Nicotto Town



久しぶりに小説でも



ある夜もふけた晩、神去家の当主が訪ねてきた。
背には影のような男を従えて、手には酒瓶を携えて。

もともといくら神持四家同士だからといって念に一度の大祭の日にしか会うこともなく
とりたてて仲がいいわけでもなかったから、神去の突然の来訪に私は大層驚いた。

大体、神去家の党首はめったに人前に姿を現すことはないのだ。
それに...あまり良い噂を聞かぬ。
なんでも犬神筋の一族だとか、当主は人ではなくなにか妖の類が化けているのだとか。
もちろんそのような妄言は露ほども信じては居ないのだが、やはり古からの祭祀を一手に引き受け、謎の多い神去家は神持四家の中でも特異な存在であった
加えて私はどうもこの人物の持つ独特な雰囲気が好きになれない。
嫌い、というよりもむしろ苦手だった。

_____少し、そんな噂が立つのもわかる気がした

とにかくどろりとした水のような雰囲気を纏う男なのだ。

その容姿も不気味さを際立たせる。
雪かなにかかと錯覚させるような真っ白な長い髪、白い着物に白い羽織、白い肌。
すべてが白でできた男だ。いや、男ではないのかも知れぬ。
それすらもわからないのだ。
声は決して女のそれのように高くはない。むしろ落ち着いた声音だ。
背は低くはないが体格は男と考えるには華奢すぎる。
手もすらりと伸びた長い指をしていて女のものによく似ていた。
一番、性別を感じさせないのはその顔だ。
中性的な顔をしているわけではない。
顔が、見えないのだ。
紙垂____っといっただろうか。
祭祀に良く使われる白く清められた紙である。
それがちょうど顔を隠すように額から垂らしてあるのだ。
顔が見えないということは、見るものの不安を掻き立てる。
何の理由があるかは知らないが、私は一度もこの者の顔を見たことがない。
見たことがある、という者すら聞いたことがない。
つまるところ神去の当主の性別をはかる方法は服装を見るよりほかなく、ただ単にこの男が、男物の着物を着ているから男、と勝手に私が解釈しているだけだった。
そもそも前が見えているのか。

そう私が逡巡していた時だ。

「良いお酒が手に入ったのです。よかったら一緒にどうでしょう。」

顔の前に紙垂をたらし、一切表情をみせぬまま神去家の当主はわずかに首をかしげ、私に問うた。


私は少し奇妙な感じを覚えながら白い男と黒い男を家に招いた。





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楼さんのお父さん視点
東雲さんと黒崎さんと初めてはっきりと会話した日
続編を書くつもりだけれどいつになるかわからない
のちのち劉煉さんも出てきます


アバター
2013/07/10 20:49
暑くなってきたから全裸待機も楽になるね!!!
アイス片手に続編待機()
アバター
2013/07/06 12:50
じゅのたぁぁあぁぁぁん!!



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