Nicotto Town



久しぶりに小説でも2


暗く長い廊下を三人で進んでゆく
もうとうに夜も更けていたのだが、今日は月の光が明るく歩くのに困ることはなかった。

私の後に続く二人の男は、先ほどから空気か何かのように気配を感じさせず、足音もまったく聞こえない。
聞こえるのは自分の足音だけだ。

私は何度も不安になり、後ろを振り返る。
振り返るたびに神去の当主は不思議そうに首をかしげて見せた。
この男は表情が見えないわりに動作が子供のようで感情が読みやすい。
長年の付き合いであるのに、このようなことに気がつくのに大分時間がかかったものだ。

多分、それほど相手に興味がなかったのだろう。

相手の男も私に興味などないに違いない。

ただ、神持の家同士だから。
だから仕方がなく知り合いになったというだけである。
いまや昔のように神持ちの家同士での交流などほとんどない。
昔はそれでも少しは仲がよかったらしいが。

神に祈ることも忘れてしまった人々が世の中の大部分を占めるようになってしまった現代では。

もう、神と人間との架け橋を作る人間など必要なくなったのだから。
神を持つ家だ、なんてただただ、気味が悪い。
その一言で終わってしまうのだから。

じゃらん

金属が触れ合ったような大きな音が突然背後から聞こえてくる。
ぼんやりとした思考から意識を離され、驚き振り返ると、神去の後ろに控えていた黒い男の手に太い鎖につながる大きな大きなトラバサミが握られているのが見えた。

先ほどまであのようなものを持っていただろうか、
いや、気がつかなかっただけか、
そもそもただの一般民家である私の家に狩猟用であるトラバサミを持ち込むなど並大抵の精神ではない。
気でも触れたか。

「それは何だ。」

私は驚きによって少し上ずった声で男に尋ねる。
黒崎といったか、神去家の使用人のようなものであるらしい。
何時も無表情で黒いスーツを身にまとい、神去の後ろに控えている男である。
私はこの男が表情を崩しているところを見たことがなかった。

「犬用のトラバサミでございます、神宮さま。」

一切抑揚の感じられない声で男は答える。
違う。私が聞きたいのはそこではない。なぜ私の家に持ってきたのだ。

「犬にしてはいささか大きすぎるようだが。なぜ俺の家にそのような物騒なものを持ってきた。」

「捕える獲物が大きければ罠もまた、大きくなりましょう。本当は、私達が貴方の家へと訪れたのはその犬を捕えるためなのです。」

今度は神去の当主が少し嬉しそうな声で答える。

何を言っているのかさっぱり分からない。

急に視界が開け先ほどよりも明るくなる。
我が家の庭へと続く縁側へとやってきたのだ。

「ですから、今宵はここで、その犬が罠にかかるのでも待ちながら一杯やりませんか?今日はいい月が出ている。月見酒も楽しいものですよ。」

大きな満月が入り込んだ黒い水面を湛えた池の中。
優雅に泳いでいた鯉が跳ね、飛沫を上げる。
ぼちゃん、と大きな音を立てる。

私はそれを横目で見ながら、はっきりとした口調で

「断る。」

と答えた


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い、いつになったら終わるんだこの小説は!!
ということで続きです
がんばったがんばった

アバター
2013/08/08 22:38
今日は。
小説に惚れました・・・!素敵どうぞ。
アバター
2013/07/30 18:56
うひょおお続きが気になりますねえ滾りますねえ!!
お疲れ様なのよーん(’ω’)

体型の事は・・・・ほら、うん
モデルでもないし、ね・・・あはは(遠い目)

八時間が普通なんて信じられナーイ
頭の良い所なんでせうね!!きっと!!!勉強するのに合宿なんてどうかしてるぜ

そ、そそうね忠告ありがとう!!!
じゅのたn見てるとこっちまで泣けてくる・・・受験こわいですう



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