Nicotto Town


ロング澤翔


尋ねるついでに狭霧の肩を抱いて見せる

雲宮を訪れた客人、真浪(まなみ)だ。

「真浪様! お久しぶりです!」<a href="http://www.watchsinexpene.com" title="http://www.watchsinexpene.com">http://www.watchsinexpene.com</a>


「久しぶり! 見かけに寄らず、結構なおてんばなんだね? 越の国には、今の狭霧ちゃんみたいに早駆けをする若い姫なんかいないよ?」

「真浪様がいらっしゃると聞いたので、急いで戻ったんです。いつもは、もう少しゆっくり走るんですよ?」

「砂まみれになって――早馬の蹄が砂を巻き上げたのを浴びたんだね。その砂は、おれのためか。嬉しいよ。会えてよかった」

 再会の挨拶がひと通り済むと、狭霧は、高比古にさし向う。

「ただいま」

 微笑むと、高比古は少し居心地悪そうな真顔をした。

「――おかえり」<a href="http://www.watchsinexpene.com/grandセイコー-rk29mrj-15.html" title="seiko レディース">seiko レディース</a>


(照れ臭がってる……そばに真浪様がいるからかな?)

 夫となった青年の仕草にくすくすと笑いつつも、狭霧の笑みはすぐに引いていく。

 狭霧には、どうしても高比古に尋ねておかなければいけないことがあった。

 今日、狭霧は一人で須佐を目指したが、それは、高比古や、大国主、安曇たちに、別の用事があったからだ。

 婚儀から二十日後、大国主を主とした船団は、出雲を発ち、引島という地にある砦を目指すことになっていた。だが、細かな日取りや、大国主と共に戦の旅に出かける者を誰にすべきかという最後の軍議は、まだ済んでいなかった。――今日の、昼までは。

 背後の真浪を気遣いつつもまっすぐに高比古を向いて、狭霧は、声をひそめて尋ねた。

「それで、高比古――船団の出立はいつに決まったの? 婚儀から数えて二十日後のまま? だったら、高比古は、十日後には雲宮を出てしまうの……?」<a href="http://www.watchsinexpene.com/michelleクライン-rk29mrj-14.html" title="seiko ソーラー">seiko ソーラー</a>

 夫となった青年を戦地へ見送るのは、たとえそういう日が来ることを覚悟していても、つらいものだった。

 婚儀の日からは、すでに十日が経っている。誰が向かっても事が済むように、戦の支度はつつがなく進んでいた。

 じっと見上げる狭霧へ、高比古は苦笑した。

「それが――外された」

「え?」

「おれは、後から向かう軍を任されることになった。理由はいろいろあるんだが、一つは、安曇が――」

「安曇が?」

「ああ、安曇が、あんたと一緒にいろって。その、つまり――」

 高比古は、とつとつとしたいい方で言葉を濁す。それを、背後から様子を窺っていた真浪が茶化した。

「なんだ、戦の話? ここも慌ただしいもんなあ。で、ああ、今のうちに新妻とべたべたしておけって?」

 真浪がからかった瞬間、高比古が豹変した。

「おまえ、なにを――!」

 有無を言わせず蹴りを放つので、長い袖を風になびかせてそれをよけつつ、真浪はさらに茶化した。

「そんな怒るなよ! 赤くなって、もー。見て見て、こいつの顔! 真っ赤じゃないかよ。かーわいい、ね? 狭霧ちゃん!」

 そういって、真浪は、尋ねるついでに狭霧の肩を抱いて見せる。

 高比古は激怒した。

「おまえ……わざとだろ? おれをからかうならからかうで、そいつまで巻き込むな。その手を……!」

 真浪はげらげらと笑って、目尻に涙をにじませた。息を詰まらせてひいひいと喉を鳴らしつつも、まだ笑う。

「きみさ、火悉海のことを狭霧ちゃんに鼻の下伸ばしてるとかなんとか、散々いってなかったっけ? いやー、すました顔してたくせに、変われば変わるもんだなあ! あーーっ! また火悉海と三人で飲んで、きみをいじめてやりたい!」

 真浪は、苦しげなかすれ声を出してさらに笑う。高比古はむっと眉をひそめて、それから、ふんと鼻を鳴らして横を向いた。





 狭霧と高比古の舘では、真浪とその従者を招いた、ささやかな宴をひらくことになった。

 酒器と肴に囲まれながら、三人でこれまでの話




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