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晴れのちハレ!


『閉鎖病棟』 帚木蓬生


今日は私のお気に入りの小説のなかから『閉鎖病棟』を紹介したいと思います。
著者は帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)氏で、実際精神科医でもあります。
とある病院の精神科の閉鎖病棟を舞台にした作品ですが、トマス・ハリスの『ハンニバル・レクターシリーズ』のような、昨今流行の異常心理ミステリとは違った人間味溢れた群像ドラマが描かれており、ラスト20ページは感動で泣きました。著者は、この作品で第8回山本周五郎賞を受賞しています。

おおまかなあらすじは、
九州のとある精神科病棟で、重く苦しい過去を背負いながらも、明るく生きようとする患者達と、その途中で起こる殺人事件とその意外な結末を描いています。一応サスペンスの形態を取ってはいますが、基本的には個性的な患者たちの生活の描写に重点がおかれています。


耳が聞こえないため喋る事が出来ない昭八ちゃん。昭八ちゃんの漏らす声ならぬ声と動作で彼の意思を一番に理解するチュウさん。チュウさんと仲のいい秀丸さん。病棟ではなく外来に通院してくる中学三年生の少女、島崎さん。また規則には厳しいけれど患者達のことを理解し、ふとした部分で優しさをみせる看護婦長。
それぞれの患者達は病棟へ入院するに至る悲しい経緯が仔細に描写されており、物語に厚みを持たせています。


もう誰もが20年、30年と病棟に入ってる人間が殆どであり、誰も退院することはありません。過去が色々様々で家族から疎まれている病人が多いからです。見舞いに来る親族もほとんど居ないのです。ですから病棟内での人間関係がほぼ患者達の世界すべてといっていいでしょう。


前半部分はほぼこういった患者達の日々の生活での純粋な喜びと悲しみ、そしてそれぞれの過去が綴られていくのですが、突如そこで起こる殺人事件。そして、なぜ殺人事件が起こってしまったのか、病棟の人々や病院関係者の戸惑いと恐怖、そして哀しみ。その経緯と意外な結末。ラストでの犯人の独白をめぐる感動。私は一気に読んでしまいました。


私は小説はよほど気に入ったものでないと一度読んだら処分しているのですが、この本は今も書架のお気に入り棚のすみに置いてたまに読みかえしています。

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2013/07/25 07:00
題名だけでホラーものだと
勘違いしてしまいました。
感動作だったのね。
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2013/07/24 00:30
小説って一回読んだら終わりだよね・・・
それなのに図書館戦争は3回読んだ。
アバター
2013/07/23 17:55
棚のすみのすみに ちょこんと 座ってるのが

ウナちりりです。

妖怪ではありません。



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