出雲の母神は死の神
- カテゴリ:日記
- 2013/09/14 14:44:44
めく灯かりで照らしている。
闇と共に小窓から入った夜の冷気が、壁を伝って床を這った。
狭霧は、寒気をなだめるように身をすくめた。
「死の神――? だから、強く出雲を守る……ですか?」
狭霧を凝視する大巫女は、薄暗い闇の中で、化粧に彩られた目を細めた。
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「そうだよ。死は、何よりも強い。どれだけ強く賢い武人だろうが、死は人をいとも簡単に負かすだろう? 今この瞬間に生きている人と、それまでに死んだ者とでは、いったいどちらの数が多いと思う? もちろん、死人(しびと)だ。赤子が女の腹から生まれ出てくる先には、つねにおびただしい数の死人がいるのだ。よって、命は『死』の上に生まれるもので、つまり、命とは『死』という大地に芽吹いた小さな苗木に過ぎないのだ。出雲の大地は『死』そのものからできていて、その上で我々は生を受け、生きている。出雲の大地を治める王が『死』の女神と共にあるといわれるのは、そのせいだ」
「出雲の大地が『死』そのもので、出雲の大地を治める王は『死』の女神と共にある……? あの、でも、ちょっと、よくわかりません……」
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「そなたがわかろうが、そうでなかろうが……」
大巫女の言葉を遮って、狭霧は首を横に振った。
「でも――。大地って、大地でしょう? 草が生えていて、人が大勢行き来する道があって、川が流れて、田畑を潤す水路があって、それから、王宮もあって、里の人たちの暮らす集落もあって、海を行き来する船が着く港があって――大地は、大地です。あの地面が、どうして死っていうものにつながるのか、わたしはさっぱりわからないんです」
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大巫女は、笑うだけで相手にしなかった。
「いったろう? そなたが理解しようがそうでなかろうが、それは問題でないのだよ。要は、出雲の大地に宿る母神が死の神であり、出雲を治める王は死の神の夫であり、死の国の門を守る存在であるということだ。話に聞いたが、御津を探す時から、高比古は脅えていたそうだね?」
「はい、そうですが……」
「あの子が脅えているのは、出雲の土地神がなんたるかを理解しているからだ。若き日の須佐乃男も、出雲の土地神に魅入られて死を視たと、真っ青になっていた。母神に魅入られたくせに、そんなものはいないと見ないふりをしたのは、そなたの父王、大国主だけだ」
「とうさま……?」
「ああ。いまだにあの男は母神を信じようとしない。代々続く出雲の長の中で、もっとも母神に好かれている男のくせにだ」
「――それって?」
「大国主は諸国に名を知らしめる武王であり、戦を起こして敵の死を呼ぶ、死の国に最も近い男だ。出雲の母神は死の神で、出雲の大地は血が好きだ。だから、母神は大国主を愛している」
狭霧はぽかんと唇に隙間をつくって、呆けた。
「――あの。やっぱり、よくわかりません……」
「いいのだよ。そなたが理解する必要はないのだから」
「いいえ、そういうわけにはいかないんです。今あなたがいったことがわからなかったら、高比古が悩んでいることも、きっとわからないままなんです」
狭霧はかぶりを振ってうつむき、額に指先を当てて、考え込んだ。
「出雲の神様は、死の神。大地は死で、生きている人はそこに芽吹いた小さな苗木――」
「そなたは、不思議な子だね。そっくりそのまま、いわれたとおりに飲み込めばよいのに――」
「でも、こうしないとわからないんです。それに、なんとなくだけど、わかりかけた気もするんです。――あの……農地の土に、腐らせた枯れ葉をまくことがあるんです。そのほうが作物がうまく育つから。それに――生き物の中には、子供を残したら死んでしま