カエル少年 (4)
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/12 19:47:17
日本はその日、僕達がこはる温泉に着いた日です。
強力な太平洋高気圧に覆われ各地で観測史上最高となる気温を記録していました。
そんな暑い日にわざわざ温泉に入るなんて、大人の考えは間違ってると僕は思いましたが父は温泉に入れると喜んでいるみたいでした。
温泉から上がり冷いビールを飲むことを父は夢みていたのでしょうが、待っていたのは冷えた麦茶でした。
「いい湯だったか?」
部屋で父の湯上りを待っていた神主さんが父そう聞きました。
「あぁ、いい湯だったよ。さっぱりしたよ。いしょに入ればいいのに」
父はこれから冷えたビールとご馳走が出てくるのを期待していました。
「タロウ、疲れているのに悪いな。さっそくだが仕事の話だ。夕食はそれからにしてくれ」
父は期待が裏切られご機嫌斜めなのが読めてとれました。
僕は父より早く上がりアイスとジュースをもらっていたので別に気になりませんでした。
「実はここの宿代はカワズ村の自治会費から出ていることになっている。まあ、自治会長が宿主だから請求するかどうかは知らないけれど。何故そうなのかと言うと、村の蛙神社は自治会が運営していて俺は雇われ神主なんだよ」
一度話を止めた神主さんが麦茶を飲み、また話だしました。
「それでだ、神社のご神体が消えたことはこの俺と会長と君しかまだ知らない。村の人が知ったら大騒ぎになるので警察へも連絡していないのだ。後一週間で神社の祭りが始まるからそれまでに何とか見つけないと」
「後、一週間か」
そう父が口を挟みましたが神主さんの話はまだ続きました。
「そう、一週間だ。でも村の言い伝えでは蛙神社のご神体の蛙さまが消えると村に災いが起こると言い伝えらていて一週間も無いかもしれない。この異常な暑さはその前触れかもしれない」
神主さんの真剣な顔での話しに、父は少し動揺していました。
そして神主さんに聞いたのです。
「ゲコさんはその村の伝説を信じるのかい?」
「ただの言い伝えだが村に前兆と思えることが起こっている。タロウもニュースで知ってると思うけど、先日ウソの地震速報が流れて電車がみんな止っただろ。あれにはヒィヤとさせられたよ。間違いで良かったけれどこの暑さといい大雨といい不吉な前兆に思える」
父は言葉を無くしました。
その夜は僕は質素な旅館料理を食べて僕は先に寝てしまいました。
父は遅くまでカエルさまと関係の無い昔の話を友達の神主さんとしていたみたいですが、村に災いが本当に起こるとは誰も思っていなかったのでした。
























