生なのだ。
 主役より先に、料理にがっついている上の姉をおいて、私はカサマツさんと弟のようすを

伺う。
「それにしても良かった。涼太、一人都外の高校に決めたから。良い先輩がいるみたいで。」
 涼太とカサマツさんの仲の良さは、普段の涼太のおしゃべりやいまの態度から見て取れる。何をしても面白くなさそうな態度を取る涼太が、バスケやチームメイトの話をするときの表情だけはいつも輝いていた。だからこそ、中学の仲間と離ればなれになったときは心配した。しかし、その心配も杞憂だったようだ。
 自分の分のグラタンスープをふうふうと冷ましていたカサマツさんが、ぴくりと反応して照れた表情をした。
「弟をよろしくね。」
「あっ…ああ。ガンガンシゴくからな。黄瀬!」
「そんな!あんまりッス!!」
 二人のやりとりを見て、つい「クスクス」と笑い声が漏れる。

 お誕生日おめでとう。涼太。
 弟の誕生日は、例年よりほんの少しにぎやかに過ぎていった。

#日記広場:日記

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2013/06/18 21:02
黄瀬えぇぇ‼おめでとぉう(^▽^*)

キセキでいちばん最初に書いたのが黄瀬で、
友達の夢の中で、あたしとカップルになったのが黄瀬っていう・・・

何気に親近感がある黄瀬ww
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2013/06/18 19:09
今日は黄瀬君の誕生日!
なんか本人いたら祝いたいよぉ!
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2013/06/18 19:06
そりゃなw
二兎を追うは一兎も得ず…的なコトワザもあるからな。
一個でもいけたら上出来!(何が言いたいんかわからんようになってきた。)
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2013/06/18 18:58
おしかったな…
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2013/06/18 18:56
ええ話や(涙(((




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