絶対的天帝とトンファーの相関図
- カテゴリ:日記
- 2013/08/09 19:19:55
※リボーンと、黒バスのクロスオーバーです。腐向けでは在りません。
夏休みも中盤に差し掛かろうとする夏休みの朝。
庭から聞こえる蝉時雨も、むうっとするような暑さもいつも通りだ。はだけた浴衣を整えて居間へ行くと、手伝いの者がもう食事の支度を調えていた。
「征十郎坊ちゃま、今日も部活ですか?」
初老の女性らしい穏やかな声で僕に問うその声は、長年聞き慣れたものだ。もっとも、僕が小学校にも上がらない頃に聞いた彼女の声は、もう少し高かったような気もするが。
父親は、仕事関係の出張で今朝も居ない。跡継ぎとして期待してくれてはいるものの、ろくすっぽ僕自身のことを見ようとしない父より、女中に過ぎない彼女の方が、よっぽど信用できるし、感謝もしている。
「ああ。今日は午前中で終わるから、昼前には帰るよ。」
「では、お帰りになるまでにお昼の用意もしておきますね。」
よろしく、と一言告げた後、彼女が用意してくれた朝食に手を付ける。だし巻き卵を口まで運ぶと、僕好みの出汁と醤油の味が広がった。
ふと思うことがあり、傍らのリモコンを手に取り、テレビを付けると、ちょうど朝のワイドショーの占いコーナーをやっていた。僕自身は占いに興味は無い。しかし、問題はチームメイトの真太郎だ。彼はこの、おは朝占いという愛称で親しまれている占いを異常なほど信じ、占いの順位が悪いと調子が出ず、ついには毎日ラッキーアイテムを持ち歩かないとモチベーションを保てないなどという状況に陥る。
占いなどくだらないと言ってしまいたかったが、チームの士気に関わるとなると話は別だ。お陰で僕まで、毎朝この番組をチェックすることが日課となっている。
「今日の蟹座は1位、集中して何かに取り組むと大成功すること間違いなし!
ラッキーアイテムは、ほうきです。」
アナウンサーが陽気に告げたラッキーアイテムを聞いて、僕は安堵した。
持ち歩くのが困難ではあるものの、今日のラッキーアイテムは比較的楽に手に入る。
しかし、まだ安心は出来ない。今日は休日前の金曜日。土日はおは朝自体がないため、土日の分までラッキーアイテムを紹介する。明日の土曜日は練習試合であるため、明日のラッキーアイテムが手に入らないのは不味い。
「明日、土曜日の蟹座は12位。ラッキーアイテムはトンファーです。」
トンファー……普段目にすることもあまりない明日のラッキーアイテムに、僕は溜息をついた。少々、めんどくさいことになりそうだ。
やはり、真太郎は、自分の身長の半分はありそうな長ぼうきを携えて現れた。もう慣れてしまったが、高身長な上にあれでは相当目立つだろう。
「赤司、とんふぁーとは何か、知っているか?」
「大陸の武器をもとに、沖縄でおもに使われた古い武器だよ。…大丈夫、僕に少し心当たりがあるよ。明日の朝までに必ず用意しよう。」
何がなにやら分かっていない真太郎に、思わず助け船をだしていた。まあ、仲間のピンチを救うのも、ある意味ではキャプテンの務めだ。ちょうど今日は部活も午前のみだからちょうどいい。ただ、その心当たりが、少々厄介な人物なのが問題だった。
いつも通りの部活を終えて、昼食を取って、僕は都内の電車に乗った。女中達は車を出そうと言ったが、丁重に断った。
降りた駅は5駅後の”並盛”ちなみにもう1駅乗るとその隣町の”黒曜”だ。
駅から5分ほど歩くと、目的の建物が姿を現す。
コンクリートの円柱に掛けられた、黒い石版。それには筆文字のような書体で「並盛中学」と掘られていた。
向かうは、ここの応接室だ。
勝手知ったる他所の学校とはこのことだ。並盛を支配する風紀財団と、赤司家の財閥は独自の協定を結んで互いに支援しあっている。だから、今まで何度も並盛中学には訪れている。応接室の位置は、職員室前の廊下をまっすぐだ。
応接室――そう書かれたドアを軽く2回ノックして、返事を待たずに応接室に入る。ドアを開けた瞬間に、飛びかかってくる黒い影……
それを左に避けると振り向いた黒い影が、こちらを一瞥する。
「……なんだ君か。わざわざ僕の学校に来たりして、何の用?」
構えて居た銀色の凶器を下ろしてそう問う彼こそが、この学校の支配者、「雲雀恭弥」だった。そして、彼の問う今日の目的は、彼がいままさに握っている、長年使い込まれたトンファーだ。
「……これは、何だい?」
浅い黒塗りの茶碗に盛りつけてある、小豆色の液体。数個ほど白玉が浮かぶそれを見て、僕は問う。正確には、僕はこの液体が何か分からないわけではなくて、ただ、彼がこれをもてなしに差し出したのが、何となく意外だったからだ。
「見て分からない?冷やししるこだよ。要らないなら食べなくても良い。」
そういって片付けようとする彼を見ると、頑固で、おしるこに関するこだわりは異様な、今回の訪問の発端となった人物を思い出して、少し笑いがこぼれる。
「ふふっ…そういえば君も、和風の甘味は好きだったね。」
「……何がおかしいの。」
「いや…ね。」
そういえば、記憶に残る幼少の彼は、夏祭りで子供受けはしそうにない宇治金時のかき氷をほおばっていた気がする。
「それで、本題なんだけど。」
僕は、チームメイトのことと、その関係でトンファーを貸して欲しいことを彼に告げた。
「いやだ。」
そして、返答はこの一言に尽きる。
僕の頼みをこんな一言で、ないがしろに出来るのは彼くらいかもしれない。彼の説得が簡単ではないことは、始めから分かっていた。
「良い度胸だね、恭弥。でもこちらもチームの士気が掛かって居るんだ。簡単には引けない。」
オレの名前は緑間真太郎。人事を尽くして、天命をつかむ男だ。
今日のおは朝のラッキーアイテムは「トンファー」聞き慣れない単語だが、昨日のうちに赤司がオレの代わりに手に入れると約束してくれた。それでおそらく安心なのだよ。
それで、無事に、トンファーとやらを手に入れてくれたのは良いが、これは一体どういうことか。
赤司が持ってきたそれは、鈍く銀色に光っていた。が、同時に、誰のかわからぬ血糊が、取れないままべったりと付いていた。
手に入れて来たのが赤司だと言うことも相まって、非常にシャレにならないのだよ!
「恭さん!…これは一体…」
「…ねえ…哲…占いって当たると思うかい?」
「はあ…占い…どういう風の吹き回しですか?」
「いや、今日の牡牛座は12位だったらしいからさ。」
「…はあ?」
草壁哲也は、いつも以上に不可解な上司の言葉に頭を捻らせながらも、異様なほど荒れた応接室の掃除に駆り出されるのであった。






























赤司様と雲雀さんって…私得!!!!!!
ふっひょー!!!!
占いは当たるでしょう。